僕の彼女はヒーローなんです

テル

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笑顔

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「愛川さんが……フリーズガール?」
 言葉を繰り返してもその意味を頭が理解するのには時間がかかった。
「そう、私がフリーズガールよ」
「じ、冗談でしょ? 僕をからかおうとしたってそんな……」
「冗談なんかじゃない!」
 そういう彼女の瞳からは大粒の涙が流れていた。
「今から証明してあげる」
 涙を拭いながら彼女がそういうと急にあたりの気温が下がった気がした。そしてあの時見たのと同じように彼女の足元が凍りつきやがてそれは床全体に広がり屋上はまるでスケートリンクのようになっていた。
「そんな、これって……」
「これで信じてくれた?」
「あぁ……信じるよ」
 愛川 雪乃、彼女は正義のヒーローフリーズガールだった。
 驚く僕をよそに彼女は語り続けた。
「私は冷気を操るミュータント、数年前からヒーロー活動を続けてる。あの日も偶然事件に遭遇して単独で飛び込んだの」
 その時のことは僕も覚えている。フリーズガールは一瞬であのトカゲ男を制圧してみせた。しかし彼女には誤算があった。
「犯人が2人居ることを想定していなかった……。犯人が1人なら負傷者を出さず制圧する自信があったのよ」
「犯人達はフリーズガールが来ることも想定していた。だから氷を溶かせる能力を持っている方が隠れて待ち伏せてたんだ」
 彼女は頷いた。
「全部私の落ち度。自分の力を過信して警察と連携もしなかった」
「でも結果として皆救えたんだからそれで良いじゃないか」
「良くない。だってあなたが傷ついた」
 僕が何を言っても今の彼女は納得しないだろう。ただ僕はこの傷の事で彼女を恨んだりはしていなかった。それを伝えたかった。
「僕は何の力も持たない無能だけど、でもあの時懸命に戦うフリーズガールを見て勇気が沸いてきたんだ。そして君が捕まったあの時……僕がやらなきゃって思ったんだ」
「どうしてそんな……」
「僕だって男だよ? 女の子が戦ってるのに僕だけ1人隠れてるなんて出来るわけないじゃないか」
 精一杯カッコつけて言ってはみたものの、やはり上手く決まらない。けれど逆にそれが良かったのかもしれない。
「……ぷっ」
「?」
「カッコつけちゃって……バカ」
「はは……ごめん」
 今日は珍しいものを2つも見ることが出来た。クラスの人気者の愛川さんの涙と……そして笑顔だ。
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