僕の彼女はヒーローなんです

テル

文字の大きさ
11 / 12

訓練施設ラストホープ

しおりを挟む
 翌日僕は雪乃に指定された場所に来ていた。
「ここって……スポーツジム?」
「表向きはね。付いて来て」
 雪乃に導かれるまま僕達はビルの奥へと向かった。
「これってスタッフ用のエレベーターじゃないの?」
「うん。普通のお客さんはまず使わないでしょ」
 言葉の意味は理解出来なかったが僕は誘われるままエレベーターに乗り込んだ。
「ヒーロー名フリーズガール」
 雪乃は一言そういうとエレベーターのパネルに顔を近づけた。
『網膜スキャン、声紋認証完了。ようこそフリーズガール』
 機械的な声がエレベーター内に響くと行き先のボタンを押していないにも関わらずエレベーターは地下へと動きだした。
「これ……どうなってるの?」
「表向きは会員制スポーツジム、けど地下には別の施設があるのよ。ヒーロー専用の訓練施設がね」
 何分経っただろうか。かなり深い場所まで来たのは間違いなかったが階数の表示はされていなかった。
「長いね……」
「様々な能力のヒーロー達が自由に能力を使える場だからかなりの広さが必要なのよ。だからこんな地下深くになったみたいね」
「そうなんだ。というかそんな場所に僕が来ていいの?」
「いいのよ。和輝は私のサポーターなんだから」
「サポーター?」
 その言葉の意味を聞く前にエレベーターは目的地へと到着した。
「ようこそ。ヒーロー訓練施設ラストホープへ」
「ラストホープ?」
「最後の希望って意味」
「そんな大げさな」
 中はとても広く訓練施設というよりはまるで実験施設のようだった。
「ここでは能力をテストして色んなデーターが取ることも出来るのよ」
「データ?」
「そう。例えば火を操る能力ならどのくらいの温度まで上げられるのかとか、体を硬化させる能力ならどの程度の耐久力を持っているのかとか、全部数値化してくれるの」
「す、凄いね。想像してたよりずっと凄い所に来ちゃったみたいだ」
 施設の奥へと歩いていると白衣を着た男性が僕らに声をかけてきた。
「やあフリーズガール。君が誰かと来るなんて珍しいね。その子は……ヒーロー志望の子かい?」
「ううん違うの。彼は私のサポーターで」
「相浦 和輝です。よろしくお願いします」
「ご丁寧にどうも。私はここの職員の水鳥 翔吾みずどり しょうごだ。気軽に水鳥博士と呼んでくれ。私はその呼び名を気に入っている」
「は、はぁ。分かりました」
 水鳥博士と名乗るその男はどこか楽しそうだった。
「それにしても一匹狼の君がまさかサポーターを連れてくるなんてね。どういう心境の変化だい?」
「べ、別に博士には関係ないでしょ」
「おや、少し顔が赤いんじゃないかい?」
「そ、そんなことあるわけないでしょ!」
 僕はこんなに慌てる雪乃の顔を初めて見た。対照的に博士はとても楽しそうだ。
「和輝君。彼女のことをしっかり支えてあげてくれたまえ」
「は、はい!」
 雪乃の投げる氷の玉を避けながら博士は走り去っていった。
「もう……ほんとなんなのあの人」
「面白い人だったね」
「面白くない!」
 怒った顔もまた可愛い、なんて言ったら殴られるだろうか。
 そんなことを考えながら進むと雪乃は金属製の扉の前で立ち止まった。
「ここが目的地?」
「そう。ここで私の必殺技を作るの。さあ行きましょ和輝」
 僕は覚悟を決めた。平凡な日常はもう帰って来ない、けれど彼女を支えてみせると。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...