僕の彼女はヒーローなんです

テル

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雪乃の笑顔

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 案内された部屋は学校の体育館程の広さがあり、周囲の壁は特殊な金属で出来ていた。
「ここなら思いっきり能力が使えるわね!」
「そういえば聞き忘れてたんだけど雪乃の能力ってどんな能力なの?」
「私の能力?」
 そういうと雪乃は手を空中にかざして見せた。
「私は触れたものを凍らせることが出来る。もちろん手だけじゃなく体のどこかに触れてさえいれば凍らせることが出来る」
 急に室温が下がったような気がした。雪乃のかざした手からみるみるうちに氷が生成されてゆく。
「離れた場所のものでも間接的に触れてさえいれば凍らせることが出来る。ちなみにこの氷は空気中の水分を凍らせて作ってるのよ」
「空気中の水分……」
 そうこうしているうちに氷は形を成し、それは見たことのある姿……フリーズガールの等身大氷像になっていた。
「あの後氷を自由な形に出来るよう少し練習したの。まあ細かい部分がちょっと甘いけど……」
「凄い……本物そっくりで綺麗だ」
 僕がそう言うと雪乃は照れくさそうに笑っていた。
「でもただ物体を凍らせるだけの能力ならこんなこと出来ないって博士が言ってたの。私の能力にはまだ分からない部分があるんだって」
「そうなんだ。でもそれって訓練次第じゃ今よりもっと強くなれそうだね」
 僕はノートとペンを取り出し思いついた案をそのまま書き出していった。
「例えば氷で像が作れるなら武器とかも作れるんじゃないかな」
「武器ね……でも私そういうのあんまり詳しくないし」
「僕が考えてくるよ! 色んなゲームのキャラクターを参考にしよう」
 以前やったロールプレイングゲームの登場キャラクターの中には、女性でも武器を操り戦うヒロインも登場した。
 それらのゲームの内容を思い出しながら僕はさらにアイデアを膨らませていった。
「なんだか和輝すっごく楽しそう」
「あ、いや……僕ファンタジーとか大好きだし、今までそういうのと縁がなかったから」
「ふふ、でも本当のこと言うとね、私も今すっごく楽しいの」
 雪乃の笑顔はとても眩しかった。その瞬間僕は心臓の鼓動が速くなるのを感じていた。
「ヒーローになる為にこれまでも訓練はしてきたけど、その事は誰にも話せなかった。同じクラスメイトの中には仲の良い人も居るけど皆に秘密を抱えたまま生活するのは結構ストレスだったのよね」
「ストレスか……確かにこんな凄い秘密があったら僕なら言いたくなるだろうな」
「そう。だからこうして秘密を共有出来る人が居ることが嬉しいの」
 2人だけの秘密、僕が雪乃にとって特別な存在であるという事実は僕の気分を高揚させるには充分であった。
「人前じゃ迂闊に能力も使えないから最近は休日に遊びに行ったりもしてないし……」
「あ、あのさ……もし良ければなんだけど、今度の週末僕とどこか遊びに行かない?」
 雪乃は一瞬きょとんとした表情をした。けれど次の瞬間その表情は満面の笑みへと変わった。
「行きたい! ねぇ、どこに連れてってくれるの?」
 てっきり断られるのではと思っていた僕は返答に困ってしまった。
「どこって言われると……あ、雪乃はどこか行きたい所ってある?」
「……私遊園地行ってみたい」
「遊園地?」
「そう遊園地。最後に行ったのたぶん小学生くらいの頃だから……ダメ?」
「いやいやダメじゃないよ! じゃあ、行こうか遊園地」
「うん。行きましょ遊園地」
 その時の雪乃の笑顔は、この日1番の笑顔だった。
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