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第一部 ダンジョンの階層主は、パーティに捨てられた泣き虫魔法使いに翻弄される
05. エレインのパーティ③
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「よっしゃぁ!みんな今までよく頑張った!いよいよ人類の最高到達階、70階層に挑戦だ!」
「ははっ、いよいよだな」
「ふ、ルナは早く挑戦したい」
「まぁまぁ、今日はしっかり食べて飲んで楽しみましょう!」
順調に階層を上がり、とうとう69階層を突破したアレク達。いよいよボスの間がある70階層へ足を踏み入れることとなったのだが、その前に英気を養うため、街の酒場で決起会を行なっていた。だが、そこにエレインの姿はない。
この国での成人は18歳だ。
アレクは18歳、ロイドは19歳、ルナは20歳、リリスは18歳なので、皆成人済である。テーブルの上にはキンキンに冷えたジョッキに、たくさんの肉料理、サラダからデザートまで乗り切らないほどの料理で溢れていた。
「よっ!流石は『彗星の新人』!期待してるぜ!」
「がんばってね~!!応援してるわぁ!!」
「到達から10年余り、ようやく70階層突破か…」
他の客からもヒューヒューと指笛や野次が飛んでくる。皆がアレク達を応援してくれていて、アレクは得意げにふんぞり返った。
「ふっ、悪い気はしねぇな」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら、グイッとジョッキを煽る。
「ねぇ、アレク。いつまであの子を連れて行くつもり?」
酒も進んで来た頃、不意にリリスが尋ねた。
「ただの荷物持ちが、ルナ達と同じパーティだからってチヤホヤされるのは面白くない」
「確かにな、荷物持ちとしては便利だが、すぐ泣くし攻撃魔法は使い物にならねぇし…」
「ふむ、みんなもそう思うか」
アレクは大袈裟に腕を組み、深く椅子に背を預けた。囮や荷物持ちとしては便利であるが、こと戦力としてのエレインの活躍はないに等しく、アレクとしてもそろそろ厄介払いをしたいと思っていたところだった。
「どうしたものか」
うーんと頭を悩ませていると、背後の席から不穏な会話が聞こえてきた。
「おい聞いたか?66階層で冒険者が行方不明になったらしいぞ。同じパーティの奴が必死になって捜索してるって」
「それ本当?もう夜なのに戻ってないの?」
「ああ、そうらしい。しかも居なくなったは3日前のことだと」
「やだ…きっともうモンスターにやられてるんじゃ…」
「考えたくはないが、そうだろうな…」
どうやら冒険者がダンジョン内で行方をくらませたらしい。
ダンジョンの魔物やモンスターは夜になるとより一層凶暴になるため、冒険者が日が暮れる前にダンジョンを出るのは暗黙のルールとなっていた。夜間のダンジョン攻略は、命がいくらあっても足りないと言われている。
「まぁ…恐ろしい話」
「きっともう死んでる」
「おい、不謹慎だぞ!」
リリスにルナ、ロイドにも聞こえていたようで、小声でヒソヒソと話している。
不意に、アレクに妙案が浮かんだ。口角がこれでもかという程吊り上がる。
「なぁ、ダンジョンでパーティメンバーが居なくなったらどうする?」
「え?そりゃ…時間が許す限り探しますけど…」
アレクの要領を得ない問いに、リリスが怪訝な顔をする。
「いくら探しても見つからなかったら?」
「はぁ?何言って…あぁ、なるほど」
「ルナにも分かった」
「…なんてことを考えるのでしょう」
アレクが言わんとすることに、皆が気付いたようだ。口頭ではハッキリと否定も肯定もしてはいないが、三人とも口元には薄ら笑いが浮かんでいる。
「となると…やっぱボスの間だな」
「ああ、うまいことやれよ」
「任せとけって」
そこからは翌日の算段をつけるのに大いに盛り上がった。
「ルナ、ボスに挑戦したいとは思うが、明日はボスの間の前までで切り上げるぞ。《転移門》用の魔石を4つ用意しておけ」
「分かった、パーティのメンバー分、だね」
「ああ、そういうことだ」
物分かりのいいルナに、アレクは満足そうに笑った。
◇◇◇
ズゥゥゥン…とその重厚な大扉が閉ざされたのを確認すると、アレクたちは大笑いした。
「アハハハハッ!こんなに上手くいくとはなぁ!」
「見たか?エレインのボケッとした顔!ぶはっ」
「ふ、ふふ…きっと今頃泣き叫んでいる」
「中の様子が見えないのが残念ですね」
策略通り、エレインを70階層のボスの間へ閉じ込めることに成功した。ボスの間の扉は中からは開かない仕組みになっている。ここの階層主は『破壊魔神』だ。エレインが助かることは万に一つも無いだろう。
「くっく、さて、間も無く日が落ちる。《転移門》にこの場所を記録して、街に戻るぞ」
「了解」
ルナが用意した魔石を他の3人が受け取る。
《転移門》とは、ダンジョン攻略に必須のアイテムだ。冒険者が到達した場所の情報を記録し、次回ダンジョンに入る際に、その記録した場所に転移することができるものだ。
ボスの間の前を記録することで、街でしっかりとアイテムや装備の準備を整え、そのままのコンディションでボス戦に挑むことができる。
足手まといも居なくなり、悲願の70階層踏破は目の前だ。
「ふっ、ははっ、アッハッハ!!」
アレクの高笑いがダンジョン内にこだました。
「ははっ、いよいよだな」
「ふ、ルナは早く挑戦したい」
「まぁまぁ、今日はしっかり食べて飲んで楽しみましょう!」
順調に階層を上がり、とうとう69階層を突破したアレク達。いよいよボスの間がある70階層へ足を踏み入れることとなったのだが、その前に英気を養うため、街の酒場で決起会を行なっていた。だが、そこにエレインの姿はない。
この国での成人は18歳だ。
アレクは18歳、ロイドは19歳、ルナは20歳、リリスは18歳なので、皆成人済である。テーブルの上にはキンキンに冷えたジョッキに、たくさんの肉料理、サラダからデザートまで乗り切らないほどの料理で溢れていた。
「よっ!流石は『彗星の新人』!期待してるぜ!」
「がんばってね~!!応援してるわぁ!!」
「到達から10年余り、ようやく70階層突破か…」
他の客からもヒューヒューと指笛や野次が飛んでくる。皆がアレク達を応援してくれていて、アレクは得意げにふんぞり返った。
「ふっ、悪い気はしねぇな」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら、グイッとジョッキを煽る。
「ねぇ、アレク。いつまであの子を連れて行くつもり?」
酒も進んで来た頃、不意にリリスが尋ねた。
「ただの荷物持ちが、ルナ達と同じパーティだからってチヤホヤされるのは面白くない」
「確かにな、荷物持ちとしては便利だが、すぐ泣くし攻撃魔法は使い物にならねぇし…」
「ふむ、みんなもそう思うか」
アレクは大袈裟に腕を組み、深く椅子に背を預けた。囮や荷物持ちとしては便利であるが、こと戦力としてのエレインの活躍はないに等しく、アレクとしてもそろそろ厄介払いをしたいと思っていたところだった。
「どうしたものか」
うーんと頭を悩ませていると、背後の席から不穏な会話が聞こえてきた。
「おい聞いたか?66階層で冒険者が行方不明になったらしいぞ。同じパーティの奴が必死になって捜索してるって」
「それ本当?もう夜なのに戻ってないの?」
「ああ、そうらしい。しかも居なくなったは3日前のことだと」
「やだ…きっともうモンスターにやられてるんじゃ…」
「考えたくはないが、そうだろうな…」
どうやら冒険者がダンジョン内で行方をくらませたらしい。
ダンジョンの魔物やモンスターは夜になるとより一層凶暴になるため、冒険者が日が暮れる前にダンジョンを出るのは暗黙のルールとなっていた。夜間のダンジョン攻略は、命がいくらあっても足りないと言われている。
「まぁ…恐ろしい話」
「きっともう死んでる」
「おい、不謹慎だぞ!」
リリスにルナ、ロイドにも聞こえていたようで、小声でヒソヒソと話している。
不意に、アレクに妙案が浮かんだ。口角がこれでもかという程吊り上がる。
「なぁ、ダンジョンでパーティメンバーが居なくなったらどうする?」
「え?そりゃ…時間が許す限り探しますけど…」
アレクの要領を得ない問いに、リリスが怪訝な顔をする。
「いくら探しても見つからなかったら?」
「はぁ?何言って…あぁ、なるほど」
「ルナにも分かった」
「…なんてことを考えるのでしょう」
アレクが言わんとすることに、皆が気付いたようだ。口頭ではハッキリと否定も肯定もしてはいないが、三人とも口元には薄ら笑いが浮かんでいる。
「となると…やっぱボスの間だな」
「ああ、うまいことやれよ」
「任せとけって」
そこからは翌日の算段をつけるのに大いに盛り上がった。
「ルナ、ボスに挑戦したいとは思うが、明日はボスの間の前までで切り上げるぞ。《転移門》用の魔石を4つ用意しておけ」
「分かった、パーティのメンバー分、だね」
「ああ、そういうことだ」
物分かりのいいルナに、アレクは満足そうに笑った。
◇◇◇
ズゥゥゥン…とその重厚な大扉が閉ざされたのを確認すると、アレクたちは大笑いした。
「アハハハハッ!こんなに上手くいくとはなぁ!」
「見たか?エレインのボケッとした顔!ぶはっ」
「ふ、ふふ…きっと今頃泣き叫んでいる」
「中の様子が見えないのが残念ですね」
策略通り、エレインを70階層のボスの間へ閉じ込めることに成功した。ボスの間の扉は中からは開かない仕組みになっている。ここの階層主は『破壊魔神』だ。エレインが助かることは万に一つも無いだろう。
「くっく、さて、間も無く日が落ちる。《転移門》にこの場所を記録して、街に戻るぞ」
「了解」
ルナが用意した魔石を他の3人が受け取る。
《転移門》とは、ダンジョン攻略に必須のアイテムだ。冒険者が到達した場所の情報を記録し、次回ダンジョンに入る際に、その記録した場所に転移することができるものだ。
ボスの間の前を記録することで、街でしっかりとアイテムや装備の準備を整え、そのままのコンディションでボス戦に挑むことができる。
足手まといも居なくなり、悲願の70階層踏破は目の前だ。
「ふっ、ははっ、アッハッハ!!」
アレクの高笑いがダンジョン内にこだました。
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