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第二部 パーティに捨てられた泣き虫魔法使いは、ダンジョンの階層主に溺愛される
87. ウォンを訪ねる者
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「ウォン…」
「ふ、そんな心配そうな顔をするな。俺は大丈夫だ」
かつての同胞が今、ダンジョンに一矢報いようと暗躍している。その事実に少なからずウォンは心を痛ませているのではないか。
エレインはそんな思いが顔に出ていたようで、逆にウォンに気遣われてしまった。
「シンはよほどダンジョンを毛嫌いしているようだな。いつか何かをしでかすのではと思ってはいたのだ。だが、他者との繋がりを絶ち生きてきた俺が唯一友と認めたお前が、その企てに巻き込まれたとなると…流石に怒りを感じるな」
『友』
ウォンが初めて自らエレインのことをそう言った。そのことがエレインは嬉しくてむず痒くて、だけど自分が巻き込まれたことでウォンが憤っている。そのことが悲しくてやるせない。
「お前は、これからそのシンって奴が何を仕掛けてくると思う?」
しばらく目を閉じ腕組みをして考え込んでいたホムラが、静かに目を開くとウォンに問いかけた。
「そうだな…お前たちの話を聞くに、シンは既に様々な闇の魔道具でダンジョンを混乱させたようだな。そして今回の件…ハイエルフの魂など、そう簡単に奪えるものではない。今回の企てはシンにとって、とっておきの一手だったと推測する」
「とっておき…」
「そもそもハイエルフはかなり強力な魔物だ。エレインが見た記憶のように、家族や仲間を人質にされ、狡猾な罠に嵌められない限りは我らが叶う相手ではないのだよ。もし、シンがハイエルフの魂をいくつも奪っていたとしたら、それを知った他のハイエルフの末裔に始末されているはずだ。ハイエルフは仲間思いだからな」
そう言い、ウォンはちらりとその末裔の一人であるエレインに視線を投げる。そして少し躊躇った後に口を開いた。
「エレインがハイエルフの末裔と知り、長年保管してきたハイエルフの魂を利用しようと考えたのだろう」
「あ…」
ハイエルフの魔力は膨大だ。血を引く自分が依代となることで、ようやくその力を発揮することができたとしたら。
「…私のせいで、迷惑をかけてごめんなさい…」
「馬鹿野郎、悪いのは全部シンって野郎だ」
しょんぼりと肩を落とすエレインをホムラが叱咤する。
「ともかく、奴は地上にいるんだ。ダンジョンにいる俺たちが簡単に接触できる相手じゃねぇ。とっておきの手を使ったってんなら、しばらくちょっかいを出してこねぇだろ」
「…そうだといいんですけどねぇ」
ホムラの言葉に、眉根を下げながらボソリとアグニが呟く。誰もが思っていたことだけに、しばしの沈黙がその場を包む。
暗い雰囲気を吹き飛ばすように、エレインはわざと明るい声を出した。
「ここで悩んでも仕方ないですし、シンって人が何か仕掛けてくるにしろ、返り討ちにできるぐらい強くなればいいんですよ!」
「ったく、身体乗っ取られてた本人が気楽なもんだな」
「うう…もう今回みたいに大切な人たちを傷つけることがないように、もっともっと修行して強くなりますもん!」
「ははっ、その意気だ。しばらく療養したら修行再開だな」
「はい!!」
ともあれ今回は難を逃れたエレイン達。今はそのことを喜びつつ、迫り来る脅威に向けて対策を練ることとなった。
◇◇◇
話し合いの後、エレイン達は70階層に帰還した。ドリューンがこれ以上ホムラがボスの間を離れることを許さなかったからだ。
エレインはウォンに「また遊びに来るね」と笑顔で言い残して帰って行った。
皆を見送った後、ウォンはしばらく大樹の根に腰掛けて思案した。
シンとダンジョンを駆け回っていた日々。
シンがダンジョンを去った日ーーー
ーーーエレインが75階層でサーベルモンキーに襲われていた日。
お礼にとエレインがパンを焼いて持ってきた日。
ホムラとすれ違い消沈していたエレインが数日泊まりにきた日々。
他者との関わりを絶って生きてきたウォンだが、いつの間にか随分と絆されていたようだ。
「…さて、とにかくこいつをどうにかせねばな。99階層へ赴くか」
「その必要はない」
ウォンが腰を上げたと同時に、脳に凛と響く声がした。
本来自らの住処から出ることがない彼らが、どうしてここにーーー
「……こちらから訪ねようと思っていたのだが、まさかここまで出向いてくるとは」
ゆっくりと視線を上げたウォンの目に映ったのは、黄金に輝く髪を靡かせ、同じく黄金に煌めく瞳を宿した若き男であった。その耳は特徴的に尖っている。
「昨夜起こったことは把握している。我らが階層に赴き託そうとしたものがあるのだろう?貰い受けにきた」
「…さすがはハイエルフといったところか。全てお見通しなのだな」
ウォンは静かに狐の面を外すと、吸魂鬼としての力を解放する。喉をそらせ、大きく口を開ける。
そこからは黒い靄が漏れ出していた。
ウォンはその靄を指で摘むようにして体内から取り込んだ古のハイエルフの魂を取り出した。
ウォンの手のひらの上に取り出された黒い靄。ウォンはひとつ息を吐くと、足を踏み出してハイエルフに魂を差し出した。
「ダンジョンを下りたとはいえ、お前達の仲間の魂だ。供養してやってくれ」
そう言ったウォンをじっと見つめ、ハイエルフの男はウォンの手から哀しみの色に染まった同胞の魂を受け取った。
「里に戻り、大切に弔おう」
命を落としたのがダンジョンであれば。
魂があればその魔物をダンジョンが再生してくれただろう。だが、ダンジョンの外で落とした命にまでダンジョンは干渉することができない。ダンジョンを去ったことで、ダンジョンとの繋がりは断たれてしまうのだ。
古のハイエルフの魂は、仲間達の供養により悲しみや憎しみを取り除かれた後、神の庭に召されるだろう。ダンジョンにより死んでも復活を遂げる魔物では、決して行きつけない場所へと旅立つのだ。
ハイエルフの男は哀しげな表情を浮かべた後、感情を抑えてウォンに向き合った。
「二人の同胞を救ってくれたこと、感謝する」
その言葉にウォンは目を見開いた。
そしてハイエルフの男は、「万一にも、再び同胞が傷付けられようものなら、我らは容赦はしない」と言い残して深い森の中へと消えていった。
ーーー二人、か
ダンジョンに残ったハイエルフは地上に降りた者達と仲違いをしていたと思っていたが、暮らす世界は違えど、彼らが仲間を想う気持ちに変わりはないようだ。
その中に、エレインもいる。
ひとまずエレインが99階層に住まうハイエルフに敵視されていないことが分かっただけでも、ウォンにとっては大きな収穫だった。
「ふ、そんな心配そうな顔をするな。俺は大丈夫だ」
かつての同胞が今、ダンジョンに一矢報いようと暗躍している。その事実に少なからずウォンは心を痛ませているのではないか。
エレインはそんな思いが顔に出ていたようで、逆にウォンに気遣われてしまった。
「シンはよほどダンジョンを毛嫌いしているようだな。いつか何かをしでかすのではと思ってはいたのだ。だが、他者との繋がりを絶ち生きてきた俺が唯一友と認めたお前が、その企てに巻き込まれたとなると…流石に怒りを感じるな」
『友』
ウォンが初めて自らエレインのことをそう言った。そのことがエレインは嬉しくてむず痒くて、だけど自分が巻き込まれたことでウォンが憤っている。そのことが悲しくてやるせない。
「お前は、これからそのシンって奴が何を仕掛けてくると思う?」
しばらく目を閉じ腕組みをして考え込んでいたホムラが、静かに目を開くとウォンに問いかけた。
「そうだな…お前たちの話を聞くに、シンは既に様々な闇の魔道具でダンジョンを混乱させたようだな。そして今回の件…ハイエルフの魂など、そう簡単に奪えるものではない。今回の企てはシンにとって、とっておきの一手だったと推測する」
「とっておき…」
「そもそもハイエルフはかなり強力な魔物だ。エレインが見た記憶のように、家族や仲間を人質にされ、狡猾な罠に嵌められない限りは我らが叶う相手ではないのだよ。もし、シンがハイエルフの魂をいくつも奪っていたとしたら、それを知った他のハイエルフの末裔に始末されているはずだ。ハイエルフは仲間思いだからな」
そう言い、ウォンはちらりとその末裔の一人であるエレインに視線を投げる。そして少し躊躇った後に口を開いた。
「エレインがハイエルフの末裔と知り、長年保管してきたハイエルフの魂を利用しようと考えたのだろう」
「あ…」
ハイエルフの魔力は膨大だ。血を引く自分が依代となることで、ようやくその力を発揮することができたとしたら。
「…私のせいで、迷惑をかけてごめんなさい…」
「馬鹿野郎、悪いのは全部シンって野郎だ」
しょんぼりと肩を落とすエレインをホムラが叱咤する。
「ともかく、奴は地上にいるんだ。ダンジョンにいる俺たちが簡単に接触できる相手じゃねぇ。とっておきの手を使ったってんなら、しばらくちょっかいを出してこねぇだろ」
「…そうだといいんですけどねぇ」
ホムラの言葉に、眉根を下げながらボソリとアグニが呟く。誰もが思っていたことだけに、しばしの沈黙がその場を包む。
暗い雰囲気を吹き飛ばすように、エレインはわざと明るい声を出した。
「ここで悩んでも仕方ないですし、シンって人が何か仕掛けてくるにしろ、返り討ちにできるぐらい強くなればいいんですよ!」
「ったく、身体乗っ取られてた本人が気楽なもんだな」
「うう…もう今回みたいに大切な人たちを傷つけることがないように、もっともっと修行して強くなりますもん!」
「ははっ、その意気だ。しばらく療養したら修行再開だな」
「はい!!」
ともあれ今回は難を逃れたエレイン達。今はそのことを喜びつつ、迫り来る脅威に向けて対策を練ることとなった。
◇◇◇
話し合いの後、エレイン達は70階層に帰還した。ドリューンがこれ以上ホムラがボスの間を離れることを許さなかったからだ。
エレインはウォンに「また遊びに来るね」と笑顔で言い残して帰って行った。
皆を見送った後、ウォンはしばらく大樹の根に腰掛けて思案した。
シンとダンジョンを駆け回っていた日々。
シンがダンジョンを去った日ーーー
ーーーエレインが75階層でサーベルモンキーに襲われていた日。
お礼にとエレインがパンを焼いて持ってきた日。
ホムラとすれ違い消沈していたエレインが数日泊まりにきた日々。
他者との関わりを絶って生きてきたウォンだが、いつの間にか随分と絆されていたようだ。
「…さて、とにかくこいつをどうにかせねばな。99階層へ赴くか」
「その必要はない」
ウォンが腰を上げたと同時に、脳に凛と響く声がした。
本来自らの住処から出ることがない彼らが、どうしてここにーーー
「……こちらから訪ねようと思っていたのだが、まさかここまで出向いてくるとは」
ゆっくりと視線を上げたウォンの目に映ったのは、黄金に輝く髪を靡かせ、同じく黄金に煌めく瞳を宿した若き男であった。その耳は特徴的に尖っている。
「昨夜起こったことは把握している。我らが階層に赴き託そうとしたものがあるのだろう?貰い受けにきた」
「…さすがはハイエルフといったところか。全てお見通しなのだな」
ウォンは静かに狐の面を外すと、吸魂鬼としての力を解放する。喉をそらせ、大きく口を開ける。
そこからは黒い靄が漏れ出していた。
ウォンはその靄を指で摘むようにして体内から取り込んだ古のハイエルフの魂を取り出した。
ウォンの手のひらの上に取り出された黒い靄。ウォンはひとつ息を吐くと、足を踏み出してハイエルフに魂を差し出した。
「ダンジョンを下りたとはいえ、お前達の仲間の魂だ。供養してやってくれ」
そう言ったウォンをじっと見つめ、ハイエルフの男はウォンの手から哀しみの色に染まった同胞の魂を受け取った。
「里に戻り、大切に弔おう」
命を落としたのがダンジョンであれば。
魂があればその魔物をダンジョンが再生してくれただろう。だが、ダンジョンの外で落とした命にまでダンジョンは干渉することができない。ダンジョンを去ったことで、ダンジョンとの繋がりは断たれてしまうのだ。
古のハイエルフの魂は、仲間達の供養により悲しみや憎しみを取り除かれた後、神の庭に召されるだろう。ダンジョンにより死んでも復活を遂げる魔物では、決して行きつけない場所へと旅立つのだ。
ハイエルフの男は哀しげな表情を浮かべた後、感情を抑えてウォンに向き合った。
「二人の同胞を救ってくれたこと、感謝する」
その言葉にウォンは目を見開いた。
そしてハイエルフの男は、「万一にも、再び同胞が傷付けられようものなら、我らは容赦はしない」と言い残して深い森の中へと消えていった。
ーーー二人、か
ダンジョンに残ったハイエルフは地上に降りた者達と仲違いをしていたと思っていたが、暮らす世界は違えど、彼らが仲間を想う気持ちに変わりはないようだ。
その中に、エレインもいる。
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