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第15話 ザバンの港と指輪①
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翌日、部屋に迎えに来たラルフと共に、マリアンヌは国随一の港へとやって来た。マリアンヌが上陸した際に使用した港とは異なり、獣王国の敷地内に所有する国営の港だ。
港は磯の香りに満ちており、マリアンヌは深く肺に懐かしい空気を吸い込む。
「さて、家族に便りを出すんだよな。どうするんだ?」
「ふふ、見ていてください」
煩わしそうに装っているが、ラルフは何やかんやでマリアンヌの行動を尊重してくれている。マリアンヌは僅かに微笑むと、手を海に入れてチャプチャプと水をかき回す。すると水面に波紋が広がり、間も無く水面から色鮮やかな魚たちが顔を出した。
「みんな、久しぶりね。元気にしてた?」
興味深そうにラルフが見守る中、マリアンヌは魚たちとしばしの談笑を楽しむ。海王国に大きな変化はないようで安心した。
「お父様とお母様に伝えてくれる?マリアンヌは元気にしていると。獣王国の王子殿下と結婚して幸せになります、と」
「待て待て待て!!!」
「え?何か間違っていたかしら?」
「間違いしかねぇわ!そんな報告したら海王国が混乱に陥るだろっ!事実だけを伝えろ!」
「もう、仕方がありませんわ。こほん、マリアンヌは元気だと、獣王国で不自由なく暮らしていると伝えてください」
「まぁ、それぐらいならいいか…」
呆れ顔でラルフが見守る中、マリアンヌは当初の目的を無事に果たすことができたのだった。
◇◇◇
「せっかく港に来たんだ、俺はちょっくら漁業組合に顔を出してくる。あまり遠くに行くなよ」
「ええ、少し海辺で風に当たっておりますわ」
ラルフはそう言うと、王子の顔つきになり足早に組合の建物へと向かって行った。ラルフは自分の足で民の様子を確認する主義らしく、その点はとても好感が持てる。
マリアンヌは活気に溢れる漁港から少し離れて、岩場付近にやってきた。少し海に潜りたい気持ちもあるので、人影がなければその隙に泳いでしまおうかしらと考えていると、岩場の一角に蹲る男の子の姿が目に入った。
(あら?こんなところで子供が一人でどうかしたのかしら?この辺りの海は穏やかだけど、波に飲まれたらひとたまりもないわ)
マリアンヌは愛しの獣人を守るべく、男の子に近づき声をかけた。
「ごきげんよう。ここは海が近くて危ないわ?どうかしたのかしら」
「…お主は?」
(お主…?大人びた物言いをするのね。素敵っ!)
顔を上げた男の子は凛々しく大人びた顔立ちをしている。金色の髪に立派な耳、金色に煌めく瞳には水面の光が反射して輝きを増していた。見た目よりも低く重厚な声音で驚いたが、どこか威厳に満ちた雰囲気を纏っている。
「私はマリアンヌ。何か困り事なら協力するわ」
男の子はマリアンヌを見極めるように鋭く目を眇めている。マリアンヌはたじろがずに微笑みを返す。子供ながらに強気な態度もまた愛らしい。この国の獣人は皆可愛くて尊い。うっかり頬が緩みそうになるが、幼子を怖がらせないように頬を引き締める。
「…………………指輪」
「え?」
「指輪を落とした。毎日探しに来ているが、見つからない」
「まぁ、それは…」
男の子は苦しそうに表情を歪めた。よほど大切な指輪なのだろう。獣人の男の子をこれ以上悲しませるわけにはいかない。マリアンヌは喜んで協力することにした。
「微力ながら指輪を探すお手伝いをしますわ!それで、指輪は岩場に?それとも海の中に?」
「岩場は恐らく探し尽くした。これだけ探して見つからないのであれば、考えたくはないが海に落ちたのだろうな」
「なるほど、それならなんとかなるかもしれないわ」
「は?」
海はマリアンヌの庭。この近くの魚たちに協力を仰げば何か手がかりが見つかるだろう。それよりもマリアンヌ自身の能力で解決する方が早いかもしれない。
「よし、じゃあちょっと行ってくるわね!あ、念の為に耳を押さえておいてくださいまし」
「行くって、まさか…おいっ」
男の子が制止する間もなく、マリアンヌは海に飛び込んだ。あっという間にマリアンヌの脚は尾鰭へと変わり、海底深くへと潜っていく。岩場付近は意外と水深があるようだ。
(うん、この辺りは潮も穏やかね。遠洋に流されることはなさそう。ということはこの辺りにあるはずね…)
ざっと岩場に沿って海中を泳いで探すが、小さな指輪は簡単には見つからない。マリアンヌは尾鰭を揺らし、海中に留まった。
(さて、久しぶりに使おうかしら)
マリアンヌは目を閉じて左右のこめかみに指を当てる。
意識を集中し、カッと口から放たれたのは――高密度の超音波であった。マリアンヌの超音波は海中で反響し、岩や魚、海藻に反射して戻ってくる。
(うーん…あら?)
マリアンヌの頭の中には超音波によって把握した海中の地図がぼんやり浮かび上がる。すると、岩場に隠れた辺りに小さな丸い輪っかのシルエットを捉えた。
マリアンヌは超音波を止めてその場所へと向かう。
(この辺りだと思うんだけど…あっ!)
キョロキョロと当たりをつけた場所を見回すと、海底に刺さった木の枝に、きらりと光るものを見つけた。枝に引っ掛かっていたのは、シンプルなデザインの指輪だった。
恐らく探し物はこれだろう。マリアンヌはそっと指輪を手に取ると、水面に浮上した。
「あったわ!」
「うわぁっ!」
ざばんと勢いよく海面から飛び出すと、男の子は海を覗き込んでいたのか、マリアンヌに驚いて尻餅をついてしまった。
「あら、ごめんあそばせ」
「あったのか?」
男の子は素早く立ち上がってマリアンヌの近くに駆け寄った。マリアンヌは岩場に身体を持ち上げて人の姿に変化した。ペンダントの風で身体を乾かすと、男の子の手を取り、その手に指輪を握らせた。
「これかしら?」
「…ああ。ああ!これだ、よかった…!これで殺されないで済むぞ…!」
「んん?」
男の子は指輪を握りしめると、何やら物騒なことを口にした。それほど価値の高い代物なのだろうか。
マリアンヌが首を傾げていると、男の子はマリアンヌの手を取り恭しくお辞儀をした。見惚れるほど優雅な所作であった。
「心より感謝する。ところで、何かキーンとした音が鳴っていたが、大丈夫だったのか?」
「ええ、エコーロケーションと言いまして、超音波でモノの位置を把握することができるのです」
「ほう、魚人特有の能力か?興味深いな」
「ふふっ、加護のおかげで使えるのですよ」
「なるほど…それでお前の守護獣と言うのは…」
「あーーーーーーー!!!こんなところに居た!!勝手に離れるなと言っただろうがっ!」
男の子の問いかけを遮るように耳に届いたのは、ラルフの怒声であった。
「あら王子殿下」
「なんだラルフも来ていたのか」
「ん?ラルフ?」
獣王国の王子であるラルフに気安く話しかけた男の子に、マリアンヌは怪訝な顔をした。理由を問おうと口を開く前に、その答えはラルフの口から紡がれた。
「父上っ!?なぜこんなところにいらっしゃるのですか?」
「お父上…ということは…えっ!!!?」
ラルフは王子。その父といえばこの獣王国を統べる国王で――
(え~~~~~~~~~!??!?!)
マリアンヌは心の中で絶叫した。口に出さなかった自分を大いに誉めたいが、この国の王族は何故こうも不意に現れるのだろうか。
マリアンヌは口をぱくぱくさせながらラルフと男の子…もとい国王陛下を交互に見比べた。
港は磯の香りに満ちており、マリアンヌは深く肺に懐かしい空気を吸い込む。
「さて、家族に便りを出すんだよな。どうするんだ?」
「ふふ、見ていてください」
煩わしそうに装っているが、ラルフは何やかんやでマリアンヌの行動を尊重してくれている。マリアンヌは僅かに微笑むと、手を海に入れてチャプチャプと水をかき回す。すると水面に波紋が広がり、間も無く水面から色鮮やかな魚たちが顔を出した。
「みんな、久しぶりね。元気にしてた?」
興味深そうにラルフが見守る中、マリアンヌは魚たちとしばしの談笑を楽しむ。海王国に大きな変化はないようで安心した。
「お父様とお母様に伝えてくれる?マリアンヌは元気にしていると。獣王国の王子殿下と結婚して幸せになります、と」
「待て待て待て!!!」
「え?何か間違っていたかしら?」
「間違いしかねぇわ!そんな報告したら海王国が混乱に陥るだろっ!事実だけを伝えろ!」
「もう、仕方がありませんわ。こほん、マリアンヌは元気だと、獣王国で不自由なく暮らしていると伝えてください」
「まぁ、それぐらいならいいか…」
呆れ顔でラルフが見守る中、マリアンヌは当初の目的を無事に果たすことができたのだった。
◇◇◇
「せっかく港に来たんだ、俺はちょっくら漁業組合に顔を出してくる。あまり遠くに行くなよ」
「ええ、少し海辺で風に当たっておりますわ」
ラルフはそう言うと、王子の顔つきになり足早に組合の建物へと向かって行った。ラルフは自分の足で民の様子を確認する主義らしく、その点はとても好感が持てる。
マリアンヌは活気に溢れる漁港から少し離れて、岩場付近にやってきた。少し海に潜りたい気持ちもあるので、人影がなければその隙に泳いでしまおうかしらと考えていると、岩場の一角に蹲る男の子の姿が目に入った。
(あら?こんなところで子供が一人でどうかしたのかしら?この辺りの海は穏やかだけど、波に飲まれたらひとたまりもないわ)
マリアンヌは愛しの獣人を守るべく、男の子に近づき声をかけた。
「ごきげんよう。ここは海が近くて危ないわ?どうかしたのかしら」
「…お主は?」
(お主…?大人びた物言いをするのね。素敵っ!)
顔を上げた男の子は凛々しく大人びた顔立ちをしている。金色の髪に立派な耳、金色に煌めく瞳には水面の光が反射して輝きを増していた。見た目よりも低く重厚な声音で驚いたが、どこか威厳に満ちた雰囲気を纏っている。
「私はマリアンヌ。何か困り事なら協力するわ」
男の子はマリアンヌを見極めるように鋭く目を眇めている。マリアンヌはたじろがずに微笑みを返す。子供ながらに強気な態度もまた愛らしい。この国の獣人は皆可愛くて尊い。うっかり頬が緩みそうになるが、幼子を怖がらせないように頬を引き締める。
「…………………指輪」
「え?」
「指輪を落とした。毎日探しに来ているが、見つからない」
「まぁ、それは…」
男の子は苦しそうに表情を歪めた。よほど大切な指輪なのだろう。獣人の男の子をこれ以上悲しませるわけにはいかない。マリアンヌは喜んで協力することにした。
「微力ながら指輪を探すお手伝いをしますわ!それで、指輪は岩場に?それとも海の中に?」
「岩場は恐らく探し尽くした。これだけ探して見つからないのであれば、考えたくはないが海に落ちたのだろうな」
「なるほど、それならなんとかなるかもしれないわ」
「は?」
海はマリアンヌの庭。この近くの魚たちに協力を仰げば何か手がかりが見つかるだろう。それよりもマリアンヌ自身の能力で解決する方が早いかもしれない。
「よし、じゃあちょっと行ってくるわね!あ、念の為に耳を押さえておいてくださいまし」
「行くって、まさか…おいっ」
男の子が制止する間もなく、マリアンヌは海に飛び込んだ。あっという間にマリアンヌの脚は尾鰭へと変わり、海底深くへと潜っていく。岩場付近は意外と水深があるようだ。
(うん、この辺りは潮も穏やかね。遠洋に流されることはなさそう。ということはこの辺りにあるはずね…)
ざっと岩場に沿って海中を泳いで探すが、小さな指輪は簡単には見つからない。マリアンヌは尾鰭を揺らし、海中に留まった。
(さて、久しぶりに使おうかしら)
マリアンヌは目を閉じて左右のこめかみに指を当てる。
意識を集中し、カッと口から放たれたのは――高密度の超音波であった。マリアンヌの超音波は海中で反響し、岩や魚、海藻に反射して戻ってくる。
(うーん…あら?)
マリアンヌの頭の中には超音波によって把握した海中の地図がぼんやり浮かび上がる。すると、岩場に隠れた辺りに小さな丸い輪っかのシルエットを捉えた。
マリアンヌは超音波を止めてその場所へと向かう。
(この辺りだと思うんだけど…あっ!)
キョロキョロと当たりをつけた場所を見回すと、海底に刺さった木の枝に、きらりと光るものを見つけた。枝に引っ掛かっていたのは、シンプルなデザインの指輪だった。
恐らく探し物はこれだろう。マリアンヌはそっと指輪を手に取ると、水面に浮上した。
「あったわ!」
「うわぁっ!」
ざばんと勢いよく海面から飛び出すと、男の子は海を覗き込んでいたのか、マリアンヌに驚いて尻餅をついてしまった。
「あら、ごめんあそばせ」
「あったのか?」
男の子は素早く立ち上がってマリアンヌの近くに駆け寄った。マリアンヌは岩場に身体を持ち上げて人の姿に変化した。ペンダントの風で身体を乾かすと、男の子の手を取り、その手に指輪を握らせた。
「これかしら?」
「…ああ。ああ!これだ、よかった…!これで殺されないで済むぞ…!」
「んん?」
男の子は指輪を握りしめると、何やら物騒なことを口にした。それほど価値の高い代物なのだろうか。
マリアンヌが首を傾げていると、男の子はマリアンヌの手を取り恭しくお辞儀をした。見惚れるほど優雅な所作であった。
「心より感謝する。ところで、何かキーンとした音が鳴っていたが、大丈夫だったのか?」
「ええ、エコーロケーションと言いまして、超音波でモノの位置を把握することができるのです」
「ほう、魚人特有の能力か?興味深いな」
「ふふっ、加護のおかげで使えるのですよ」
「なるほど…それでお前の守護獣と言うのは…」
「あーーーーーーー!!!こんなところに居た!!勝手に離れるなと言っただろうがっ!」
男の子の問いかけを遮るように耳に届いたのは、ラルフの怒声であった。
「あら王子殿下」
「なんだラルフも来ていたのか」
「ん?ラルフ?」
獣王国の王子であるラルフに気安く話しかけた男の子に、マリアンヌは怪訝な顔をした。理由を問おうと口を開く前に、その答えはラルフの口から紡がれた。
「父上っ!?なぜこんなところにいらっしゃるのですか?」
「お父上…ということは…えっ!!!?」
ラルフは王子。その父といえばこの獣王国を統べる国王で――
(え~~~~~~~~~!??!?!)
マリアンヌは心の中で絶叫した。口に出さなかった自分を大いに誉めたいが、この国の王族は何故こうも不意に現れるのだろうか。
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