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第36話 季節外れの豪雨
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「ようやく止みそうね…」
窓に手を添えて、激しさが和らいできた雨粒を窓越しに指で伝うと、マリアンヌは小さくため息をついた。
シェリルと久々にお茶会を楽しんだ翌日から、三日三晩激しい雨が降り続いていた。海賊の知らせはその日のうちに港に出向いて魚たちに言伝を頼んであるが、この天気だときっと海も大いに荒れているだろう。
サバン獣王国は雨季には長雨が続くそうだが、この時期にこんなに激しく雨が降り続くことは珍しいようだ。洗濯物がさっぱり乾かないとテディが愚痴をこぼしていた。
流石に三日も部屋に篭りっぱなしだと身体が鈍ってしまうので、少し王宮内を散歩しようという話になり、マリアンヌはテディを連れて部屋を出た。
◇◇◇
「あら?何だか少し…騒がしいわね」
「本当ですね…何かあったのでしょうか?」
シェリルの部屋近くに差し掛かった時、焦ったような話し声が聞こえてきた。
マリアンヌとテディは顔を見合わせると、控えめにシェリルの部屋の扉をノックした。
「……マリアンヌ!?」
「ラルフ様?」
警戒した様子で部屋から顔を覗かせたのは、ラルフであった。マリアンヌを認識したラルフは驚き目を見開いている。
「その、何かあったのでしょうか?」
「ああ……困ったことになっている」
話すべきか一瞬躊躇したラルフであるが、小さく息を吐くとマリアンヌたちを室内に招き入れた。
そこにはレナード王とカミラの姿もあり、物々しい雰囲気である。二人はベッドの傍らにいて、その心配そうな視線の先には苦しげに眠るシェリルの姿があった。
「おお、マリアンヌか」
チラリとこちらを見たレナード王であるが、すぐに視線はシェリルに戻される。
マリアンヌは二人にお辞儀をして挨拶をすると、断りを入れてシェリルの側に近づいた。
「ん……うう……」
シェリルは眠りについているようだが、その顔色は優れない。額にはじんわり脂汗をかいている。
「この雨のせいで体調が優れんようなのじゃ。そろそろ薬も底をつく。本来ならリェン国の商人が到着する頃合いなのじゃが…何せこの天気じゃ、あと数日はかかるじゃろう」
シェリルの額の汗を拭いながら、カミラが眉尻を下げる。すっかり我が子を心配する母の顔である。
その時、ココンッと少し慌てた様子で扉がノックされた。
再びラルフが訪問者の確認に行くが、「なんだと!?」という声に全員がそちらに視線を投げた。
重々しい表情で振り返ったラルフが口にした言葉はあまりに絶望的だった。
「リェン国の商人がいつも使っている山道が土砂崩れで埋まってしまったと……巻き込まれた人はいないようですが、山が抉れてしまっていて土砂の撤去もかなり時間がかかりそうとのことです」
「なっ、ではシェリルの薬は…!?」
「道がない以上、手に入れるのは難しいですね」
なんということだ。
恐らくこの豪雨の影響で、山の地盤が崩れてしまったのだろう。今から船を手配しようにも、無事に到着したとて十日はかかる。
部屋にはしばしの沈黙と、シェリルの荒い息遣いだけが響いた。
マリアンヌはシェリルの側に寄り、その苦しげな表情を窺う。そして窓の外に視線を投げた。
(今夜には止みそうね。発つなら早いほうがいいわ)
マリアンヌは覚悟を決めると、レナード王、カミラ、そしてラルフに視線を投げた。その強い意志が込められた眼差しに、三人は顔を見合わせる。
「私が海を泳いで薬を取りに参りますわ」
「なっ!?船で十日はかかるんだぞ!?」
マリアンヌの提案に、ラルフは瞠目してマリアンヌに駆け寄った。
「ええ、ですがそれは安全な海路を航行した場合、ですわ。私なら最短距離で海を渡れます。ふふ、これでも海王国一の泳ぎ手ですのよ?ラルフ様はよーくご存じでしょう?」
「ぐ、お前の泳力はよく知っているが、それでも何日かかる?危険な海域もあるのだろう?それに昨今では海賊の噂もある。簡単に頼める内容ではない」
「そうだぞ、その申し出は実にありがたいが、マリアンヌの身に何か起きてみろ。国際問題に発展しかねん。獣王国の王として認めるわけには…」
ラルフもレナード王も、マリアンヌの言葉に渋い顔をしている。二人の意見も尤もであるが、マリアンヌからすれば一番重要なのは、現にシェリルが苦しんでおり、このまま薬が届かなければ命の危険も及びかねないということである。
いつ届くが分からない薬を待ち続けるなんて、マリアンヌには到底我慢ならなかった。
「みくびらないでくださいまし。このマリアンヌ・セイレーン、困った人のために自らの力を振るわない、そんな不義理な女に育てられたわけではありません。私は今この国で大変よくしていただいておりますわ。その恩を返す機会もいただけないのでしょうか?」
「だが……」
「それにこう見えても結構強いのですよ?海では私の守護獣たちも何かあれば駆けつけてくれます。ここはどうか、私を信じてください」
「マリアンヌ…」
強い意志のこもったピンクブロンドの瞳に真っ直ぐ見据えられ、ラルフは根負けしたようにため息をついた。
「分かった。俺はマリアンヌを信じよう」
「ラルフ!?」
「父上、母上、俺からも頼みます。マリアンヌならきっと、無事に薬を届けてくれます」
「ラルフ様…」
ラルフはマリアンヌに微笑みかけ、両親に向かって頭を下げた。その様子に顔を見合わせるレナード王とカミラも覚悟を決めたように力強く頷いた。
「そこまで言うのならば、必ず無事に戻ることを条件に…頼んでも良いだろうか?」
「ええ、もちろんですわ!お任せください」
「雨が止み次第、鳩を飛ばして事情をリェン国に伝えよう。マリアンヌ、必要なものがあれば遠慮なく言うのだぞ?」
そう言われて、うーんと顎に指を添えるマリアンヌは、にっこりと微笑んだ。
「しっかり腹ごなしさせていただけると、頑張れますわ」
「はははっ!お前らしいな。よし、料理長に伝えておくから……」
「お待ちなさいな!!話は聞かせてもらったわ!!」
僥倖がさし、ピンと張り詰めていた空気が弛緩した時、扉を開けて部屋に飛び込んできたのはシャーロットであった。
シャーロットはバサリと扇子を広げて口元を隠しつつ、鋭い眼差しでマリアンヌを睨みつける。
「これは私たち獣人の問題。それに魚人のあなたが口を挟むなど言語道断ですわ!私が我が家のツテを使って薬を手配いたします!ですからあなたは部屋に篭ってなさい。そして無力な自分を呪うことね。おーっほっほ!」
余りに勝手な物言いに、皆がポカンと呆けている中、マリアンヌは胸に手を当てて胸を張ると、シャーロットの前に立ちはだかった。
「いいえ。私は参ります。これは魚人や獣人どうこうという話ではございません。一人の少女の命に関わることなのです」
マリアンヌの言葉と強い眼力に、一歩後ずさったシャーロットは、悔しそうに歯を食いしばりながらビシリと扇子をマリアンヌに突きつけた。
「くっ……いいわ、じゃあ勝負よ!どっちが先に薬を届けることができるのか…勝負なさい!」
「シャーロット!シェリルの身体に障る!静かにしろ!」
バチバチ火花を散らす二人に割って入ったラルフは、キッとシャーロットを睨みつける。だが、睨まれたシャーロットはポッと頬を朱色に染めるばかりで反省の色はない。それどころか、とんでもないことを言い始めた。
「いい?勝った方がラルフ様の婚約者になるのよ!」
「はあっ!?何勝手なことを…」
シャーロットの提案にギョッと目を見開くラルフに対し、あくまでもマリアンヌは冷静である。
「その話、お断りしますわ」
「な、なんですって!?」
まさか断られるとは思ってもみなかったシャーロットは、理解できないとばかりに表情を歪めた。
「私は私で全力で薬を取りに参ります。シャーロット様も何か手段をお持ちでしたらどうかご尽力くださいませ。どちらが早いか競っている場合ではありません。どちらであろうとも一分一秒でも早くシェリルに薬を届ける、それだけが重要なことなのですわ」
「くっ……この女…偉そうに!」
「では、私は準備がございますので、失礼いたします」
ギリギリ歯を食いしばるシャーロットの横を颯爽と通り過ぎるマリアンヌ。部屋を出る時にくるりと振り返り、「私が戻るまで、どうかシェリルを支えてあげてください」と言って頭を下げるとマリンブルーの髪を翻してその場を後にした。
後に残されたシャーロットは、忌々しげに扇子を床に叩きつけていた。
窓に手を添えて、激しさが和らいできた雨粒を窓越しに指で伝うと、マリアンヌは小さくため息をついた。
シェリルと久々にお茶会を楽しんだ翌日から、三日三晩激しい雨が降り続いていた。海賊の知らせはその日のうちに港に出向いて魚たちに言伝を頼んであるが、この天気だときっと海も大いに荒れているだろう。
サバン獣王国は雨季には長雨が続くそうだが、この時期にこんなに激しく雨が降り続くことは珍しいようだ。洗濯物がさっぱり乾かないとテディが愚痴をこぼしていた。
流石に三日も部屋に篭りっぱなしだと身体が鈍ってしまうので、少し王宮内を散歩しようという話になり、マリアンヌはテディを連れて部屋を出た。
◇◇◇
「あら?何だか少し…騒がしいわね」
「本当ですね…何かあったのでしょうか?」
シェリルの部屋近くに差し掛かった時、焦ったような話し声が聞こえてきた。
マリアンヌとテディは顔を見合わせると、控えめにシェリルの部屋の扉をノックした。
「……マリアンヌ!?」
「ラルフ様?」
警戒した様子で部屋から顔を覗かせたのは、ラルフであった。マリアンヌを認識したラルフは驚き目を見開いている。
「その、何かあったのでしょうか?」
「ああ……困ったことになっている」
話すべきか一瞬躊躇したラルフであるが、小さく息を吐くとマリアンヌたちを室内に招き入れた。
そこにはレナード王とカミラの姿もあり、物々しい雰囲気である。二人はベッドの傍らにいて、その心配そうな視線の先には苦しげに眠るシェリルの姿があった。
「おお、マリアンヌか」
チラリとこちらを見たレナード王であるが、すぐに視線はシェリルに戻される。
マリアンヌは二人にお辞儀をして挨拶をすると、断りを入れてシェリルの側に近づいた。
「ん……うう……」
シェリルは眠りについているようだが、その顔色は優れない。額にはじんわり脂汗をかいている。
「この雨のせいで体調が優れんようなのじゃ。そろそろ薬も底をつく。本来ならリェン国の商人が到着する頃合いなのじゃが…何せこの天気じゃ、あと数日はかかるじゃろう」
シェリルの額の汗を拭いながら、カミラが眉尻を下げる。すっかり我が子を心配する母の顔である。
その時、ココンッと少し慌てた様子で扉がノックされた。
再びラルフが訪問者の確認に行くが、「なんだと!?」という声に全員がそちらに視線を投げた。
重々しい表情で振り返ったラルフが口にした言葉はあまりに絶望的だった。
「リェン国の商人がいつも使っている山道が土砂崩れで埋まってしまったと……巻き込まれた人はいないようですが、山が抉れてしまっていて土砂の撤去もかなり時間がかかりそうとのことです」
「なっ、ではシェリルの薬は…!?」
「道がない以上、手に入れるのは難しいですね」
なんということだ。
恐らくこの豪雨の影響で、山の地盤が崩れてしまったのだろう。今から船を手配しようにも、無事に到着したとて十日はかかる。
部屋にはしばしの沈黙と、シェリルの荒い息遣いだけが響いた。
マリアンヌはシェリルの側に寄り、その苦しげな表情を窺う。そして窓の外に視線を投げた。
(今夜には止みそうね。発つなら早いほうがいいわ)
マリアンヌは覚悟を決めると、レナード王、カミラ、そしてラルフに視線を投げた。その強い意志が込められた眼差しに、三人は顔を見合わせる。
「私が海を泳いで薬を取りに参りますわ」
「なっ!?船で十日はかかるんだぞ!?」
マリアンヌの提案に、ラルフは瞠目してマリアンヌに駆け寄った。
「ええ、ですがそれは安全な海路を航行した場合、ですわ。私なら最短距離で海を渡れます。ふふ、これでも海王国一の泳ぎ手ですのよ?ラルフ様はよーくご存じでしょう?」
「ぐ、お前の泳力はよく知っているが、それでも何日かかる?危険な海域もあるのだろう?それに昨今では海賊の噂もある。簡単に頼める内容ではない」
「そうだぞ、その申し出は実にありがたいが、マリアンヌの身に何か起きてみろ。国際問題に発展しかねん。獣王国の王として認めるわけには…」
ラルフもレナード王も、マリアンヌの言葉に渋い顔をしている。二人の意見も尤もであるが、マリアンヌからすれば一番重要なのは、現にシェリルが苦しんでおり、このまま薬が届かなければ命の危険も及びかねないということである。
いつ届くが分からない薬を待ち続けるなんて、マリアンヌには到底我慢ならなかった。
「みくびらないでくださいまし。このマリアンヌ・セイレーン、困った人のために自らの力を振るわない、そんな不義理な女に育てられたわけではありません。私は今この国で大変よくしていただいておりますわ。その恩を返す機会もいただけないのでしょうか?」
「だが……」
「それにこう見えても結構強いのですよ?海では私の守護獣たちも何かあれば駆けつけてくれます。ここはどうか、私を信じてください」
「マリアンヌ…」
強い意志のこもったピンクブロンドの瞳に真っ直ぐ見据えられ、ラルフは根負けしたようにため息をついた。
「分かった。俺はマリアンヌを信じよう」
「ラルフ!?」
「父上、母上、俺からも頼みます。マリアンヌならきっと、無事に薬を届けてくれます」
「ラルフ様…」
ラルフはマリアンヌに微笑みかけ、両親に向かって頭を下げた。その様子に顔を見合わせるレナード王とカミラも覚悟を決めたように力強く頷いた。
「そこまで言うのならば、必ず無事に戻ることを条件に…頼んでも良いだろうか?」
「ええ、もちろんですわ!お任せください」
「雨が止み次第、鳩を飛ばして事情をリェン国に伝えよう。マリアンヌ、必要なものがあれば遠慮なく言うのだぞ?」
そう言われて、うーんと顎に指を添えるマリアンヌは、にっこりと微笑んだ。
「しっかり腹ごなしさせていただけると、頑張れますわ」
「はははっ!お前らしいな。よし、料理長に伝えておくから……」
「お待ちなさいな!!話は聞かせてもらったわ!!」
僥倖がさし、ピンと張り詰めていた空気が弛緩した時、扉を開けて部屋に飛び込んできたのはシャーロットであった。
シャーロットはバサリと扇子を広げて口元を隠しつつ、鋭い眼差しでマリアンヌを睨みつける。
「これは私たち獣人の問題。それに魚人のあなたが口を挟むなど言語道断ですわ!私が我が家のツテを使って薬を手配いたします!ですからあなたは部屋に篭ってなさい。そして無力な自分を呪うことね。おーっほっほ!」
余りに勝手な物言いに、皆がポカンと呆けている中、マリアンヌは胸に手を当てて胸を張ると、シャーロットの前に立ちはだかった。
「いいえ。私は参ります。これは魚人や獣人どうこうという話ではございません。一人の少女の命に関わることなのです」
マリアンヌの言葉と強い眼力に、一歩後ずさったシャーロットは、悔しそうに歯を食いしばりながらビシリと扇子をマリアンヌに突きつけた。
「くっ……いいわ、じゃあ勝負よ!どっちが先に薬を届けることができるのか…勝負なさい!」
「シャーロット!シェリルの身体に障る!静かにしろ!」
バチバチ火花を散らす二人に割って入ったラルフは、キッとシャーロットを睨みつける。だが、睨まれたシャーロットはポッと頬を朱色に染めるばかりで反省の色はない。それどころか、とんでもないことを言い始めた。
「いい?勝った方がラルフ様の婚約者になるのよ!」
「はあっ!?何勝手なことを…」
シャーロットの提案にギョッと目を見開くラルフに対し、あくまでもマリアンヌは冷静である。
「その話、お断りしますわ」
「な、なんですって!?」
まさか断られるとは思ってもみなかったシャーロットは、理解できないとばかりに表情を歪めた。
「私は私で全力で薬を取りに参ります。シャーロット様も何か手段をお持ちでしたらどうかご尽力くださいませ。どちらが早いか競っている場合ではありません。どちらであろうとも一分一秒でも早くシェリルに薬を届ける、それだけが重要なことなのですわ」
「くっ……この女…偉そうに!」
「では、私は準備がございますので、失礼いたします」
ギリギリ歯を食いしばるシャーロットの横を颯爽と通り過ぎるマリアンヌ。部屋を出る時にくるりと振り返り、「私が戻るまで、どうかシェリルを支えてあげてください」と言って頭を下げるとマリンブルーの髪を翻してその場を後にした。
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