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04_とんとん拍子に進む話
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「そうかそうか…ヴェルナーくんと…うんうん、そうか」
「お、お父様…鼻水が出てるわ」
「うん?すまない。いやぁ、嬉しくてな……ぶーん!」
ヴェルナーの求婚を受け入れたアイビスは、ヴェルナーと共に談話室へと向かった。
既にリッドは父のデュークに追い返されていたようで、その場には両親がにこやかな笑みを携えてソファに座っていた。
「いやぁ、リッドのことはすまなかった。俺のリサーチ不足だ。真面目で温厚なやつだと思っていたのだが、
とんだ変態野郎だったなんて…俺が鉄槌を下しておいたから安心するといい」
「あ、あはは…大丈夫よ。私は無事だった訳だし」
「それにしても!窓から飛び降りるとは何事だ!!危うく大怪我をするところだったのだぞ!?ヴェルナーくんが抱き止めてくれたからよかったものを……」
「だから、それはもう謝ったじゃない…」
「反省の色が見えん!」
長くなりそうなお説教に唇を尖らせて抗議するも、ピシャリと雷を落とされてしまって、アイビスの肩はびくりと跳ねた。
くどくどとお説教を受けている間に、隣の伯爵家からヴェルナーのご両親が到着した。侍従を走らせて、二人の婚約を知らせたのだ。
ちょうど屋敷に居合わせたヴェルナーの両親――父のエーリヒと母のコラールは文字通り飛んできた。
談話室に飛び込むなり、二人の父親はヒシと固い抱擁を交わし、その他一同に呆れられてしまった。
軍部の長であるアイビスの父と、文官を取りまとめるヴェルナーの父は昔からの友人である。
どうやら、アイビスたちが子供の頃に、『二人が恋に落ちて結婚なんてことになったら最高だな』『そうだな。兄弟!』と酒を飲み交わしていたらしい。
二人の気持ちが第一と、親同士が決めた婚約者にはならなかったものの、あわよくばアイビスたちの関係が進展しないかと今でも稀に語り合っていたという。
そんな祝福モード漂う中、諸々の話がどんどんと進んでいき、アイビスは目が回りそうになっていた。
「結婚式は教会?大々的にやる?それだと少し準備に時間がかかるわね……」
「親族と近しい友人だけを呼んだガーデンパーティはどうだろうか?アットホームな感じでいいだろう」
「あら!それ、いいわね!ガーデンパーティだったら場所の手配も要らないし、料理と来客、あとはウェディングドレスに牧師様ね」
「ウェディングドレスは私のものを設え直しましょう。ああ、娘に自分のドレスを着せる日をどれほど夢に見たことか!アイビスは背が高いから継布をしなくちゃね。うふふ、腕が鳴るわぁ」
「牧師については知り合いに頼んでみよう。予定を確認してパーティの日取りを決めてしまおう。ああ、アイビスの花嫁姿…想像しただけでもう泣けそうだ」
「まあ、あなたったら!気が早いわよ」
「あはははは」
当人たちが口を挟む間もなく、あれよあれよと話が決まり、二人の結婚式はガーデンパーティ形式で、一ヶ月後に執り行われることとなった。
あまり目立つことを好かないアイビスは、教会で大々的に行うよりも身近な規模でまとまりそうな流れに、ホッと息を吐く。
「それにしても……まさかヴェルナーくんがずっと一途にアイビスを想ってくれていたとはなあ。うっ、ありがとう。ありがとう…」
「もう、お父様ったら、大袈裟……」
今日だけでも何回泣かれているのだろう。
アイビスの前ではいつも気丈に振る舞っていたため知らなかったのだが、どうやら父は随分と涙脆いらしい。
苦笑しつつ、すっかりデュークの涙で湿ったハンカチを差し出すアイビスであるが、胸の内はポカポカと温かかった。
両親が、そしてヴェルナーの家族もが、二人の結婚を祝福してくれている。
つい先ほどまで結婚を諦めかけていたアイビスからすれば、奇跡とも思しき事態である。
そんな奇跡をもたらした張本人にチラリと視線を投げる。するとすぐにアイビスの視線に気付いたヴェルナーは、本当に心から幸せそうに目元を和ませた。その表情に、どきりと胸が高鳴り、アイビスは慌てて俯いてしまう。
一転してキリッと表情を引き締めたヴェルナーは、アイビスの両親に対して深く頭を下げた。
「アルファルーン伯爵殿、俺が必ずアイビスを幸せにします。今日まで彼女を愛し、守り抜いてくださったこと、心より感謝申し上げます」
「ヴェルナーぐぅん……!!うっ、うぉぉぉぉ!!よろしぐだのむよぉ!」
「あなた……」
既に鼻水じゅるじゅる、目元も涙でぐしゃぐしゃになった親バカデュークの様子に、妻のアルドラは呆れた顔を見せつつ、その表情には隠しきれない喜びが滲み出ていた。
「ヴェルナーくん。うちのじゃじゃ馬娘をどうぞよろしくね。家も隣だし、何かあったら遠慮なく頼ってね」
「はい、任せてください」
「ちょ、ちょっと……!」
聞き捨てならない単語が飛び出して目を剥くアイビスであるが、強く否定できないところが何とも心苦しい。
「うむうむ!引っ越しはガーデンパーティのあとだな!アイビスの部屋を急いで用意せねばな」
「ええ、楽しみねえ。こんな可愛い子が私の娘になるだなんて」
ヴェルナーの両親も、アイビスの嫁入りを心から喜んでくれている。何より大切な一人息子が長年の想いを実らせたということが嬉しいようだ。
「ずっと、アイビスちゃんみたいな子がヴェルと結婚してくれたらなって思っていたのよお」
「うんうん、これで心置きなく伯爵位をヴェルナーに継いで隠居できるというものだ」
アイビスとヴェルナーが結婚したら、ロテスキュー伯爵家はヴェルナーが継ぐことになる。
元々帰国後に爵位を継ぐ予定だったらしく、両親は街外れのセカンドハウスで伸び伸び暮らすつもりで前々から準備を進めていたという。
「うむ、我らもアイザックが結婚したことだし、家を継いで隠居するつもりだったのだ。はぁ…子供の成長がこうも早いとは…ぐすっ」
エーリヒに同意するように、デュークもこれからの人生計画を口にする。だが、感極まった彼はまたぐじぐじと涙ぐんでいる。
「もう~お父様ったら……」
その場はとても穏やかな笑い声に包まれ、アイビスはこれから始まる新しい生活が楽しみだと、自然とそう思えたのだった。
「お、お父様…鼻水が出てるわ」
「うん?すまない。いやぁ、嬉しくてな……ぶーん!」
ヴェルナーの求婚を受け入れたアイビスは、ヴェルナーと共に談話室へと向かった。
既にリッドは父のデュークに追い返されていたようで、その場には両親がにこやかな笑みを携えてソファに座っていた。
「いやぁ、リッドのことはすまなかった。俺のリサーチ不足だ。真面目で温厚なやつだと思っていたのだが、
とんだ変態野郎だったなんて…俺が鉄槌を下しておいたから安心するといい」
「あ、あはは…大丈夫よ。私は無事だった訳だし」
「それにしても!窓から飛び降りるとは何事だ!!危うく大怪我をするところだったのだぞ!?ヴェルナーくんが抱き止めてくれたからよかったものを……」
「だから、それはもう謝ったじゃない…」
「反省の色が見えん!」
長くなりそうなお説教に唇を尖らせて抗議するも、ピシャリと雷を落とされてしまって、アイビスの肩はびくりと跳ねた。
くどくどとお説教を受けている間に、隣の伯爵家からヴェルナーのご両親が到着した。侍従を走らせて、二人の婚約を知らせたのだ。
ちょうど屋敷に居合わせたヴェルナーの両親――父のエーリヒと母のコラールは文字通り飛んできた。
談話室に飛び込むなり、二人の父親はヒシと固い抱擁を交わし、その他一同に呆れられてしまった。
軍部の長であるアイビスの父と、文官を取りまとめるヴェルナーの父は昔からの友人である。
どうやら、アイビスたちが子供の頃に、『二人が恋に落ちて結婚なんてことになったら最高だな』『そうだな。兄弟!』と酒を飲み交わしていたらしい。
二人の気持ちが第一と、親同士が決めた婚約者にはならなかったものの、あわよくばアイビスたちの関係が進展しないかと今でも稀に語り合っていたという。
そんな祝福モード漂う中、諸々の話がどんどんと進んでいき、アイビスは目が回りそうになっていた。
「結婚式は教会?大々的にやる?それだと少し準備に時間がかかるわね……」
「親族と近しい友人だけを呼んだガーデンパーティはどうだろうか?アットホームな感じでいいだろう」
「あら!それ、いいわね!ガーデンパーティだったら場所の手配も要らないし、料理と来客、あとはウェディングドレスに牧師様ね」
「ウェディングドレスは私のものを設え直しましょう。ああ、娘に自分のドレスを着せる日をどれほど夢に見たことか!アイビスは背が高いから継布をしなくちゃね。うふふ、腕が鳴るわぁ」
「牧師については知り合いに頼んでみよう。予定を確認してパーティの日取りを決めてしまおう。ああ、アイビスの花嫁姿…想像しただけでもう泣けそうだ」
「まあ、あなたったら!気が早いわよ」
「あはははは」
当人たちが口を挟む間もなく、あれよあれよと話が決まり、二人の結婚式はガーデンパーティ形式で、一ヶ月後に執り行われることとなった。
あまり目立つことを好かないアイビスは、教会で大々的に行うよりも身近な規模でまとまりそうな流れに、ホッと息を吐く。
「それにしても……まさかヴェルナーくんがずっと一途にアイビスを想ってくれていたとはなあ。うっ、ありがとう。ありがとう…」
「もう、お父様ったら、大袈裟……」
今日だけでも何回泣かれているのだろう。
アイビスの前ではいつも気丈に振る舞っていたため知らなかったのだが、どうやら父は随分と涙脆いらしい。
苦笑しつつ、すっかりデュークの涙で湿ったハンカチを差し出すアイビスであるが、胸の内はポカポカと温かかった。
両親が、そしてヴェルナーの家族もが、二人の結婚を祝福してくれている。
つい先ほどまで結婚を諦めかけていたアイビスからすれば、奇跡とも思しき事態である。
そんな奇跡をもたらした張本人にチラリと視線を投げる。するとすぐにアイビスの視線に気付いたヴェルナーは、本当に心から幸せそうに目元を和ませた。その表情に、どきりと胸が高鳴り、アイビスは慌てて俯いてしまう。
一転してキリッと表情を引き締めたヴェルナーは、アイビスの両親に対して深く頭を下げた。
「アルファルーン伯爵殿、俺が必ずアイビスを幸せにします。今日まで彼女を愛し、守り抜いてくださったこと、心より感謝申し上げます」
「ヴェルナーぐぅん……!!うっ、うぉぉぉぉ!!よろしぐだのむよぉ!」
「あなた……」
既に鼻水じゅるじゅる、目元も涙でぐしゃぐしゃになった親バカデュークの様子に、妻のアルドラは呆れた顔を見せつつ、その表情には隠しきれない喜びが滲み出ていた。
「ヴェルナーくん。うちのじゃじゃ馬娘をどうぞよろしくね。家も隣だし、何かあったら遠慮なく頼ってね」
「はい、任せてください」
「ちょ、ちょっと……!」
聞き捨てならない単語が飛び出して目を剥くアイビスであるが、強く否定できないところが何とも心苦しい。
「うむうむ!引っ越しはガーデンパーティのあとだな!アイビスの部屋を急いで用意せねばな」
「ええ、楽しみねえ。こんな可愛い子が私の娘になるだなんて」
ヴェルナーの両親も、アイビスの嫁入りを心から喜んでくれている。何より大切な一人息子が長年の想いを実らせたということが嬉しいようだ。
「ずっと、アイビスちゃんみたいな子がヴェルと結婚してくれたらなって思っていたのよお」
「うんうん、これで心置きなく伯爵位をヴェルナーに継いで隠居できるというものだ」
アイビスとヴェルナーが結婚したら、ロテスキュー伯爵家はヴェルナーが継ぐことになる。
元々帰国後に爵位を継ぐ予定だったらしく、両親は街外れのセカンドハウスで伸び伸び暮らすつもりで前々から準備を進めていたという。
「うむ、我らもアイザックが結婚したことだし、家を継いで隠居するつもりだったのだ。はぁ…子供の成長がこうも早いとは…ぐすっ」
エーリヒに同意するように、デュークもこれからの人生計画を口にする。だが、感極まった彼はまたぐじぐじと涙ぐんでいる。
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