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第十二話 煩悩とボンキュッボン
しおりを挟むメギドと横穴に潜り込み、入口を閉じた。
高さはセバスが少し屈む程度だが、あのモンスターラッシュの中よく作ったものだ。
「深山さ……セバス様って呼んだ方がいいですか?」
「深山は死にましたからね。セバスの方が今はしっくりきます。」
「じゃあ私もメギドで!セバス様、今回は本当に助かりました。助けに来てくれた時、カッコよすぎて惚れ直しちゃいましたよ!」
「私もメギドの可愛さにはびっくりしました。泣き顔ですら可愛いとは。」
「えっ!私目腫れてませんでした!?大丈夫かな、やっ、こんな顔でセバス様の前に!?」
どこからか手鏡を取り出し、自分の顔を見るメギド。そんな事しなくても可愛いのに。
「大丈夫です。私随分と悩殺されておりますから。」
「それなら良かった……。でもよく4日ぐらいで私のこと見つけられましたね。」
「4日?私達が現実日本で死んだのは昨日の午後のことですよ?」
「えっ?私ここで4日過ごしてますよ?時計はメイドの嗜みで持ってますし間違いありません。」
「ふむ。どうやら外の世界とここでは時間の流れが違うようですな。通りでなかなか外に出れないと思いました。」
「外の世界ではまだ1日しか経ってないんですか?」
「そうです。来楽亭の受付嬢に場所を聞けたのは運が良かった。スタームにはライムさんとグリードさんが一緒に来てくれています。」
「え!ライムちゃん来てるんですか!?わ~!嬉しいな!」
「そういえば2人はよく一緒にいましたね。」
「甘いもの同好会の同志ですから!(ギュルルルル)あう……甘いものとか言ってたらお腹が……」
エヘンと綺麗な胸を張るメギドのお腹がなる。
顔を真っ赤にしてお腹を抑えるメギドは、可憐だ。
それにしても3日もの間戦い続けていたのか。
もっと早くスタームに向かっていれば……いや、これは後悔になるか。今は助けられたことを喜ぼう。
「もしかして3日も飲まず食わずですか?」
「いえ、食べる暇がなかったので、カロリー〇イトと果物を食べてました。」
「それではお腹がすいて当然です。私料理出来ますので、なにかお作りしましょう。これも執事の嗜み故。」
「本当ですか!やった!!そう言えばセバス様日本で自炊してましたね。」
「ええ。自分の好きなものを食べれますからな。さて、取り敢えず胃に優しいものをお作り致しましょう。」
そう言ってセバスはアイテムボックスから簡易調理台を取り出す。
水や火、換気などは生活魔法と呼ばれる誰でも使えちゃう便利魔法があるので何とかなる。
お米を炊きながら、シイタケ、人参、鶏もも肉をぶつ切りにし、炊きあがるのを待つ。
少し固めに炊いたお米の鍋にそのまま材料を入れ、ミリン、醤油、塩、鶏がらスープの素を入れ味を整える。溶き卵を垂らしてひと煮立ちさせてネギ、胡麻を振りかけてから完成だ。
「出来ました。熱いですから冷まして食べると良いですよ。」
「じゃ、じゃあ、あの!セバス様、あの……フーフーしてくれませんか?」
「これはこれは予想外です。喜んで!」
何ともまあ可愛い生物がいたもんだ。
ある程度フーフーして冷ました雑炊を口元へ運ぶ。あ~ん、でだ。なんだこのリア充。
一応今キルゾーンなんだけどな。……まあいっか。可愛いし。
「ハフハフ……ごくん。……え、美味しい!!」
「ホホホ!喜んでいただけて何よりです。フーフー、はいどうぞ。」
「あ~ん、ハフハフ、むふふ!!」
メギドは用意したご飯を全部食べきった。男の分量で作ったため少し多いかともおもったのだが、やはり3日の戦闘は気が滅入っていたのだろう。
「美味しかったです!く、ふああ~…なんだか…お腹いっぱいになったら眠くなっちゃいました。」
「それでしたら、少し仮眠して下さい。見張りは私がしておきますから。」
「ありがとうございます、セバス様。何だったら襲ってくれてもいいんですよ~。」
「緊急事態でなければ言われなくともそういたしますがね。」
「それなら良かった~…………すぅー」
何がいいのかよくわからないが、今は緊急事態なので変なことはしない。
と言うよりむしろ。セバスは自他ともに認める変態執事だ。がしかし。イエスエロノータッチが基本だ。紳士協定とも言うが別名はチキンであるとも言える。
セバスの足元で横になる美少女は綺麗な顔で眠っている。仕方ないのだ。こんな美女が隣で寝ていて、執事アーイが勝手に動いてしまうのも仕方ないのだ。事故なのだ。
「ふむ。D、ですかな。……ではなくて。煩悩退散煩悩退散。」
セバスが煩悩と戦い、天使と悪魔がダンスバトルを繰り広げ、南無妙法蓮華経がソワカするのは1時間ほど続いた。
「ん?ふむ?メギドの体が消えていく?」
「…………ぇ?え?セバス様!?」
「おや、おはようございますメギド。」
「あ、おはようございます。じゃなくて!!体が!体が消えて!!」
「大丈夫です。おそらくライムさんでしょう。思ったより時差がありました。落ち着きなさいなメギド。外に出られますぞ。」
「え!本当ですか!!やったー!!!」
「ええ。では、向こう側で会いましょう。」
「はい!!」
笑顔のままで消えていくメギドを見送る。
向こうとの時差を考えればセバスが表に出るのもあと5分程度であろう。
「しかし、約1日が4日にまで引き伸ばされるとは。ここはまさに精神と時のへ【それ以上言うと見知らぬ力に消されるぞ?】…………はて、何者でしょうか?」
独り言を邪魔する存在。しかも何処か神々しい響き。
【私はヴェーダ。一応この世界で主神をやってる。あ、ここ重要なんだがな。ベーダ、じゃなくて下唇をかんでヴェーダな。】
「ふむ。こだわりのある神様降臨のようです。」
【……なんかもっとリアクション無えの?】
「ふおおお!ありがたやー!でございます。」
【……お前な。いや、いいや。取り敢えずこっち来い。】
「はてさてどこへ行けばっ!?ヌオォォオオオ!!」
急な浮遊感が体を支配する。
右へ左へと重力が動き回り、シャギーの運転する車内のように三半規管がもみくちゃにされていく。
「フヌオオオ!!【センセスタビリティ】!!!」
真っ白な地面にビタンと押し付けられる直前に、ニベアにも渡した感覚を落ち着かせるエンチャントを掛けれたのは幸運だった。
吐き気がスッと収まり、そのまま立ち上がる。
「ふう。私とした事が。もう少しでマーライオンになる所でした。」
「急に呼び出してすまんな。ちょっとタイミングよかったもんでよ。」
ふと見れば目の前に絶世の美女が立っていた。
目鼻立ちは完璧な配置。メギドを絶世の美少女とすれば、こちらは美女。いわゆる色気漂うアダルト系!!
ふむ。ふむふむふむ!なんと!!90-57-78ですとおおおお!???
「なんと言うダイナマイッ!!素晴らしい!!そして神々しいお召し物おぉ!!」
なんと。女神様は薄手の羽衣によって先端部分は見えないが、それ以外はスケスケの服で身を包んでいた。
「ん?おお?なんかよくわからんが話聞く気になったようだな。」
「ええ!!モチのロンですとも!!その御姿!しかと拝見(REC)させていただきます!………ジーーー…」
「よしよし。取り敢えずそこの椅子に座れ。」
女神様が指さす先を確認せずに、女神から目線を離さず、いつの間にか現れた椅子に座るセバス。
女神様も対面に座っている。
脳内REC続行である。
「今回はお前が天上界と近い場所に来てたんでな。勝手だが呼ばせてもらった。」
「いえ!勝手などと!!いつでもお呼びくださいませ!できればその御姿のままで!!」
「ん?あ、ああ。そう言ってもらえると助かる。で、だ。本題に入ると、お前達地球の人間をこの世界に呼んだのは私だ。」
まあ、神と名乗る人物が出てきたからにはそうだろうなと思っていたが、そんなことよりも!!
腕を組んだりする度に強調されるその胸!!
そして足を組み替える度に見えそうで見えないその奥底!!
ムホホホーウ!!この女神様!!どれだけわきまえているのでしょうか~~!!!(RE~C!!)
……………………
「おかえりなの!メギドちゃま!」
「うん!ありがとう、ライムちゃん!……っ?!どこかで気に入らない展開がっ!……」
「どうした?」
「ううん?何でもないよ、グリードさん。セバス様を、ね?早く出してあげなきゃ!ね?ね??」
「「(なんか背景が黒い気がするが。)(なの。)」」
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