転生したので滅ぼすことにしました。

Sato

文字の大きさ
2 / 6
第一章~転生したけど、女児からでした~

クレア、転生する?

しおりを挟む
クレアに転生したとき、彼女(西■寺 華■)は大学二年生の時だった。
彼女の死亡理由は、過労死だった。彼女の遺体は、生涯といってもいい親友によって発見された。19歳にしては過酷すぎる運命を抱えた少女は、その生涯を終えたのだった。

○○○

私の最初の悲劇は、中学二年生のときだったと思う。父と母、三人でデパートに向かう途中の交差点。信号待ちしているときに起きた。父の前にいた黒い服をきた男がいきなり奇声をあげ、刃物を振り回し始めたのだ。その刃物は、ある人は腕を、ある人は頬を、脚を。そんな中父さんは母と私を守ろうとしたその時に男が父さんの脇腹を刺したのだ。それを父は抱え込み、犯人の動きを抑えた。その一幕は全部がスローモーションみたいだった。

「えっ?お父さん?、起きて、起きてよッ!お父さん!!!」

冷めていく父の身体を感じながら、父は息を止めた。

幸か不幸か、犯人は父を刺した後、周囲の男性によって確保されらしい。
その後のニュースでは戦後最大の無差別殺人事件として報道され、死者は父、たった一人だけだった。事件後私は、目の前で父が死んだ光景が離れず、不安を紛らわすかのように母にくっついていた。そして包丁などの刃物と生き物系が鍵になったのか、事件を思い出すようになってしまった。母は事件後ある種となった父の妻としてメディアに追われ、悲しい事件を忘れることすら許されない生活から逃げるように、二人で転居を繰り返した。

そうした苦しい生活の中、高校2年の時に母は私を残して逝ってしまった。母の最期の言葉は、たった一言、「愛してる」だった。

わずか3年の間に両親を亡くした私に残された道は、辛いことを思い出さないように学業とアルバイトを過剰に繰り返し、空いた穴を紛らわすかのように大事に抱きしめた母から貰ったぬいぐるみ。帰っても「おかえり」の言葉が返ってこない灰色の世界。幸い見たものを私の頭は、大変優秀だったようで難関大学に全教科満点という異例の結果と共に首席で入学。逃げるように没頭した。

そんな中、支えとなったのはぬいぐるみと唯一の親友の存在だった。そんな欠けすぎた世界で生きる中、大学一年から感じていた不調を体現するかのように二年の初夏、バイトから帰り、ベッドに倒れるように眠りについた。二度と覚めることのない眠りについたのだ。

○○○

「あぁ、、、ここは、どこ、?」

目が覚めるとそこは自室とは全く違うところだった。辺りを見渡すと、そこは色鮮やかな花畑があった。身体を起こして、ゆったりと歩く。

「なんなんだろう、この花。見たことない、ダリアに近いけどそうじゃない?」

「あぁ、それは■■■だよ、綺麗でしょう」

返ってきたのは、鈴の音を鳴らしたかのような中性的な声。どこか安心するかのような声。驚いて振り返ると杖をもった青年がいた。白い髪に少し垂れた優し気な瞳。

「えっ、あの。あなたは、、、?」

「私の名前は、メガルド。そしてここは君たち人間の言う、天国?かな。とりあえず、こっちにおいで」

「はっ、はい(えっ、天国?死んだの私。)」

死んだと聞いてどこか納得してしまい、そんなメガルドに招かれ歩いていくとそこには、テーブルと椅子が置いてあり、おいしそうな飲み物とクッキーが置いていた。

「さて、と。君、死んじゃったんだ。西■寺 華■さん。これには事情がある」

「死んだんですね、私。それで事情って何ですか?」

死んだは死んだ、でも事情って何なんだろう。

「説明するには、因果というものを説明しないといけないんだけど、、、」

「確か、原因と結果の関係を表したもの、でしたっけ?」

そう答えるとメガルドは満足したようで深く頷いた。

「そうだよ。そして神側、つまり私からするともう一つ追加されるんだよね。それが。そう、何言ってんだって話だよね。」

「運命?」

「そう、運命。原因があって結果があり、それらをあらゆる運命という視点を通した上で因果が決定するんだ。これを因果といって君の場合は運命という視点の指向性が全てマイナスしかなかったんだ。規則上プラスもマイナスも等しく、なのにね。」

「つまり、どっちにしろマイナスな結果でしかなかった、ってことですか?」

「そうっ!それが今回の結果でもある。」

事情を聞いた私は納得する他なかった。

「なので、補填しなきゃいけないんだよ。君には特に。正直から見ても酷かった。君のおかげで若干不十分だったほかの種の軌条因果も調節しなきゃいけなくなって、結構な影響が出たんだ。つまり、、、」

「補填?影響って何ですか?」

「君が死んだおかげで、地球上の生きとし生ける全ての種は適切な因果を辿るようになったんだ。これはすごい功績だよ」

メガルドの言葉の意味を理解はした。私の死が見知らぬ誰かの不幸を幸運に変換できたと。ただ納得できるものじゃなかった。そうして考えが巡りに巡って、出てしまった。

「こう、せき?えっ、、、なんでッッッ、私だって、私だって、幸せになりたかったッ!!お父さんは死なないでッ、お母さんは優しく抱きしめてくれてッ、幸せに、、、幸せになりたかっ、、ったあぁ。私の人生、何だったの、、、」

中2から始まった全てが超高速で過ぎ去っていく。5年間耐えたその糸は既に切れている。漏れ出た言葉は留まることを知らない。そうして吐き出していると、メガルドはそっと私を抱きしめた。

「ごめんよ、これは僕ら神々のミスだ。本当に済まない。全ての神を代表して謝罪させてほしい。本当に済まなかった。」

メガルドの言葉を聞き、事情を理解した。メガルドからの寄り添うかのような抱擁は私に久しい人肌の優しさを思い出させ、欠けた心の隙間を癒していった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...