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18:絡まれるセリムⅡ
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レイニーの介入により何故か戦う事が勝手に決まってしまったセリム。
(まぁ、いいか…)
どのみち対人戦は経験しときたいしいいか、と納得し闘技場に向かおうとするとラッツが話しかけてくる。
「セリム、すまん。俺の所為で」
勢いよく頭を下げてくるラッツ。それに続いてメルも頭を下げてくる。
頭の下げたことにより肩まである髪が重力に従って垂れる。やはり女性なのだろう、少しいい匂いが広がった。
「構わなさ、それよりも昨日の傷はもういいのか?」
「あぁ、問題ない。俺はこれでも一応戦士のジョブ持ちだからな」
今更だがそう言うラッツは胴と肩、胸と腰回りに鎧を付けていた。メルは弓術師とかなのだろうか。動きやすさを重視した革の鎧を付けており、背中には弓矢を背負っている。とそこへ、フィーネが少し慌てた様子でやってくる。
「セリムさんっ!」
「何ですか?」
「大丈夫なんですか? まだ一次職にもついていないのに…仮にもあの三人はCランクパーティーなんですよ」
冒険者ギルドでは階級によって受けられる依頼が異なってくる。この世界ではEランクから始まりSSSランクまである。EとDは初心者。CとBから中級者。Aは上級者。Sが超級者。SSとSSSが神級者。と言う具合に八つの段階がある。
Cランクには上がれる人は多いがDランクの時のままの気持ちなどで挑む人が多いため、生き残る人がかなり少ないのだそうだ。
昨日のオーガもCランクとのこと。そこから上の階級は努力して何とかAまで行けるかどうかだそうだ。Sは才能や運がないと厳しいらしい。さらにその上の階級は、もはや人間をやめた存在とまで言われるとされている。
ちなみに神敵スキル保持者はスキルの所持が認められただけでS、使えるようになればSSと区分される存在である。もちろん討伐対象としてだが…
そんな話しをフィーネから聞かされるがいまいちピンと来ないセリム。すごいのは分かるのだが…
「何してんだクソがっ、さっさと来いよ。それともビビッてこれねーか?」
今すぐにでもぶっ殺してやると言わんばかりの目つきでイラつきをあらわにするオードは挑発するかのように乱暴な言葉を吐き捨てる。
「と言う事なんでここで、あぁ、とこれ荷物預かっといてもらえます」
魔石を入れた鞄をフィーネに渡し闘技場へと向かう。まだ何か言いたそうな面持ちでいたフィーネだったがセリムが闘技場に行くのを見送るのだった。
闘技場へと移動するとそこにはこのバトルを見ようと集まった野次馬が結構な数集まっていた。真ん中まで移動しオード達三人と向かい合う。そのあとに遅れてラッツとメル、フィーネがやってきた。
「ビビッて来ないのかとおもったが、よく来たな」
「一つ賭けのしないか?」
「賭けだと?」
どうやら話しを聞く気はあるようなので内容を言う。
「そうだ、金でも何でも構わない」
「なら、俺はお前を奴隷にする権利をいただこうか、一生逆らえないようにしてやるからよ」
もしかしてゲイなのかと一瞬思ったが話が拗れると面倒なので自制する。普通自分が賭けるものを言うと思うのだが…それも自制だ。
「なら俺も同じものをいただこうか。後ろの二人もそれで構わないか?」
確認の意味を込めて聞くと二人は直ぐにうなずいた。
負けるとは微塵も思っていないのだろう。そのために多少不利な賭けにも乗ってきたってところか。
(これでこいつら全員の金も装備もすべて手に入る訳だ。売れば少しは資金の足しになるだろう)
そんなことを話しているとレイニーが今回の戦いの説明を始めた。
「賭けをするのは勝手だけど、今回の戦いは模擬戦として戦ってもらうわ。殺すのはもちろん、治療できない傷を負わせるのは禁止ね。分かったかしら?」
「分かった」
「んなぁことはわかってんだよ。さっさと始めさせろよ」
四人が全員了解の意を伝える。
「そっ、それじゃこの場はギルドマスターであるレイニー・グレイシアが公平なジャッチをすることを誓うわ」
その言葉を最後にレイニーは下がる。
(あれがここのギルドマスターだったのか)
その直後開始の合図が放たれ戦闘の幕が開いた。
三人は、オードが見た目戦士だろう。大剣らしきものを両手で持ち構えている。モスクは盗賊とかそのあたりだろうか。逆手に持った短剣を構えている。最後の一人、ジャンは拳にメリケンサックらしきものを嵌めて、ボクシングのようなポージグをしている。拳闘士とかだろう。
まず、オードが斬りかかってくる。袈裟斬り、横なぎなどを連続で繰り出してきた。C級で生き残っていると言うだけあり中々やるようだ。オードが切り付けているその隙にモスクが投擲武器でかわす範囲を狭め攻撃を当てやすくしている。
「避けるのに手一杯かい?ステータスを隠しているからどんなもんかと思ったが、弱すぎて公開できないだけのかい」
そう言いながらも攻撃の手は少しも緩めないモスク。
ステータス云々言っているのでどうやら鑑定系のスキルを持っているらしかった。
セリムにしてみればこの攻撃は遅すぎて纏衣を使わないまでも肉体のスペックだけで防げるレベルだ。ジャンはまだ動き出していない。拳を武器にするためまだ加われないのだろう。
状況を確認したセリムのやることは早かった。
「オラァ オラァ、どうした」
「口を閉じろ、唾が飛ぶ」
そう言った直後、セリムはオードの大剣を素手で受け止めた。といっても指と指で挟んでだか。
「なっ…」
「軽いな、力入れてんのか?」
掴んだ剣を力任せに奪い取り、射線上にオードを突き飛ばしモスクからの攻撃を遮る。直ぐにオードの後を追いかけると蹴り飛ばす。そのあとモスクに向かい大剣を投擲。
ボガンと爆発音にも似た音が鳴り響き闘技場の床が抉れた。
「何だよあれ、ってかあいつ誰なんだよ」
「昨日冒険者登録に来た奴らしい」
周りの会話がからちらほら聞こえてくるが全て無視だ。雑魚相手でも油断は禁物。オード、モスクは両名ともすでに気を失っているのか動かない。
「待たせたな」
ジャンは今の光景に驚いていたようだが、直ぐに構え直すと短い呼気と共に拳を放ってきた。しかし、その攻撃は…
「クッソ、何であたらねぇ!」
ジャンは拳闘士と言う事でそれなりにスピードはある方なのだが先程から掠りもしない。
そして腹に一発もらい盛大に吹っ飛んだ。
三人とも気を失い倒れている。何とも情けないやつらだ。その光景をみて闘技場に集まっていた野次馬どもは静まり返りその中にレイニーの試合の終了を告げる声だけが響いた。
(まさか、ここまでやるなんてね。中々の逸材じゃないかしらね)
こうしてオードたちとの一戦は幕を下ろした。ちなみに勝った報酬として金など装備を含め、売れるものはすべて奪った。
周りからはうわ~と言う感じがしたが気にせず奪う。
さすがに三人分を一人だと持ち切れなかったので、ラッツ、メル、フィーネを呼びアウェー感満載の中手伝わせた。最中は三人とも肩身の狭い思いをしていたようだった。
特にフィーネは眼尻に涙をためて何で私が~と言っていたが、根が真面目なのか放り出すことなく手伝ってくれた。
身ぐるみの殆どをひっぺがした後に残った三人組は、さすがに奴隷にするために態々運ぶのもめんどうだったのでそのままにしといた。
これにて一件落着と同時にこのことが広まり、また面倒事が舞い込んでくるのだが今は知る由もないセリムだった。
(まぁ、いいか…)
どのみち対人戦は経験しときたいしいいか、と納得し闘技場に向かおうとするとラッツが話しかけてくる。
「セリム、すまん。俺の所為で」
勢いよく頭を下げてくるラッツ。それに続いてメルも頭を下げてくる。
頭の下げたことにより肩まである髪が重力に従って垂れる。やはり女性なのだろう、少しいい匂いが広がった。
「構わなさ、それよりも昨日の傷はもういいのか?」
「あぁ、問題ない。俺はこれでも一応戦士のジョブ持ちだからな」
今更だがそう言うラッツは胴と肩、胸と腰回りに鎧を付けていた。メルは弓術師とかなのだろうか。動きやすさを重視した革の鎧を付けており、背中には弓矢を背負っている。とそこへ、フィーネが少し慌てた様子でやってくる。
「セリムさんっ!」
「何ですか?」
「大丈夫なんですか? まだ一次職にもついていないのに…仮にもあの三人はCランクパーティーなんですよ」
冒険者ギルドでは階級によって受けられる依頼が異なってくる。この世界ではEランクから始まりSSSランクまである。EとDは初心者。CとBから中級者。Aは上級者。Sが超級者。SSとSSSが神級者。と言う具合に八つの段階がある。
Cランクには上がれる人は多いがDランクの時のままの気持ちなどで挑む人が多いため、生き残る人がかなり少ないのだそうだ。
昨日のオーガもCランクとのこと。そこから上の階級は努力して何とかAまで行けるかどうかだそうだ。Sは才能や運がないと厳しいらしい。さらにその上の階級は、もはや人間をやめた存在とまで言われるとされている。
ちなみに神敵スキル保持者はスキルの所持が認められただけでS、使えるようになればSSと区分される存在である。もちろん討伐対象としてだが…
そんな話しをフィーネから聞かされるがいまいちピンと来ないセリム。すごいのは分かるのだが…
「何してんだクソがっ、さっさと来いよ。それともビビッてこれねーか?」
今すぐにでもぶっ殺してやると言わんばかりの目つきでイラつきをあらわにするオードは挑発するかのように乱暴な言葉を吐き捨てる。
「と言う事なんでここで、あぁ、とこれ荷物預かっといてもらえます」
魔石を入れた鞄をフィーネに渡し闘技場へと向かう。まだ何か言いたそうな面持ちでいたフィーネだったがセリムが闘技場に行くのを見送るのだった。
闘技場へと移動するとそこにはこのバトルを見ようと集まった野次馬が結構な数集まっていた。真ん中まで移動しオード達三人と向かい合う。そのあとに遅れてラッツとメル、フィーネがやってきた。
「ビビッて来ないのかとおもったが、よく来たな」
「一つ賭けのしないか?」
「賭けだと?」
どうやら話しを聞く気はあるようなので内容を言う。
「そうだ、金でも何でも構わない」
「なら、俺はお前を奴隷にする権利をいただこうか、一生逆らえないようにしてやるからよ」
もしかしてゲイなのかと一瞬思ったが話が拗れると面倒なので自制する。普通自分が賭けるものを言うと思うのだが…それも自制だ。
「なら俺も同じものをいただこうか。後ろの二人もそれで構わないか?」
確認の意味を込めて聞くと二人は直ぐにうなずいた。
負けるとは微塵も思っていないのだろう。そのために多少不利な賭けにも乗ってきたってところか。
(これでこいつら全員の金も装備もすべて手に入る訳だ。売れば少しは資金の足しになるだろう)
そんなことを話しているとレイニーが今回の戦いの説明を始めた。
「賭けをするのは勝手だけど、今回の戦いは模擬戦として戦ってもらうわ。殺すのはもちろん、治療できない傷を負わせるのは禁止ね。分かったかしら?」
「分かった」
「んなぁことはわかってんだよ。さっさと始めさせろよ」
四人が全員了解の意を伝える。
「そっ、それじゃこの場はギルドマスターであるレイニー・グレイシアが公平なジャッチをすることを誓うわ」
その言葉を最後にレイニーは下がる。
(あれがここのギルドマスターだったのか)
その直後開始の合図が放たれ戦闘の幕が開いた。
三人は、オードが見た目戦士だろう。大剣らしきものを両手で持ち構えている。モスクは盗賊とかそのあたりだろうか。逆手に持った短剣を構えている。最後の一人、ジャンは拳にメリケンサックらしきものを嵌めて、ボクシングのようなポージグをしている。拳闘士とかだろう。
まず、オードが斬りかかってくる。袈裟斬り、横なぎなどを連続で繰り出してきた。C級で生き残っていると言うだけあり中々やるようだ。オードが切り付けているその隙にモスクが投擲武器でかわす範囲を狭め攻撃を当てやすくしている。
「避けるのに手一杯かい?ステータスを隠しているからどんなもんかと思ったが、弱すぎて公開できないだけのかい」
そう言いながらも攻撃の手は少しも緩めないモスク。
ステータス云々言っているのでどうやら鑑定系のスキルを持っているらしかった。
セリムにしてみればこの攻撃は遅すぎて纏衣を使わないまでも肉体のスペックだけで防げるレベルだ。ジャンはまだ動き出していない。拳を武器にするためまだ加われないのだろう。
状況を確認したセリムのやることは早かった。
「オラァ オラァ、どうした」
「口を閉じろ、唾が飛ぶ」
そう言った直後、セリムはオードの大剣を素手で受け止めた。といっても指と指で挟んでだか。
「なっ…」
「軽いな、力入れてんのか?」
掴んだ剣を力任せに奪い取り、射線上にオードを突き飛ばしモスクからの攻撃を遮る。直ぐにオードの後を追いかけると蹴り飛ばす。そのあとモスクに向かい大剣を投擲。
ボガンと爆発音にも似た音が鳴り響き闘技場の床が抉れた。
「何だよあれ、ってかあいつ誰なんだよ」
「昨日冒険者登録に来た奴らしい」
周りの会話がからちらほら聞こえてくるが全て無視だ。雑魚相手でも油断は禁物。オード、モスクは両名ともすでに気を失っているのか動かない。
「待たせたな」
ジャンは今の光景に驚いていたようだが、直ぐに構え直すと短い呼気と共に拳を放ってきた。しかし、その攻撃は…
「クッソ、何であたらねぇ!」
ジャンは拳闘士と言う事でそれなりにスピードはある方なのだが先程から掠りもしない。
そして腹に一発もらい盛大に吹っ飛んだ。
三人とも気を失い倒れている。何とも情けないやつらだ。その光景をみて闘技場に集まっていた野次馬どもは静まり返りその中にレイニーの試合の終了を告げる声だけが響いた。
(まさか、ここまでやるなんてね。中々の逸材じゃないかしらね)
こうしてオードたちとの一戦は幕を下ろした。ちなみに勝った報酬として金など装備を含め、売れるものはすべて奪った。
周りからはうわ~と言う感じがしたが気にせず奪う。
さすがに三人分を一人だと持ち切れなかったので、ラッツ、メル、フィーネを呼びアウェー感満載の中手伝わせた。最中は三人とも肩身の狭い思いをしていたようだった。
特にフィーネは眼尻に涙をためて何で私が~と言っていたが、根が真面目なのか放り出すことなく手伝ってくれた。
身ぐるみの殆どをひっぺがした後に残った三人組は、さすがに奴隷にするために態々運ぶのもめんどうだったのでそのままにしといた。
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