神すら喰らいしスキルと世界に抗う大罪スキル

てる

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26:報復そして…

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 湖を爆破した翌日。ギルドではある噂が注目の的となっていた。


「おいおい、確かあそこって湖があった場所だよな」
「そうだな、そこは水飲み場とかでモンスターや動物が集まってくるはずだが、今まであんな爆発起こすモンスターなんて見た事も聞いたこともねぇ」
「って言うと、新種のモンスターかよ、あんな爆発起こせる奴に勝てんのかよ」


 などとセリムがやったことはあらぬ方向へと広がりつつあった。周囲が勝手に曲解していく中セリムは素知らぬ顔をしながら、ですよねーと会話に参加し自身は無罪で必死に怖いアピールをしていた。


 そんなセリムだが、アーサーとキーラとの行動は来週あたりからに決まった。そのため今週までは一人だ。アーサーもセリムと同じことを考えているのかもしれない。そんなセリムは今服飾関係の店に来ている。昨日の一件で服がボロボロなのだ。今は宿屋で安物の服を借りているが。

 店に入ると、コロンとベルが鳴る。そこは生前の日本と同じようにーー木の置き場ーー服が置かれていた。世界は変われど商売のやり方は変わらないのかもしれない。

 ボロボロにしてしまったのはカルラから貰った服だったが色など形は結構気に入っていた。が、色はともかく形は同じのが見つからなかったので灰色の七分丈のシャツに黒の薄い羽織物、そして黒いズボン。全身真っ黒である。黒はファッションセンスがない人でもおすすめっ!パチっなどとウインク。

 それからも買い物を続け、次に靴を見ていく。靴に関しては革製のブーツだ。そこまで拘りが有るわけでもないため使えればいいのだ。

 とまぁ、雑に揃える。お金はギルドで魔石などを売って手に入れたものがあるので心配はいらないだろう。会計を済ませているとある物が目に入る。


「これは?」


 アクセサリーっぽいものに魔方陣が刻まれている物が会計台の脇に置いてあったのだ。何て言う商法かは分からなかったが、よくコンビニがやってるやつじゃんと改めて商売は似ていると思うセリムだった。


「それは、ステータスなどを上昇させる効果が付与されたアクセサリーですよ」


 と店員が会計を済ませながら答えてくれる。


「どう作ってるんですかね?」

「さぁ、私ら店員は仕入れるだけですからね。何でも付与スキルが必要だと言うのは聞いたことがありますがね」

「誰が付与スキル持っているとか分かります?」

「ん~、付与師の方としか…あ、でもドワーフなどの鍛冶師の方も持っていると聞きますね」


 重ね重ね聞くセリムに対し嫌な顔一つせず答えてくれる男性店員。会計を済ませるとお礼をいい店を後にする。

 服飾屋を出たセリムは、一旦は宿屋に戻り着替えてから鍛冶屋の所に出向くことにした。服は水魔法で手洗いして干してきている。

 店内に入るが誰もいなかった。奥に引っ込んでいるのかと思い少し大きめの声で呼ぶ。


「すいませーん」

「るせーぞ! 近所迷惑だろーが」


 そう言って出てきたのはやはりと言うべきかドワーフのおっさんだった。ドワーフのおっさんに対し近所迷惑なのはあんただろと自身が出した声よりもでかい声を出した店の店主らしき人物に心の中で突っ込む。


「で、なんだ坊主。」


 客に対してその態度はどうなんだとも思ったが抑える。まだ客になるかは決めていないからだ。


「あんた、付与魔法使えるんですか?」

「あ?、客じゃねーのか?なら悪いが帰ってくれ。こちとら暇じゃないんだよ」


 ため息をつき、これ見よがしに挑発する。


「そっか、持ってないのか…残念だなー。都市アルス一番の腕利き鍛冶師だって聞いて来たのに」


 セリムが言っていることはでまかせである。腕利きかどうかはともかく職人と言うのは己の腕が食って
 いく為の道具であり唯一の武器だ。それを馬鹿にされれば怒るものだろう。それを見越してセリムはこのドワーフに挑発をしたのだ。


「言い度胸だな、小僧。そこまで言うからには、覚悟出来てんだろうな」


 チンピラかよと思いながらも要件を話してみる。




 数十分後――


「ガハハ、中々面白いこと考えるじゃねーか!坊主、いやセリム。まさかそんな発想をする奴がいるとはな」

「それで出来ますか? バロックさん」

 数十分前とは同一人物とは思えない友好的な表情を浮かべる鍛冶屋店主バロック。と言うのもセリムが提案した作ってほしい物が思いのほか意外感があるものだったので関心してしまったのだ。


「まぁ、やってみるだけの価値はあるな。だが上手くいくかは分かんねーぞ、それにかなりの金がかかると思うぞ」

「まぁ、そこは何とかします。魔石など入用なものがあればとってきますが?」


 その言葉にバロックは、まぁ今ある材料で何とかなるだろといい軽い感じで請け負ったのだった。


「それと、バロックさん先程は話を貰聞いてうためとはいえ、すいませんでした」


 それに合わせ軽く会釈する。


「あー、あれな、正直ぶん殴りたいところだったが、俺の方も悪かったってことで互い様だな」


 そのあと少し店にある武器などを見せてもらった。お陰で色々と役に立ちそうな情報を得ることが出来た。


「では、二、三日したらまた来ますんで」

「あぁ、待っとるぞ」


 挨拶を済ませ店を出る。そのまま少し歩くいていると後ろから誰かが付いてくる気配を感じとる。何と言うか悪意のある感じの奴だ。此方をねととりと見つめ、絡み付いてくるような気持ち悪さがある。分かりやすいなと思いながら人気のない所に誘導していく。


(さて、ここなら大丈夫か。いざとなったら魔法だな)


 そう思い振り返ろうとした時、セリムの背中に刃物が刺さった。


「ぎゃははは、調子に乗ってるからそうなるんだよ」


 まったく痛みを感じさせない動作で振り返ると、そこにいたのは案の定オード達三人組だった。以前セリムに絡んで真っ裸にされギルドの地下闘技場に放置された三人組だ。


「何の用だ? また全財産を奪われにわざわざ来たのか?だとしたらお前たちは優秀な奪われ屋だな」

「てめぇ、たまたま一回程度勝った位で調子に乗んなよ。てめぇの所為で俺らは何もかも失ったんだ、そのお礼参りをさせてくれや」


 自業自得だろと思いながら話を聞いていく。だが、急に背中が痛みを発する。徐々に熱を帯びているのか、刺された場所が熱くなっていく。それにより顔をしかめる。


「ようやく効いてきたか。その刃には毒が塗ってあんだよ」


 そう言ったのは短剣を投げたであろう人物、モスクだ。二人の後ろで口元に手を当てながら欠伸をしている。ジャンは相変わらず怠そうにしていた。


「ったく、剣が刺さってんのに痛がりもしねぇから焦ったが、毒が聞いてくれば後はお前を一方的に殺るだけだ。セリムっ!」


 自分達が優位に立ったと確信しているのだろう。顔には笑みが浮かび、今にも暴れたそうにしている。そんなオードの顔が驚愕に見開かれる。否、三人ともだ。何故なら毒が回っている筈のセリムは倒れもせず、それどころか剣を抜いていたのだから。


「な、なんで効かねぇ」

「簡単な事だろ、この毒よりも俺の耐性値の方が高かった。それで効かなかったんだろ」


 オードたちは驚愕から失望、そして怒りの顔へと表情を変化させる。


「ふざけんな!、なんでてめぇは…グフっ」


 そこまで叫んだ直後オードの命は消えた。


「ごちゃごちゃうるせぇんだよ、俺を殺したいんだろ。だったらかかって来いよ」


 セリムの手からオードが落ちる。ドサッと言う音が響いた。


「っ、うぁ だ、だれか助けてくれ~」


 みっともなく叫ぶモスク。ジャンはなんとか平静を装ってはいるが顔が青い。


「叫んだところで無駄だぞ、振動魔法って知ってるか?振動で音を伝えたり逆に掻き消したり出来んだよ」


 まぁ、まだあんまし上手くは扱えねーけどと続ける。直後二人は路地を抜けだそうと走り出した。逃がさないように一瞬のうちに先回りする。二人の前に現れるとどちらも顔を小刻みに横に振りながら謝罪などの言葉を口にしだした。そんなものに聞く価値はないとセリムはオードを殺した時と同じように二人の顔面を掴み魔法で爆破した。

 この魔法は、魔法の発動を途中でキャンセルし込めた魔力を意図的に暴発させるものだ。ゆえに正確には魔法ではないと言えるだろう。が、分類するなら火魔法だ。

 この魔法の特徴として普通の爆発は爆発の向きが無差別なのに対しこの術は魔力の流れを一手の方向に操り、向けることで自身にはダメージが及びずらく出来るのがメリットだ。魔力量を増やせば威力を上げることなどは普通の魔法と同じだ。


「さて、後始末が面倒だな、燃やすか」


 そう言いながら魔法を発動しようとした時だった。此方をみる人の気配に気づく。


「! キーラ…」


 そこにはキーラが立っていた。何とも言えない複雑な表情をして。

 セリムは頭の中でアナウンスを聞きながらその場で立ち尽くすのだった。

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