神すら喰らいしスキルと世界に抗う大罪スキル

てる

文字の大きさ
38 / 44

38:戦準備と新たなAランク

しおりを挟む
アーサーがエルフの国アルフレイムへと旅立って二日が経過した。その間特に変わったことなどはなく、いつもと変わらぬ日常を送っていた都市アルス。無論セリムも変わらぬ日々を送っている。


「はぁ~ ねむい…」


 欠伸をしながらベットから起き上がり顔を洗う事で覚醒を促す。、そんな簡単に眠気が取れるはずもなくまたもや欠伸をして目をこすりながら階段を降りていく。パンと野菜にスープで朝食を済ませ今日もギルドへと向かう。


「ふはぁ~、何でこうも欠伸は出るのかね…」



 一人欠伸の疑問について思考しながら歩を進めているとギルドへと到着する。依頼ボードの前へと行き何か適当な依頼がないか確認する。

 アーサーが面倒を見る気がなさそうな為に、高ランクモンスターが出現した際付いて行く事が出来なくなりそうだったので少しはランクを上げて自身で行けるようにしたいのである。

 依頼を受けず、尚且つランク無視して行こうとは思っているのだが、それでも高ランクともなればギルドや国などと言ったお偉いさんから情報を貰えたりする。優先度の高いものなどは、高ランク冒険者など優先的に情報が回される為、参加が出来ない可能性があるのだ。それを考えれば多少は上げとかなければと言う考えにも至るだろう。


(キーラのレベルも考慮しなくちゃだよな…)



 しっかりとキーラの事も考えつつ依頼を選択していく。とは言えD、Cランクの依頼は所詮雑魚ばっかなのでどれを受けても一緒なのだが受けるなら実りのあるものの方がいいのでCランクの依頼を選択する。


「決まったの?」

「ん? あぁ。 今日はこれだな」


 後ろから話しかけてきたのはキーラだ。いつもの事なため驚きもせず今回受ける依頼用紙を見せる。がそれはかなわなかった。


「た、たいへんだー!」


 突如大声を上げ入ってきたのは冒険者と思われる男だった。男の声を聞き、「何事だ?」とギルド内にいた職員含め冒険者全員の視線が一人の男に集まる。全員の視線が集まり、見られていると自覚した男は一瞬「うっ」とたじろぐも、周りから「取り合えず落ち着いて話せ」と心配するような声を掛けられ一度深呼吸をした後に話し出した。


「依頼で森に行ってたんだが、そこでモンスターの大群を見たんだよ。まっすぐ進めば間違いなくここにくる」


 この男がもたらした情報は都市アルスに向けてモンスターの大群が向かってきていると言うものだった。


「何だよ、偶にある事じゃねーか」
「んだよ、ビビらせやがって」
「そうだ、そうだ。おい野郎ども、モンスター狩りだ。準備しろー」


 本来であれば驚いたり恐怖したりとマイナス面な感情が出てくるものだとは思うのだが、そこはやはり冒険者なのか、偶にあると言う発言があることから慣れに近いものがあるのかもしれない。

 だが、その余裕は男が発した次の言葉で消え失せてしまう。


「ち、ちげーよ、前と同じなら俺だって騒ぎやしねーよ。今回のは違うんだよ」


 男のこの発言により周囲にいた者はどうゆう意味だ?と訝し気な目を向ける。セリムはこの騒動自体が初めてでありまだ状況が把握できていなかったため取り合えず静観を選んでいた。その隣でキーラも同じく「何事よ?」と情報を得る為か小声で話しかけてくる。


「遠目からだったから全体は分からなかったけど、数種類のモンスターからなる集団だったんだよ。それにBランクのモンスターも数匹見えたんだ」


 男のこの発言によりギルド内部に満ちた余裕にも似たものが一気に霧散し驚き、焦燥と言った緊張感が満ち始める。


「おい、その情報は本当か?」
「ちゃんと確認したのか?」


 ギルド内部に居た他の冒険者が情報を持ってきた男に詰め寄り情報の信憑性を訪ね始める。他の冒険者も同じなようで皆一様にどうなんだよと騒ぎ始める。


(やれやれ、これじゃ真偽を確かめられないだろうが)


 静観していたセリムはこの事態があまり良くないことを自覚していた。情報は何よりも大事なものだ。共有することで戦などにおいては勝敗を分ける場面も多々ある為、情報の開示、および共有は重要というか必須と言える。

 日本で平和に育ったセリムこと宗太のこの考えは、ほぼマンガやラノベの受け売りだったりするのだが間違ってはいないだろう。


「100%とは言えないが今俺のパーティメンバーが現場近くにに残って確認してる。もうすぐ来ると思うから…」


 そこまで行ったところで「落ち着きなさい」という声がかかる。その一言だけでギルド内の喧噪が一瞬にしてかき消えた。凛とした声を発した人物は都市アルスギルドのギルドマスターを勤めるレイニー・グレイシアその人である。


「騒がしいわよ、まずは情報の真偽、及び共有が先決でしょ」


 この発言により場が静まりると一人が代表して男に尋ねることになった。その人物はもちろんギルドマスターであるレイニーだ。ちょうどその時、ギルドに新たな人物が二人入ってくる。慌てているようで息が荒くここまで慌ててやってきたというのが分かった。状況から察するに情報を持ってきた男のパーティーメンバーなのだろう。


「ソ はぁ マル… はぁはぁ かくにん はぁ してきたぞ」


 かなり慌てているらしく息を整えるのも忘れて伝えようとする。ソマルと呼ばれた男は今話している男に向かい「シップ、落ち着いて話せ」と先程自身に言われていたことと同じ事を言う。
 それから数度深呼吸し気分を落ち着かせた男は話し出した。


「悪い、確認してきたぞ。オーガやゴブリンに加えてその上位種のBランクも数種類いた」

「ダイヤウルフやオーガジェネラルだ」


 シップと呼ばれた男の説明したBランクモンスターの具体名を上げ連ねる一緒に走ってきた男。その名目を聞いた瞬間ギルド内に動揺走る。再びレイニーが一喝することで場を収めるにかかる。


「学習なさい。今問題なのはどう対処するかってことよ。まずは、冒険者を集めて迎え撃つ準備、加えて警備の人たちにもこの事を伝えて街の防衛強化」


「急いで準備してちょうだい」と付け加えてきぱきと支持を出していく。その様子を見ていたセリムはさすがギルドマスターだなと納得しつつ、Dランク冒険者はどうすんのかと聞きに行く。そのあとにキーラも付いて行く。


「レイニー、Dランク冒険者でもある俺はどうすればいいんだ?」


 Dランクは戦いに出られるのか?と言外に込め尋ねる。


「無論よ、というか案外謙虚なのね。あなたみたいな戦力は最前線もしくはその近くに投入するわよ」

「過大評価だな、んで、あんたも参加すんのか?」


 レイニーのランクなどは知らないセリムだが、ギルドマスターになるほどの人物のため戦闘力は決して低くはないだろうという考えのもとに発した言葉だった。


「私は参加できないわね、街の防衛に回るわ。代わりに現場指揮官としてAランク冒険者を配置するわ」


 前線にでない代わりにAランク冒険者を付けると言うレイニー。ギルドマスターとしては街の防衛も重要な役割なのだろう。


「アーサー以外にもAランクっていたんだな、誰だ?」

「そうね、私も知らないわね」


 少し考えるそぶりを見せてから「ついてらっしゃい」と一言だけいうと歩きだすレイニー。



「フィーネの毛はふさふさにゃん」

「ちょ、やめてくださいよ、クロックさん」

「クロって呼んでっていつもいってるにゃんよ~」


 レイニーの後についていくとそこにはフィーネの尻尾をモフモフする黒い毛をした二十代くらいの女性がいた。頭からは髪の毛と同じ色の猫耳が生え、臀部付近からは細くしなやかな尻尾がゆらゆら揺れている。

 何かすごくじゃれあっているクロックと呼ばれた猫の獣人の女性だが、レイニーに名前を呼ばれると名残惜しそうにフィーネを離しこちらに向かって歩いてくる。


「この子がこの冒険者ギルドのAランクの一人、クロック・シルバーよ。見たまんま猫の獣人ね」

「君がセリム君ねぇ。マスターから聞いてるにゃん。よろしくにゃー」


 本当ににゃ~とか言う奴初めて見たと緊急事態の現状で考える事ではないのだが、やはり気になってしまいそこばっかりに思考が囚われる。

 加えてさっきから何故かスリスリと顔を擦り付けてくるクロック。嬉しいやら鬱陶しいやら複雑な気持ちだ。猫だからだろうか…


「やめてもらえます? おっぱい揉みますよ?」


 引きはがす為にこんな発言をするとレイニー、キーラ両名から白い目で見られると言う事になり何故か肩身の狭い思いを味わった。


(冗談くらい分かれよ…)





 今現在迫っている状況を手短に説明しクロックに準備するように促す。


「え~、うん、わかったにゃ~」


 若干渋りつつもフィーネをモフモフする権利を上げるわと言われ了承するクロック。にゃー、にゃーちょっと鬱陶しいなと思いつつもこれからの戦いに備え各々準備に取り掛かる。

 ついでにバロックがモンスターの大群の事を聞き試作品ではあるがセリムの案で作った服などを提供してくれた。そうして出発に備え門の前に皆集結するのだった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~

イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。 そのまま半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。 だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。 凛人はその命令を、拒否する。 不死であっても無敵ではない。 戦いでは英雄王に殴り倒される始末。しかし一つ選択を誤れば国が滅びる危うい存在。 それでも彼は、星を守るために戦う道を選んだ。 女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。 これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

処理中です...