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第1章 五歳児
第9話 週末の話 下
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更新遅れてすみません
ルビーが宣言通り自分の本を読み終わった後借りてきた本は小説だった。四英雄の冒険談だ。今まで絵物語で大体話は知っているがこれほど長い小説はまだ読んだことはなかった。これなら聖剣に関する記述も多いかもしれない。
しかしその日は少し読んだだけで夕食の時間になってしまった。
仕方がないので次の日まで自室の本棚に並べる。
そして次の日、安息日、俺たちが休憩室でくつろいでいると慌ただしいノックの音がし執事のジョーンズが入ってきた、彼は俺たちに一礼すると無言でルシールを手招きする、彼がなにかをルシールに囁くとルシールの顔色がサッと変わり二人は慌てて外に出る。パタリ、ドアが閉まると俺たちは顔を見合わせた。
「いったいなんだろう、ジョーンズちょっと焦ってたよね」
「ねえマギー、私様子を見にいっていいかしら」
「ヴィオラお嬢様、盗み聞きは良くないですよ。」
「ルシールが呼び出されたという事はコールとアルバスに関係する話でしょうか?」
「コールは入り口に近かったよね、なんて言ってたか聞こえた?」
「いや、低い声で言っていたからなにも聞こえなかったよ」
そんな風にペチャクチャと喋っている内にドアが再びノックされる。
「ルシールかな?」
「入っていいわよ」
ガチャリ
扉を開けたのはフットマンだった。そしてそこに立っていた人物に俺たちは全員座席から飛び上がる。
「「「「ウェーズリーさん!!!!」」」」
「よう、おチビども、元気か?なんだなんだ、お化けでも見たような驚きっぷりだな」
そこに立っていたのはカーマインレッドの髪を編み上げ後頭部で束ね、あご髭を撫でながらニヤニヤ笑う青年だ。
「え、だってお客様がこの屋敷に尋ねて来るなんて誰も一言も言っていなかったわ……」
「マギー、あなたは知っていたの?」
「いえ、存じ上げませんでした。」
「ヴェーズリーさんも急ぎの用事だったのかもしれません、まだレザーアーマーを着けたままです」俺が口を挟む。
「お!鋭いなーコール。実は俺はお前の兄貴の手紙を運びに竜に乗って飛んで来たのさ」
「ブルーノ兄さんの?」
彼、ヴェーズリー・ジェイコブ・レイヴァースは俺が前世から知っていた人物だ。伯爵家の三男である彼はブルーノ兄さんの学生時代からの親友であり今は竜騎士団に属する竜騎士である。
原作でコールの逃走に手を貸した物語の主要キャラクターだ。
「兄さんの手紙!僕らあての?」アルバスの目がキラキラしている。俺たちの長兄は最近忙しく滅多に会えないからな。寂しかったのだろう。
「いや、それは違う、ここの執事に手紙を届けに来ただけだ」
「なーんだあ……」がっかり肩を下ろしたのはアルバスだけではなく姉さん達もだ、みんな長兄のことが大好きだからな。
「おいおいそんなにがっかりするな、俺はお前たちに会いたくて着替えもせずに来たというのに、さっきから挨拶もない」そんなヴェーズリーの文句にすぐさま抗議が飛ぶ
「ヴェーズリーさんが型破りなんです、普通事前の連絡も無しにいきなり部屋に会いにきたりしません」
「そうですわ!これでは挨拶の準備も出来ません。」
「はいはい、俺が悪かったって」
「はいは一回だけってルシールが言ってたぞ」
ヴェーズリーは俺たちとも仲が良くもう一人の兄さんというほど俺たちと関係が近い、なんだかんだ言いながら皆彼を歓迎しているのが彼女達の笑顔がわかる。
だがそれよりも気になっている事が俺にはあった。
「ヴェーズリーさんが竜に乗って届けにくるほどの急用なんですか?」
俺の質問にヴェーズリーの笑顔が一瞬引っ込む、だがすぐに彼の表情は戻り頭をかきながら困ったように答えた。
「まあ急用っちゃ急用だな、でも安心しろお前たちには関係がない話だ。」
つまりはこれ以上聞くなということだろう。ルビーも俺の方を見ると黙って首を横に振る。他の子供達も気になっていたのだろう、だが一番教えてくれそうなヴェーズリーに断られたら仕方がない。
「お、コールは四英雄の話を読んでいるのか?」話を逸らすようにヴェーズリーは唐突に俺の持っている本を指差す。
「はい」俺は表紙を上に向けて本を見えやすいように差し出す。
本は皮閉じのしっかりしたもので表紙には赤、青、黄と黒の宝石の刺繍がある。
「まあお前たちのご先祖様の話だもんなあ」そう言って彼は黒の宝石の刺繍を指先でなぞった。
彼の言うご先祖様とは四英雄の一人伝説の竜騎士のノクス·ドラコ·モンタギューのことだ。
ルビーが宣言通り自分の本を読み終わった後借りてきた本は小説だった。四英雄の冒険談だ。今まで絵物語で大体話は知っているがこれほど長い小説はまだ読んだことはなかった。これなら聖剣に関する記述も多いかもしれない。
しかしその日は少し読んだだけで夕食の時間になってしまった。
仕方がないので次の日まで自室の本棚に並べる。
そして次の日、安息日、俺たちが休憩室でくつろいでいると慌ただしいノックの音がし執事のジョーンズが入ってきた、彼は俺たちに一礼すると無言でルシールを手招きする、彼がなにかをルシールに囁くとルシールの顔色がサッと変わり二人は慌てて外に出る。パタリ、ドアが閉まると俺たちは顔を見合わせた。
「いったいなんだろう、ジョーンズちょっと焦ってたよね」
「ねえマギー、私様子を見にいっていいかしら」
「ヴィオラお嬢様、盗み聞きは良くないですよ。」
「ルシールが呼び出されたという事はコールとアルバスに関係する話でしょうか?」
「コールは入り口に近かったよね、なんて言ってたか聞こえた?」
「いや、低い声で言っていたからなにも聞こえなかったよ」
そんな風にペチャクチャと喋っている内にドアが再びノックされる。
「ルシールかな?」
「入っていいわよ」
ガチャリ
扉を開けたのはフットマンだった。そしてそこに立っていた人物に俺たちは全員座席から飛び上がる。
「「「「ウェーズリーさん!!!!」」」」
「よう、おチビども、元気か?なんだなんだ、お化けでも見たような驚きっぷりだな」
そこに立っていたのはカーマインレッドの髪を編み上げ後頭部で束ね、あご髭を撫でながらニヤニヤ笑う青年だ。
「え、だってお客様がこの屋敷に尋ねて来るなんて誰も一言も言っていなかったわ……」
「マギー、あなたは知っていたの?」
「いえ、存じ上げませんでした。」
「ヴェーズリーさんも急ぎの用事だったのかもしれません、まだレザーアーマーを着けたままです」俺が口を挟む。
「お!鋭いなーコール。実は俺はお前の兄貴の手紙を運びに竜に乗って飛んで来たのさ」
「ブルーノ兄さんの?」
彼、ヴェーズリー・ジェイコブ・レイヴァースは俺が前世から知っていた人物だ。伯爵家の三男である彼はブルーノ兄さんの学生時代からの親友であり今は竜騎士団に属する竜騎士である。
原作でコールの逃走に手を貸した物語の主要キャラクターだ。
「兄さんの手紙!僕らあての?」アルバスの目がキラキラしている。俺たちの長兄は最近忙しく滅多に会えないからな。寂しかったのだろう。
「いや、それは違う、ここの執事に手紙を届けに来ただけだ」
「なーんだあ……」がっかり肩を下ろしたのはアルバスだけではなく姉さん達もだ、みんな長兄のことが大好きだからな。
「おいおいそんなにがっかりするな、俺はお前たちに会いたくて着替えもせずに来たというのに、さっきから挨拶もない」そんなヴェーズリーの文句にすぐさま抗議が飛ぶ
「ヴェーズリーさんが型破りなんです、普通事前の連絡も無しにいきなり部屋に会いにきたりしません」
「そうですわ!これでは挨拶の準備も出来ません。」
「はいはい、俺が悪かったって」
「はいは一回だけってルシールが言ってたぞ」
ヴェーズリーは俺たちとも仲が良くもう一人の兄さんというほど俺たちと関係が近い、なんだかんだ言いながら皆彼を歓迎しているのが彼女達の笑顔がわかる。
だがそれよりも気になっている事が俺にはあった。
「ヴェーズリーさんが竜に乗って届けにくるほどの急用なんですか?」
俺の質問にヴェーズリーの笑顔が一瞬引っ込む、だがすぐに彼の表情は戻り頭をかきながら困ったように答えた。
「まあ急用っちゃ急用だな、でも安心しろお前たちには関係がない話だ。」
つまりはこれ以上聞くなということだろう。ルビーも俺の方を見ると黙って首を横に振る。他の子供達も気になっていたのだろう、だが一番教えてくれそうなヴェーズリーに断られたら仕方がない。
「お、コールは四英雄の話を読んでいるのか?」話を逸らすようにヴェーズリーは唐突に俺の持っている本を指差す。
「はい」俺は表紙を上に向けて本を見えやすいように差し出す。
本は皮閉じのしっかりしたもので表紙には赤、青、黄と黒の宝石の刺繍がある。
「まあお前たちのご先祖様の話だもんなあ」そう言って彼は黒の宝石の刺繍を指先でなぞった。
彼の言うご先祖様とは四英雄の一人伝説の竜騎士のノクス·ドラコ·モンタギューのことだ。
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