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第零章 転生編
第3話 ~騒乱Ⅱ~
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「待たせたな」
北の監視塔まで来た騎士団長カーライルはそういって、魔法師団長パルテールの隣に並んだ。
「カーライル殿、急遽呼び立てて申し訳ありません。だが、まずはあれを見て頂けますか」
問題無いといい、カーライルは両目に強化魔法をかけ、パルテールの指す北東の空を凝視する。
「あれが魔法陣の反応を引き起こしたのは間違いなさそうだな。青く光っている…それにあまりに巨大。13年前との違いは何だ?」
「ええ、13年前は陣の反応は一時で消えました。魔法を発動しただけだからでしょう。魔法発動後は魔力は霧散し魔素に戻るので、陣の反応はこれで説明がつきます。しかし今回は反応を示し続けており、既に反応から四半時経っています。移動している事もあり、あれは魔物もしくは魔獣で間違いないかと思われます」
「大規模攻撃魔法と同等、もしくはそれ以上の魔力をもつ魔物か」
「はい。魔法陣は強大な魔力の発生源を示すだけの物なので、魔力量までは分かりません。元々は敵の先制攻撃に備える為の物ですので」
カーライルとパルテールは同じ団長という肩書を持ち、戦いにおいては両者とも団最強の力を持っているが、カーライルの方が団長歴は長く年も上である。
パルテールは所属団が違うとはいえ、歴戦の猛者であるカーライルには敬意を払っている。昔、『同じ団長なのだから敬語は不要だ』と言われたが、変える気は無かった。
「監視員、陣の反応はどうだ?」
「ノルン、陛下のご様子は?」
パルテールは魔法陣の監視員と魔法師団1番隊長のノルンに、通信魔法で報告を求める。
「(はっ、監視より報告します。反応は引き続き健在。オルロワス大火山より北西に移動後、クテシフォン山脈を出て、今は西にまっすぐ移動しているようです)」
「(ノルン報告します。陛下の居館(パルス)前にて待機。女中によれば陛下は書物をお読みになっておられる時間との事です)」
「わかった。ノルンは引き続き待機」
「(はっ)」
「監視員、名は?」
「(テドルスと申します)」
「では、テドルス。飛行体の移動直線上に街か何かあるかね?」
「(はっ…地図に拠りますと、マイルズの北を通り…ちょうどスルトという小さな集落に当たります。その後の直線上には…地図には何もありません)」
「ふむ、わかった。引き続き監視を」
「(はっ!)」
「カーライル殿、ここまま進めばマイルズの北を通り、スルトという集落に当たるようです」
「スルト? あそこは魔素も薄く、安全なだけで取り立てて何もない村なんだがな。だが、そのおかげで魔吸班病を患った者の静養地となっているはずだ」
「魔吸班病ですか…」
パルテールは一時期、魔吸班病の研究をしていた。だが、黒斑が魔素を過剰摂取している事以外の解明はできず、研究を終えた過去がある。
それでも過去、魔吸班病について何も分からなかった事を踏まえれば、対処療法を発見できたのは大きな功績と言えた。この功でパルテールは魔法師団長となったと言えなくもない。
だが、パルテールにとっては解明出来なかった病であり、カーライルの言葉を聞いたパルテールは苦虫を噛み潰す思いだった。この事を知っている団員は少ないが、カーライルは知っている。
「まぁ、そう気に病むな。君の功績は間違いなく大きい。君の研究で多くの人が命を長らえている。それを忘れるな」
「…ありがとうございます」
◇ ◇ ◇ ◇
魔法陣のある部屋に一人の老人が姿を現した。
「陣が反応したらしいのぅ」
この老人は魔法師団で古くからの歴史や魔法の研究をしている、先々代の魔法師団長カデシュである。
「カデシュ老。夜遅い中、痛み入ります」
監視員テドルスは部屋に入るカデシュに頭を下げる。カデシュは先ほどパルテールに魔法陣の元へ来るよう連絡を受けていた。
「団長殿の命令とあらば断わるわけにはいくまい。それに陣が反応したとなると一大事じゃ。どのような様子なのじゃ?」
はい、とテドルスは状況と団長たちの会話を掻い摘んでカデシュに伝えた。
すると、カデシュはワナワナと震えだし、通信魔法陣をテドルスにかけ、北の監視塔にいるパルテールに繋ぎ、大声で叫んだ。
「パルテール聞こえるな? 儂じゃ!」
「(カデシュ老、どうなさいました?)」
「どうもこうもない! 大火山より出でて、強大な魔力を持ち、青い光を放つ空飛ぶ魔獣など儂は一つしか思い浮かばん!」
「(えっ、何かご存じなのですか!?)」
「鳥の姿をしておらんか!? そうならば、それは、いや、その存在は…間違いなくかの”神獣ロードフェニクス”じゃ! 古い文献で何度も見たことがあるわ!」
「し、神獣ロードフェニクス? まさかそんな、伝説では…?」
パルテールの隣に居るカーライルも、通信相手がカデシュ老と知り、パルテールの口から神獣という言葉が漏れると、改めて青い光を凝視した。
徐々に近づきつつあるそれは、次第に鳥の姿にも見える距離まで来ていた。
「…青い炎の鳥だ」
「カデシュ老の言う通り、もはや神獣で間違いないと思われます…っく!」
2人は絶望を振り払うように動き出す。
「俺は団に言伝してから陛下の元へ向かう。報告は任せた!」
カーライルはそういって監視塔を飛び降り、急ぎ隊舎へ向かい、走り去っていく。
「ノルン、聞こえていたな! 緊急事態だ! すぐに陛下にご報告を! 私も陛下の元へ向かう。時間が惜しい、君の口から今の状況をご説明しておくように!」
「(はっ!)」
「テドルス! 君は詰所に行って全団員を集合させておいてれ! その後は陣に戻り再び監視を!」
「(はっ!)」
「カデシュ老も陛下の元へ共に来てください!」
「(了解じゃて)」
北の監視塔まで来た騎士団長カーライルはそういって、魔法師団長パルテールの隣に並んだ。
「カーライル殿、急遽呼び立てて申し訳ありません。だが、まずはあれを見て頂けますか」
問題無いといい、カーライルは両目に強化魔法をかけ、パルテールの指す北東の空を凝視する。
「あれが魔法陣の反応を引き起こしたのは間違いなさそうだな。青く光っている…それにあまりに巨大。13年前との違いは何だ?」
「ええ、13年前は陣の反応は一時で消えました。魔法を発動しただけだからでしょう。魔法発動後は魔力は霧散し魔素に戻るので、陣の反応はこれで説明がつきます。しかし今回は反応を示し続けており、既に反応から四半時経っています。移動している事もあり、あれは魔物もしくは魔獣で間違いないかと思われます」
「大規模攻撃魔法と同等、もしくはそれ以上の魔力をもつ魔物か」
「はい。魔法陣は強大な魔力の発生源を示すだけの物なので、魔力量までは分かりません。元々は敵の先制攻撃に備える為の物ですので」
カーライルとパルテールは同じ団長という肩書を持ち、戦いにおいては両者とも団最強の力を持っているが、カーライルの方が団長歴は長く年も上である。
パルテールは所属団が違うとはいえ、歴戦の猛者であるカーライルには敬意を払っている。昔、『同じ団長なのだから敬語は不要だ』と言われたが、変える気は無かった。
「監視員、陣の反応はどうだ?」
「ノルン、陛下のご様子は?」
パルテールは魔法陣の監視員と魔法師団1番隊長のノルンに、通信魔法で報告を求める。
「(はっ、監視より報告します。反応は引き続き健在。オルロワス大火山より北西に移動後、クテシフォン山脈を出て、今は西にまっすぐ移動しているようです)」
「(ノルン報告します。陛下の居館(パルス)前にて待機。女中によれば陛下は書物をお読みになっておられる時間との事です)」
「わかった。ノルンは引き続き待機」
「(はっ)」
「監視員、名は?」
「(テドルスと申します)」
「では、テドルス。飛行体の移動直線上に街か何かあるかね?」
「(はっ…地図に拠りますと、マイルズの北を通り…ちょうどスルトという小さな集落に当たります。その後の直線上には…地図には何もありません)」
「ふむ、わかった。引き続き監視を」
「(はっ!)」
「カーライル殿、ここまま進めばマイルズの北を通り、スルトという集落に当たるようです」
「スルト? あそこは魔素も薄く、安全なだけで取り立てて何もない村なんだがな。だが、そのおかげで魔吸班病を患った者の静養地となっているはずだ」
「魔吸班病ですか…」
パルテールは一時期、魔吸班病の研究をしていた。だが、黒斑が魔素を過剰摂取している事以外の解明はできず、研究を終えた過去がある。
それでも過去、魔吸班病について何も分からなかった事を踏まえれば、対処療法を発見できたのは大きな功績と言えた。この功でパルテールは魔法師団長となったと言えなくもない。
だが、パルテールにとっては解明出来なかった病であり、カーライルの言葉を聞いたパルテールは苦虫を噛み潰す思いだった。この事を知っている団員は少ないが、カーライルは知っている。
「まぁ、そう気に病むな。君の功績は間違いなく大きい。君の研究で多くの人が命を長らえている。それを忘れるな」
「…ありがとうございます」
◇ ◇ ◇ ◇
魔法陣のある部屋に一人の老人が姿を現した。
「陣が反応したらしいのぅ」
この老人は魔法師団で古くからの歴史や魔法の研究をしている、先々代の魔法師団長カデシュである。
「カデシュ老。夜遅い中、痛み入ります」
監視員テドルスは部屋に入るカデシュに頭を下げる。カデシュは先ほどパルテールに魔法陣の元へ来るよう連絡を受けていた。
「団長殿の命令とあらば断わるわけにはいくまい。それに陣が反応したとなると一大事じゃ。どのような様子なのじゃ?」
はい、とテドルスは状況と団長たちの会話を掻い摘んでカデシュに伝えた。
すると、カデシュはワナワナと震えだし、通信魔法陣をテドルスにかけ、北の監視塔にいるパルテールに繋ぎ、大声で叫んだ。
「パルテール聞こえるな? 儂じゃ!」
「(カデシュ老、どうなさいました?)」
「どうもこうもない! 大火山より出でて、強大な魔力を持ち、青い光を放つ空飛ぶ魔獣など儂は一つしか思い浮かばん!」
「(えっ、何かご存じなのですか!?)」
「鳥の姿をしておらんか!? そうならば、それは、いや、その存在は…間違いなくかの”神獣ロードフェニクス”じゃ! 古い文献で何度も見たことがあるわ!」
「し、神獣ロードフェニクス? まさかそんな、伝説では…?」
パルテールの隣に居るカーライルも、通信相手がカデシュ老と知り、パルテールの口から神獣という言葉が漏れると、改めて青い光を凝視した。
徐々に近づきつつあるそれは、次第に鳥の姿にも見える距離まで来ていた。
「…青い炎の鳥だ」
「カデシュ老の言う通り、もはや神獣で間違いないと思われます…っく!」
2人は絶望を振り払うように動き出す。
「俺は団に言伝してから陛下の元へ向かう。報告は任せた!」
カーライルはそういって監視塔を飛び降り、急ぎ隊舎へ向かい、走り去っていく。
「ノルン、聞こえていたな! 緊急事態だ! すぐに陛下にご報告を! 私も陛下の元へ向かう。時間が惜しい、君の口から今の状況をご説明しておくように!」
「(はっ!)」
「テドルス! 君は詰所に行って全団員を集合させておいてれ! その後は陣に戻り再び監視を!」
「(はっ!)」
「カデシュ老も陛下の元へ共に来てください!」
「(了解じゃて)」
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