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第三章 帝国西部・刀編
第70話 ドッキア冒険者ギルド
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「号外だぁ! 号外だよぉ!」
ウォルター工房を後にした翌日。ドッキアの街は朝から騒がしい。
「塔のダンジョンで2年ぶりに深層へ到達した謎の冒険者が現れる! しかし、なんとその冒険者っ! あのゴルゴノプスを倒したにも拘らずギルドに報告してないときたもんだ! なんっという奥ゆかしさ! それとも恥ずかしがり屋さんかなぁ!? 情報元は『鉄の大牙』だぁ! 確かな情報だっ! ほぉら読んだ読んだぁ!」
街に臨時の瓦版(新聞)がばら撒かれている。そんなに大事なのか? 確かに手強かったが、これでは露見た時かなり面倒な事になりそうだ。
「――という訳で皆、あまり言い回らないでもらえると助かる」
「あーあ…言うと思った」
「なんでだよ~すげぇのに。ジンはあれか? 控えめか?」
「なになに…『我々は深層前のゴルゴノプスが居るはずの広間に至ったが、戦闘跡だけが残っていた。その調査をする内に空間再生が始まり、共にゴルゴノプスが現れた。これは明らかに討伐された証拠である』だってさ」
「ボロボロで帰ってきた時はびっくりしたけど、鉄の大牙の4人でもこの街に来てから1度しか討伐してない魔物を一人で倒しちゃうって…凄すぎて何も言えないよ」
「奴の弱点とこっちの切り札の相性が良かったんだ。あれが効かなかったら死んでいた」
「サラっと死際を語るなよ…」
「あー…『強敵を前にすると病』だな」
俺達はもういい、と言ってレオとケンは引き下がった。
「深追いしないって言ったくせに。ウソつき」
「あの、ジン君…本当にみんな心配したんだよ?」
「うっ…すまなかった…ケンの言う通り、強敵を前にするとつい熱くなるクセが…」
レオとケンの男二人は俺に理解を示してすぐに許してくれたが、ミコトとオルガナにはしばらく怒られた。ミコトには怒気で、オルガナには涙で訴えられ、もう俺の前世の記憶と現世の経験値をもってしても対処できない。
ひたすら反省の意を示し、許してもらえた頃には昼前になっていた。
そんな事を経て今日はどうするかの話になる。4人は5日間ダンジョンに潜りっ放しだったので、今日は依頼をこなしたいという。
それもそうだ。ダンジョンではランクポイントは入らないから、依頼もこなしておきたいだろう。レオ達のランクに合せた依頼では俺にポイントは入らないので、彼らも取り立てて俺も一緒にとは言わない。
今日は別行動である。
俺はジェンキンスさんの店に顔を出す事にした。先日ウォルター工房で一言挨拶を交わしたきりだが、彼の商売のタネを奪ってしまったとも言えなくもない。それに服がボロボロになってしまったし、どうせならジェンキンスさんの店で適当に揃えておくのも悪くないだろう。
それに収納魔法にドッキアに来るまでの魔獣や、ダンジョンで拾った魔力核も溜まってきている。ギルドで売ってから買い物に出る事にしよう。
◇
「ようこそドッキア冒険者ギルドへ。どのようなご用件でしょうか」
「買取をお願いしたいのですが」
「承知いたしました。ギルドカードと素材をお願いいたします」
ギルドカードを渡すが、素材はここでは出せない旨を説明した。ギルドカードを見た職員は驚いて少し待つよう言い、裏に行ってしまう。
「お待たせしました。裏手にある解体場で素材の確認をさせて頂きます」
そう言われ、職員と共に裏手に行き、収納魔法から魔獣と魔力核を次々に出していく。その様子を見ていた他の客と職員は言葉を失い唖然とする。
普通は狩った魔獣や手に入れた魔力核はその日の内に売ってしまうのだが、俺は収納魔法があるのでついつい溜め込んでしまう。
「に、兄ちゃん! まだあんのか!?」
半分ほど出したところで解体屋が我慢できずに声を上げる。
「ええ、まだ半分くらいでしょうか」
「おいおい…ちょっと助っ人呼んで来てくれ!」
そう言って解体屋の若手が走り去って行く。
「えっと、全部出していいですか?」
「ああ、ドンと来いってんだ! 今日は残業だバッキャロー!!」
すみませんと一言いい、全部出し終える頃には周りに人だかりが出来ていた。方々から魔獣の名前と魔力核の魔物当てが始まり、加えて収納魔法を初めて見たのであろう冒険者達が色々聞いてくる。
それらを何とかあしらって受付に戻り査定を待っていると、ギルド職員から声を掛けられた。
「あの、リカルド様。少々よろしいでしょうか?」
「はい、何でしょう」
「塔のダンジョンでゴルゴノプスと言う魔物が討伐されたのはご存じでしょうか?」
一瞬ドキッとしたが、討伐された事は知っていると答える。やはり俺がやった事を言わなければならないのだろうか。出来れば隠しておきたい。魔力核はもうウォルター工房に渡してしまったしな。
普通は魔力核はギルドに持ち込まれるので、誰が魔物を討伐したのかは分かるのだが、今回はそれが無い事が不思議なのだろう。
「当ギルドでは今回の討伐がどなたによって行われたのかを知っておきたいのですが、お心当たりはございませんか?」
ここで無いと言えばこの話は終わる。だがそれはギルドに嘘を付くという事。こういう嘘が後々厄介ごとを招く可能性も無くはないだろう。別に教えてしまっても良いが、なぜギルドが知りたがっているのかが気になる。
「誰が討伐したか知っています」
「本当ですか!?」
「ですが、その者はあまり知られたくないらしいのです。ギルドは依頼以外の活動には関知しませんよね?」
「仰る通りです。ですがゴルゴノプスを討伐できる程のパーティーをギルドが把握していない、というのは管理上少々問題がありまして…」
「どのような問題…という質問はここでは止めておきます。ギルドマスターはおられますか?」
「か、確認いたします!」
この一言で職員は察し、ギルドマスターへの取次ぎをしてもらえることになった。
数分後、2階にある執務室に案内され、ギルドマスターと面会する事になる。
◇
「お初にお目に掛かります。ジン・リカルドです。ジンで結構です」
「こちらこそよろしくねぇ。ここのマスターのクリスティーナでーす。特別にクリスでいいわよん♪」
執務室に居たのは線が細く髪の長い女性。腕にジャラジャラとブレスレットを付けているが、恐らく装飾品ではなく魔道具の一種だろう。魔法師系の元冒険者だった人だろうか。そのギルドマスターらしからぬ雰囲気に少しばかり動揺してしまう。
「ふふっ、その感じだと女のギルドマスターは初めてかしらぁ?」
動揺が顔に出てしまったようだ。情けない…
「そ、それもありますが…その、雰囲気が余りにも今までお会いしたマスターと違ったもので。失礼しました」
「いいのよん。確かに女のギルドマスターは少ないし、私堅っ苦しいの苦手だから。ジン君もリラックスしてね」
「お気遣いありがとうございます。では――」
「君でしょ? ゴルゴノプス倒したの」
「…参考までに、なぜそう思われたのか教えて頂けますか?」
「えーっ、私一応ギルドマスターだよ? 君が王竜殺しなのはアイザックちゃんから連絡来てたしねぇ。この街に来たのを知ったのは一週間前だけど」
クリスさんが言った『アイザックちゃん』とはアルバニア冒険者ギルドマスターの事。よくよく考えれば俺はアジェンテだし、他の街のギルドマスターに連絡が行くのは当然だろう。
「私の考えが及びませんでした。仰る通り、昨日討伐致しました。できれば…」
「はいはい。広めないで欲しいんでしょ? それも想定内よ。私に会いたいって言ってきた人が君だった時点で全部繋がったわぁ」
「助かります。あまり騒がれても困りますので」
「ふふっ、変わってるわねぇ。分かったわ。街には流さないし、鉄の大牙のメンバーには誤魔化しておきまーす」
「鉄の大牙のメンバーが探してるのですか?」
「まぁね。君は違うのかもしれないけれど、強い人は強い人に興味が行くものなのよ。まさか単独だとは思って無いでしょうけど、ライバル登場だーとか言って盛り上がってたわ」
「うーん…」
「そんな難しい顔しないで。別に悪い事じゃないと思うよ? やっぱりライバルがいるのといないのとでは冒険者として成長する速度が違うし、がんばろーってなるじゃない?」
「その通りかと。ですが私は最強だなんだになりたい訳では無いので…」
「ふーん。まぁ、冒険者として頑張ってくれれば何でもいいわ! それはそうとシスでの件、あれもありがとねぇ。支部長が特定の冒険者に肩入れして、ギルドを混乱させちゃったみたいじゃない? 支部長は降格させてこっちの事務方に回しといたから」
「ああ、そういえばそんな事もありましたね…」
2ヶ月前の事なのになんだか懐かしく感じるな。それにしてもシスは大丈夫だろうか。気にはなるが俺が心配した所でどうにもならないので、切り替えて頑張ってもらうしかないんだが…
「アジェンテとしてもその調子でよろしくっ! まだこの街には滞在するのかしら?」
「ええ、今この街の工房で武器を作ってもらっているので、それが出来るまでは色々やっておこうと思っています」
「そっか。なら気が向いたら初級者の指導もお願いね♪ この街の冒険者は特に受けたがらなくて、待ってる子多いのよぉ」
「そうなんですか」
事情を聞くと、この街に来る冒険者はほぼ全員が塔のダンジョンと、この街の質の高い装備品が目的と言っても過言ではないらしい。俺もその内の一人だし、レオ達も俺について来ただけとはいえ結局装備を新調したい一心でダンジョンと依頼に精を出している。
冒険者は多くの場合、割のいい依頼しか受けたがらないし、リスクが高い初級者を連れて、しかもそれに合わせた依頼を受ける事はほとんど無いのだ。納得のいく事情だった。
「分かりました。1度はお引き受けします」
「1度と言わず何度でも♪」
そんな感じで報告を終え執務室を出る。
そうこうしている内に、素材買取の査定も終わってるだろう。受付に戻るとするか。
「コカトリス本体×3、アッシュスコーピオン本体×10、エビルプラント本体×13…――アラクネ、アラネアの魔力核がそれぞれ1つずつで、内訳と合計がこちらになります」
ぺらりと1枚の紙が差し出され、ずらりと並んだ文字と数字を見定める。何を何匹狩ったなんて全然覚えていないが、一応確認するフリはしておく事にした。
ほう…かなりの金額になったな。やはり魔獣の本体持ち込みは高値が付いて助かるな。魔力核もB級指定からグンと高くなっている。
「大金貨10枚、金貨3枚、大銀貨4枚、銀貨1枚、大銅貨2枚になります。バンクに入れておきますか?」
手持ちを確認し、この街での買い物には少し心許ないと思ったのでその場で受け取る事にした。
「いえ、頂きます」
ブラックマジシャンの魔力核が金貨6枚で、同格のリビングメイルの魔力核が金貨5枚なのは何故かと聞いてみると、同格でも魔法師系の魔力核は蓄えられる魔力が多いらしい。よく見るとアーマースケルトンナイトの魔力核と、同格のスケルトンウィザードの魔力核も後者の方が高値が付いていた。
色々あるものだなと感心しながら、ギルドを後にしてジェンキンスさんの店へ向かった。
ウォルター工房を後にした翌日。ドッキアの街は朝から騒がしい。
「塔のダンジョンで2年ぶりに深層へ到達した謎の冒険者が現れる! しかし、なんとその冒険者っ! あのゴルゴノプスを倒したにも拘らずギルドに報告してないときたもんだ! なんっという奥ゆかしさ! それとも恥ずかしがり屋さんかなぁ!? 情報元は『鉄の大牙』だぁ! 確かな情報だっ! ほぉら読んだ読んだぁ!」
街に臨時の瓦版(新聞)がばら撒かれている。そんなに大事なのか? 確かに手強かったが、これでは露見た時かなり面倒な事になりそうだ。
「――という訳で皆、あまり言い回らないでもらえると助かる」
「あーあ…言うと思った」
「なんでだよ~すげぇのに。ジンはあれか? 控えめか?」
「なになに…『我々は深層前のゴルゴノプスが居るはずの広間に至ったが、戦闘跡だけが残っていた。その調査をする内に空間再生が始まり、共にゴルゴノプスが現れた。これは明らかに討伐された証拠である』だってさ」
「ボロボロで帰ってきた時はびっくりしたけど、鉄の大牙の4人でもこの街に来てから1度しか討伐してない魔物を一人で倒しちゃうって…凄すぎて何も言えないよ」
「奴の弱点とこっちの切り札の相性が良かったんだ。あれが効かなかったら死んでいた」
「サラっと死際を語るなよ…」
「あー…『強敵を前にすると病』だな」
俺達はもういい、と言ってレオとケンは引き下がった。
「深追いしないって言ったくせに。ウソつき」
「あの、ジン君…本当にみんな心配したんだよ?」
「うっ…すまなかった…ケンの言う通り、強敵を前にするとつい熱くなるクセが…」
レオとケンの男二人は俺に理解を示してすぐに許してくれたが、ミコトとオルガナにはしばらく怒られた。ミコトには怒気で、オルガナには涙で訴えられ、もう俺の前世の記憶と現世の経験値をもってしても対処できない。
ひたすら反省の意を示し、許してもらえた頃には昼前になっていた。
そんな事を経て今日はどうするかの話になる。4人は5日間ダンジョンに潜りっ放しだったので、今日は依頼をこなしたいという。
それもそうだ。ダンジョンではランクポイントは入らないから、依頼もこなしておきたいだろう。レオ達のランクに合せた依頼では俺にポイントは入らないので、彼らも取り立てて俺も一緒にとは言わない。
今日は別行動である。
俺はジェンキンスさんの店に顔を出す事にした。先日ウォルター工房で一言挨拶を交わしたきりだが、彼の商売のタネを奪ってしまったとも言えなくもない。それに服がボロボロになってしまったし、どうせならジェンキンスさんの店で適当に揃えておくのも悪くないだろう。
それに収納魔法にドッキアに来るまでの魔獣や、ダンジョンで拾った魔力核も溜まってきている。ギルドで売ってから買い物に出る事にしよう。
◇
「ようこそドッキア冒険者ギルドへ。どのようなご用件でしょうか」
「買取をお願いしたいのですが」
「承知いたしました。ギルドカードと素材をお願いいたします」
ギルドカードを渡すが、素材はここでは出せない旨を説明した。ギルドカードを見た職員は驚いて少し待つよう言い、裏に行ってしまう。
「お待たせしました。裏手にある解体場で素材の確認をさせて頂きます」
そう言われ、職員と共に裏手に行き、収納魔法から魔獣と魔力核を次々に出していく。その様子を見ていた他の客と職員は言葉を失い唖然とする。
普通は狩った魔獣や手に入れた魔力核はその日の内に売ってしまうのだが、俺は収納魔法があるのでついつい溜め込んでしまう。
「に、兄ちゃん! まだあんのか!?」
半分ほど出したところで解体屋が我慢できずに声を上げる。
「ええ、まだ半分くらいでしょうか」
「おいおい…ちょっと助っ人呼んで来てくれ!」
そう言って解体屋の若手が走り去って行く。
「えっと、全部出していいですか?」
「ああ、ドンと来いってんだ! 今日は残業だバッキャロー!!」
すみませんと一言いい、全部出し終える頃には周りに人だかりが出来ていた。方々から魔獣の名前と魔力核の魔物当てが始まり、加えて収納魔法を初めて見たのであろう冒険者達が色々聞いてくる。
それらを何とかあしらって受付に戻り査定を待っていると、ギルド職員から声を掛けられた。
「あの、リカルド様。少々よろしいでしょうか?」
「はい、何でしょう」
「塔のダンジョンでゴルゴノプスと言う魔物が討伐されたのはご存じでしょうか?」
一瞬ドキッとしたが、討伐された事は知っていると答える。やはり俺がやった事を言わなければならないのだろうか。出来れば隠しておきたい。魔力核はもうウォルター工房に渡してしまったしな。
普通は魔力核はギルドに持ち込まれるので、誰が魔物を討伐したのかは分かるのだが、今回はそれが無い事が不思議なのだろう。
「当ギルドでは今回の討伐がどなたによって行われたのかを知っておきたいのですが、お心当たりはございませんか?」
ここで無いと言えばこの話は終わる。だがそれはギルドに嘘を付くという事。こういう嘘が後々厄介ごとを招く可能性も無くはないだろう。別に教えてしまっても良いが、なぜギルドが知りたがっているのかが気になる。
「誰が討伐したか知っています」
「本当ですか!?」
「ですが、その者はあまり知られたくないらしいのです。ギルドは依頼以外の活動には関知しませんよね?」
「仰る通りです。ですがゴルゴノプスを討伐できる程のパーティーをギルドが把握していない、というのは管理上少々問題がありまして…」
「どのような問題…という質問はここでは止めておきます。ギルドマスターはおられますか?」
「か、確認いたします!」
この一言で職員は察し、ギルドマスターへの取次ぎをしてもらえることになった。
数分後、2階にある執務室に案内され、ギルドマスターと面会する事になる。
◇
「お初にお目に掛かります。ジン・リカルドです。ジンで結構です」
「こちらこそよろしくねぇ。ここのマスターのクリスティーナでーす。特別にクリスでいいわよん♪」
執務室に居たのは線が細く髪の長い女性。腕にジャラジャラとブレスレットを付けているが、恐らく装飾品ではなく魔道具の一種だろう。魔法師系の元冒険者だった人だろうか。そのギルドマスターらしからぬ雰囲気に少しばかり動揺してしまう。
「ふふっ、その感じだと女のギルドマスターは初めてかしらぁ?」
動揺が顔に出てしまったようだ。情けない…
「そ、それもありますが…その、雰囲気が余りにも今までお会いしたマスターと違ったもので。失礼しました」
「いいのよん。確かに女のギルドマスターは少ないし、私堅っ苦しいの苦手だから。ジン君もリラックスしてね」
「お気遣いありがとうございます。では――」
「君でしょ? ゴルゴノプス倒したの」
「…参考までに、なぜそう思われたのか教えて頂けますか?」
「えーっ、私一応ギルドマスターだよ? 君が王竜殺しなのはアイザックちゃんから連絡来てたしねぇ。この街に来たのを知ったのは一週間前だけど」
クリスさんが言った『アイザックちゃん』とはアルバニア冒険者ギルドマスターの事。よくよく考えれば俺はアジェンテだし、他の街のギルドマスターに連絡が行くのは当然だろう。
「私の考えが及びませんでした。仰る通り、昨日討伐致しました。できれば…」
「はいはい。広めないで欲しいんでしょ? それも想定内よ。私に会いたいって言ってきた人が君だった時点で全部繋がったわぁ」
「助かります。あまり騒がれても困りますので」
「ふふっ、変わってるわねぇ。分かったわ。街には流さないし、鉄の大牙のメンバーには誤魔化しておきまーす」
「鉄の大牙のメンバーが探してるのですか?」
「まぁね。君は違うのかもしれないけれど、強い人は強い人に興味が行くものなのよ。まさか単独だとは思って無いでしょうけど、ライバル登場だーとか言って盛り上がってたわ」
「うーん…」
「そんな難しい顔しないで。別に悪い事じゃないと思うよ? やっぱりライバルがいるのといないのとでは冒険者として成長する速度が違うし、がんばろーってなるじゃない?」
「その通りかと。ですが私は最強だなんだになりたい訳では無いので…」
「ふーん。まぁ、冒険者として頑張ってくれれば何でもいいわ! それはそうとシスでの件、あれもありがとねぇ。支部長が特定の冒険者に肩入れして、ギルドを混乱させちゃったみたいじゃない? 支部長は降格させてこっちの事務方に回しといたから」
「ああ、そういえばそんな事もありましたね…」
2ヶ月前の事なのになんだか懐かしく感じるな。それにしてもシスは大丈夫だろうか。気にはなるが俺が心配した所でどうにもならないので、切り替えて頑張ってもらうしかないんだが…
「アジェンテとしてもその調子でよろしくっ! まだこの街には滞在するのかしら?」
「ええ、今この街の工房で武器を作ってもらっているので、それが出来るまでは色々やっておこうと思っています」
「そっか。なら気が向いたら初級者の指導もお願いね♪ この街の冒険者は特に受けたがらなくて、待ってる子多いのよぉ」
「そうなんですか」
事情を聞くと、この街に来る冒険者はほぼ全員が塔のダンジョンと、この街の質の高い装備品が目的と言っても過言ではないらしい。俺もその内の一人だし、レオ達も俺について来ただけとはいえ結局装備を新調したい一心でダンジョンと依頼に精を出している。
冒険者は多くの場合、割のいい依頼しか受けたがらないし、リスクが高い初級者を連れて、しかもそれに合わせた依頼を受ける事はほとんど無いのだ。納得のいく事情だった。
「分かりました。1度はお引き受けします」
「1度と言わず何度でも♪」
そんな感じで報告を終え執務室を出る。
そうこうしている内に、素材買取の査定も終わってるだろう。受付に戻るとするか。
「コカトリス本体×3、アッシュスコーピオン本体×10、エビルプラント本体×13…――アラクネ、アラネアの魔力核がそれぞれ1つずつで、内訳と合計がこちらになります」
ぺらりと1枚の紙が差し出され、ずらりと並んだ文字と数字を見定める。何を何匹狩ったなんて全然覚えていないが、一応確認するフリはしておく事にした。
ほう…かなりの金額になったな。やはり魔獣の本体持ち込みは高値が付いて助かるな。魔力核もB級指定からグンと高くなっている。
「大金貨10枚、金貨3枚、大銀貨4枚、銀貨1枚、大銅貨2枚になります。バンクに入れておきますか?」
手持ちを確認し、この街での買い物には少し心許ないと思ったのでその場で受け取る事にした。
「いえ、頂きます」
ブラックマジシャンの魔力核が金貨6枚で、同格のリビングメイルの魔力核が金貨5枚なのは何故かと聞いてみると、同格でも魔法師系の魔力核は蓄えられる魔力が多いらしい。よく見るとアーマースケルトンナイトの魔力核と、同格のスケルトンウィザードの魔力核も後者の方が高値が付いていた。
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