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最終章 ジオルディーネ王国編
第153話 凪の幻獣
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樹人国ピクリア。樹人が住まう国である。
ミトレス連邦の一角として認知されており、”国”とは呼ばれているものの他の亜人国とは一線を画すこの国は、大きく分けて三つの地に分かれているという。
一つは今俺達が歩いているここ『風鳴の丘』。一つは風鳴の丘から西に向かった先にある『星の洞窟』。一つは星の洞窟のさらに西、最西端に『霊樹の森』があるという。
それぞれの名の由来は特に難しいものでもなく、風鳴の丘にはピクリアの固有種である風切草と呼ばれている草が生い茂っており、風が吹いた時にピューと口笛のような音が辺りに響くからである。
現に今、風鳴の丘を歩いている俺達は最初こそ驚いたが、既にこの音には慣れたもので多少耳障りに思う程度だ。
星の洞窟は広大な自然洞窟で、自然発光する鉱物が岩盤のあちこちにあり、さらに洞窟内に生えるキノコの胞子がこれまた自然発光するのだという。床から天井に埋まる鉱物、浮遊する胞子の様子がまるで星のようだという事でそう名付けられたとか。
因みにこの胞子は、モノに触れると方向感覚を失わせるという謎の毒をまき散らす。まるで洞窟内を彷徨わせ、中に棲む植生への糧としようとする意思を感じるのだとアイレは言う。
彼女の場合は風を纏って胞子が触れぬようにしているので、ただの綺麗な洞窟だと言うが、恐ろしい食人洞窟ではないか。星を見たさに行楽気分で足を踏み入れるような場所ではないのは間違いない。
そして星の洞窟ならぬ食人洞窟を抜けた先にあるのが霊樹の森。
ここはエーデルタクトの原生林顔負けの巨大樹が生い茂り、森の最奥には名の由来となった『霊樹メテオラ』が屹立しているという。この木は大地神の依り代との言い伝えがあるらしく、樹人はこの神木近く、つまり霊樹の森にしか住んでいないという。
霊樹メテオラには膨大な魔力が秘められているらしいが、さすがに山向こうの木の魔力を感じる事は出来ないので、今は物語程度に聞いている。
「つまり、ピクリアの三獣は樹人を守ってるんじゃなく、その霊樹を守っているという事か」
「そういう事。ちなみに三獣の幻王狼カーバンクルは星の洞窟に棲んでるわ。幻王竜ヴリトラは霊樹の上が棲家らしいけど、この辺りもバッチリ縄張りだからね」
「脅すな。遭遇したら逃げる事も出来ないんだろう? まだ死ぬわけにはいかん。…で、もう一体は幻王馬…だっけか?」
「幻王馬スレイプニルね。縄張りはこの丘らしいけど棲家は知らないわ。幻王馬だけ見たことないし」
「なるほど。頻繁に出入りしているアイレが会ったことないなら大丈夫そうだな。竜と馬は御免被るが、マーナの眷属の幻王狼は一目会いたいかもしれん」
《 別に大したもんでもないよぉ。めっちゃうるさいわたしと思っとけばいいよ 》
会ってみたいとの一言でマーナが反応する。自分の親のような存在のはずなのにその言い方…そもそも眷属と血族の違いが俺にはよくわからないが、ふわっと『似たような出自』という理解でいれば、マーナの薄情とも思えるセリフも飲み込めるというものだ。
「そうなのか。まぁ、うるさいのは頂けんな。一人で十分だ」
「なんで急に自虐?」
………。
先を急ぐ道中だ。俺の好奇心で寄り道をしている場合でもないので、幻王狼と樹人への興味は今は置いておくとしよう。いつかまた来ることもあるだろうと、歩みを進めた。
ピクリアはドラゴニアやエーデルタクトといった、俺が通って来たミトレスの国々の中では最も寒さを感じない場所のような気がする。”樹人国”という響きが、俺にそう思わせるのかもしれない。
風切草が出すピューっという音も、耳を澄ませば高低差があり、慣れてくれば自然が奏でる合奏に聞こえなくもない。どこにでも風情を感じられるようになれば、旅はもっと楽しくなると思う。それが戦いに赴く道中であってもだ。
その時ふと、風切草の合奏が止んだ。
訪れた風凪。
後から思えば、それは異次元の存在がもたらす序曲だったのかもしれない。
照らしていた日が翳り、辺りが暗くなる。
遠視魔法は展開していた。十分に警戒はしていたつもりだった。
だが ――――反応を感じた時には、既に手遅れだった。
ズドォォォンッ!!
足元が暗くなった途端に背後から凄まじい衝撃音と地揺れが起こり、俺は反射的に身を屈めてコハクを抱きかかえ、着ている外套の中に入れた。アイレは風を纏って、マーナは万物の選別を発動させ、襲い来る砂煙を何とか回避したようだ。
だが、三人と一匹は声も発せず、振り向く事も出来ない。
背後に感じる圧倒的存在感。下手に動けば間違いなく死ぬ。
襲い来る焦燥から口は乾ききり、情けなくも手の震えは止まらない。
アイレは全身をガタガタと震わせ、焦点の定まらない目は、ぼやけた地面を只ひたすらに見つめている。
コハクも俺の外套の中、添えている手には明らかな震えが伝わってくる。傍に居るマーナは背筋をピンと伸ばし微動だにしていない。あの旺盛さが完全に鳴りを潜めているので多分俺達と似たような状況にあるのだろう。
吹き上がった小石がパラパラと地面を叩き、先程とは全く異なる脅威をはらんだ音色。立ち上る砂塵の中で巡る思考は、風情とは程遠い。
お、終わった…っ!
黒王竜の赤子、ゴルゴノプス、魔人など全く目じゃない。
今の俺ではどうする事も出来ない。
マーナは一人で逃げる事くらいはできるかもしれんが、アイレとコハクだけは逃がさなければ。
だが、どうする?
幻獣がこれほどの存在だったとは。
どれほどの時が流れたかは定かではない。遠くはるか後方からまたもやドンッという音が聞こえ、この音にまたもや身体がビクリと反応した。
ま、まさか…跳躍時の衝撃音が今頃届いたって事はない、よな…?
未だ動けずにいる俺に、同じく身動き一つ取らないマーナの声が頭の中に響いた。
《 ジン、生きてて何よりだよ 》
《 しかし死に体だ。どうすれば二人を助けられる。教えてほしい 》
《 攻撃されたらわたしもわたしを守れないね。その時はみんなで死んじゃうしかない。でもとりあえずその心配はしなくていいかも。敵意は感じないよ 》
敵意は無い。絶望しかけたが、僅かに見えた光明を糧に何とかこの場を切り抜けなければならない。
《 だがどうする。こちらも敵意がない事を示さなければ、現状は変わらんどころか悪化する可能性すらあるぞ。近しい者同士、話しかけられないのか 》
《 近しい? 無理だねぇ。あっちの方が上だもん。ちなみにコハクもムリだよ! 》
上とは幻獣から聖獣が生まれたという意味で上なのか、力で上回るのか、存在自体が上位なのか定かではないが、とにかく無理なものは無理。他の手段をどうにか探ろうと懸命に思考を巡らそうとするが、上手く頭が働かない。
いかん。眩暈がしてきたぞ…気をしっかり持たねば。
何とか方法を探ろうと固まった身体を何とか動かし、背後にいるであろう幻獣を見定める事にした。振り向いた瞬間攻撃される可能性もある。影の大きさから想像するに体高百メートルは軽く超えていそうだ。
なぜその大きさで頻繁に目撃されてこなかったんだと、恨み節を心の内で叫んではみるが、今はこの程度の抵抗が精一杯。跳躍のスピード、感じる圧力を考えると、繰り出される攻撃は躱す事も受ける事も到底できないだろう。
覚悟を決め、コハクに添えていた手を放し、両手を上げる。完全に降参のポーズだ。このポーズを取ったのはコーデリアさんとの決闘で背を取られ敗北して以来だなと、今はどうでもいい事を思いながら恐怖を紛らわせる。
ゆっくりと振り返り視界に入ったのは青黒いの巨木、のような四本の脚。浮き上がる筋肉は、木の幹がうねり合って絡みついているかの様に見える。着地の衝撃で地面を大きく窪ませた蹄は、巨大な黒曜石を思わせるかのような重厚さである。
《 ■ΛΦΣΨ¶ΘК 》
「っ!?」
突如聞こえた謎の音。当然何かは分からない。
《 Вы слышите людей 》
《 你能听到人类吗 》
《 ラウォトジュッハグ 》
い、今のは…?
何度も頭の中に響く音。だが先程とは違い、何かしらの発音の様にも聞こえた。これは声か?
まさか…話しかけられている?
《 …にんげん 》
やはりそうか。
「人間は俺だ」
両手を挙げたままゆっくりと顔を上げ、四本足の主の顔を見上げると、その主は巨大な顔をこちらに向け完全に俺達を見下ろしていた。
直感で感じた。間違いない、幻王馬スレイプニルだ。
《 これだったか。わかるんだな? 》
「ああ。間違いない。人間というか人の言葉だ」
《 そうか。風の子、洞の子、氷森の子。怖がらなくてもいい。何もしない。この人間に免じて合わせてやる 》
俺に免じてと言うのが全く理解できないが、幻王馬の言葉が届いたのか、アイレとマーナ、コハクも恐る恐る振り返り、その存在を目の当たりにした。
「……うっ!? こ、怖がるなとか…ム、ムムムムリなんだけどっ…」
「うまさん」
《 いやぁ~よかった~! ホントびっくりさせないでよね! 怒らせちゃったかと思って上に助けてって言いそうになっちゃったよ! 》
《 洞とよく似て子も煩な 》
《 フン! 知らないっ! 》
聖王狼の幻王馬に対するやり取りに内心ビビりまくる俺。マーナの声はアイレには聞こえないので、彼女には幻王馬の声だけが聞こえている状態。その証拠に彼女は幻王馬は何言ってるの? という顔で俺を見ていた。
マーナ、それ以上は止めてくれ…幻王馬は何もしないと言ったが、機嫌を損ねたらどうなるか分からんぞ…
ミトレス連邦の一角として認知されており、”国”とは呼ばれているものの他の亜人国とは一線を画すこの国は、大きく分けて三つの地に分かれているという。
一つは今俺達が歩いているここ『風鳴の丘』。一つは風鳴の丘から西に向かった先にある『星の洞窟』。一つは星の洞窟のさらに西、最西端に『霊樹の森』があるという。
それぞれの名の由来は特に難しいものでもなく、風鳴の丘にはピクリアの固有種である風切草と呼ばれている草が生い茂っており、風が吹いた時にピューと口笛のような音が辺りに響くからである。
現に今、風鳴の丘を歩いている俺達は最初こそ驚いたが、既にこの音には慣れたもので多少耳障りに思う程度だ。
星の洞窟は広大な自然洞窟で、自然発光する鉱物が岩盤のあちこちにあり、さらに洞窟内に生えるキノコの胞子がこれまた自然発光するのだという。床から天井に埋まる鉱物、浮遊する胞子の様子がまるで星のようだという事でそう名付けられたとか。
因みにこの胞子は、モノに触れると方向感覚を失わせるという謎の毒をまき散らす。まるで洞窟内を彷徨わせ、中に棲む植生への糧としようとする意思を感じるのだとアイレは言う。
彼女の場合は風を纏って胞子が触れぬようにしているので、ただの綺麗な洞窟だと言うが、恐ろしい食人洞窟ではないか。星を見たさに行楽気分で足を踏み入れるような場所ではないのは間違いない。
そして星の洞窟ならぬ食人洞窟を抜けた先にあるのが霊樹の森。
ここはエーデルタクトの原生林顔負けの巨大樹が生い茂り、森の最奥には名の由来となった『霊樹メテオラ』が屹立しているという。この木は大地神の依り代との言い伝えがあるらしく、樹人はこの神木近く、つまり霊樹の森にしか住んでいないという。
霊樹メテオラには膨大な魔力が秘められているらしいが、さすがに山向こうの木の魔力を感じる事は出来ないので、今は物語程度に聞いている。
「つまり、ピクリアの三獣は樹人を守ってるんじゃなく、その霊樹を守っているという事か」
「そういう事。ちなみに三獣の幻王狼カーバンクルは星の洞窟に棲んでるわ。幻王竜ヴリトラは霊樹の上が棲家らしいけど、この辺りもバッチリ縄張りだからね」
「脅すな。遭遇したら逃げる事も出来ないんだろう? まだ死ぬわけにはいかん。…で、もう一体は幻王馬…だっけか?」
「幻王馬スレイプニルね。縄張りはこの丘らしいけど棲家は知らないわ。幻王馬だけ見たことないし」
「なるほど。頻繁に出入りしているアイレが会ったことないなら大丈夫そうだな。竜と馬は御免被るが、マーナの眷属の幻王狼は一目会いたいかもしれん」
《 別に大したもんでもないよぉ。めっちゃうるさいわたしと思っとけばいいよ 》
会ってみたいとの一言でマーナが反応する。自分の親のような存在のはずなのにその言い方…そもそも眷属と血族の違いが俺にはよくわからないが、ふわっと『似たような出自』という理解でいれば、マーナの薄情とも思えるセリフも飲み込めるというものだ。
「そうなのか。まぁ、うるさいのは頂けんな。一人で十分だ」
「なんで急に自虐?」
………。
先を急ぐ道中だ。俺の好奇心で寄り道をしている場合でもないので、幻王狼と樹人への興味は今は置いておくとしよう。いつかまた来ることもあるだろうと、歩みを進めた。
ピクリアはドラゴニアやエーデルタクトといった、俺が通って来たミトレスの国々の中では最も寒さを感じない場所のような気がする。”樹人国”という響きが、俺にそう思わせるのかもしれない。
風切草が出すピューっという音も、耳を澄ませば高低差があり、慣れてくれば自然が奏でる合奏に聞こえなくもない。どこにでも風情を感じられるようになれば、旅はもっと楽しくなると思う。それが戦いに赴く道中であってもだ。
その時ふと、風切草の合奏が止んだ。
訪れた風凪。
後から思えば、それは異次元の存在がもたらす序曲だったのかもしれない。
照らしていた日が翳り、辺りが暗くなる。
遠視魔法は展開していた。十分に警戒はしていたつもりだった。
だが ――――反応を感じた時には、既に手遅れだった。
ズドォォォンッ!!
足元が暗くなった途端に背後から凄まじい衝撃音と地揺れが起こり、俺は反射的に身を屈めてコハクを抱きかかえ、着ている外套の中に入れた。アイレは風を纏って、マーナは万物の選別を発動させ、襲い来る砂煙を何とか回避したようだ。
だが、三人と一匹は声も発せず、振り向く事も出来ない。
背後に感じる圧倒的存在感。下手に動けば間違いなく死ぬ。
襲い来る焦燥から口は乾ききり、情けなくも手の震えは止まらない。
アイレは全身をガタガタと震わせ、焦点の定まらない目は、ぼやけた地面を只ひたすらに見つめている。
コハクも俺の外套の中、添えている手には明らかな震えが伝わってくる。傍に居るマーナは背筋をピンと伸ばし微動だにしていない。あの旺盛さが完全に鳴りを潜めているので多分俺達と似たような状況にあるのだろう。
吹き上がった小石がパラパラと地面を叩き、先程とは全く異なる脅威をはらんだ音色。立ち上る砂塵の中で巡る思考は、風情とは程遠い。
お、終わった…っ!
黒王竜の赤子、ゴルゴノプス、魔人など全く目じゃない。
今の俺ではどうする事も出来ない。
マーナは一人で逃げる事くらいはできるかもしれんが、アイレとコハクだけは逃がさなければ。
だが、どうする?
幻獣がこれほどの存在だったとは。
どれほどの時が流れたかは定かではない。遠くはるか後方からまたもやドンッという音が聞こえ、この音にまたもや身体がビクリと反応した。
ま、まさか…跳躍時の衝撃音が今頃届いたって事はない、よな…?
未だ動けずにいる俺に、同じく身動き一つ取らないマーナの声が頭の中に響いた。
《 ジン、生きてて何よりだよ 》
《 しかし死に体だ。どうすれば二人を助けられる。教えてほしい 》
《 攻撃されたらわたしもわたしを守れないね。その時はみんなで死んじゃうしかない。でもとりあえずその心配はしなくていいかも。敵意は感じないよ 》
敵意は無い。絶望しかけたが、僅かに見えた光明を糧に何とかこの場を切り抜けなければならない。
《 だがどうする。こちらも敵意がない事を示さなければ、現状は変わらんどころか悪化する可能性すらあるぞ。近しい者同士、話しかけられないのか 》
《 近しい? 無理だねぇ。あっちの方が上だもん。ちなみにコハクもムリだよ! 》
上とは幻獣から聖獣が生まれたという意味で上なのか、力で上回るのか、存在自体が上位なのか定かではないが、とにかく無理なものは無理。他の手段をどうにか探ろうと懸命に思考を巡らそうとするが、上手く頭が働かない。
いかん。眩暈がしてきたぞ…気をしっかり持たねば。
何とか方法を探ろうと固まった身体を何とか動かし、背後にいるであろう幻獣を見定める事にした。振り向いた瞬間攻撃される可能性もある。影の大きさから想像するに体高百メートルは軽く超えていそうだ。
なぜその大きさで頻繁に目撃されてこなかったんだと、恨み節を心の内で叫んではみるが、今はこの程度の抵抗が精一杯。跳躍のスピード、感じる圧力を考えると、繰り出される攻撃は躱す事も受ける事も到底できないだろう。
覚悟を決め、コハクに添えていた手を放し、両手を上げる。完全に降参のポーズだ。このポーズを取ったのはコーデリアさんとの決闘で背を取られ敗北して以来だなと、今はどうでもいい事を思いながら恐怖を紛らわせる。
ゆっくりと振り返り視界に入ったのは青黒いの巨木、のような四本の脚。浮き上がる筋肉は、木の幹がうねり合って絡みついているかの様に見える。着地の衝撃で地面を大きく窪ませた蹄は、巨大な黒曜石を思わせるかのような重厚さである。
《 ■ΛΦΣΨ¶ΘК 》
「っ!?」
突如聞こえた謎の音。当然何かは分からない。
《 Вы слышите людей 》
《 你能听到人类吗 》
《 ラウォトジュッハグ 》
い、今のは…?
何度も頭の中に響く音。だが先程とは違い、何かしらの発音の様にも聞こえた。これは声か?
まさか…話しかけられている?
《 …にんげん 》
やはりそうか。
「人間は俺だ」
両手を挙げたままゆっくりと顔を上げ、四本足の主の顔を見上げると、その主は巨大な顔をこちらに向け完全に俺達を見下ろしていた。
直感で感じた。間違いない、幻王馬スレイプニルだ。
《 これだったか。わかるんだな? 》
「ああ。間違いない。人間というか人の言葉だ」
《 そうか。風の子、洞の子、氷森の子。怖がらなくてもいい。何もしない。この人間に免じて合わせてやる 》
俺に免じてと言うのが全く理解できないが、幻王馬の言葉が届いたのか、アイレとマーナ、コハクも恐る恐る振り返り、その存在を目の当たりにした。
「……うっ!? こ、怖がるなとか…ム、ムムムムリなんだけどっ…」
「うまさん」
《 いやぁ~よかった~! ホントびっくりさせないでよね! 怒らせちゃったかと思って上に助けてって言いそうになっちゃったよ! 》
《 洞とよく似て子も煩な 》
《 フン! 知らないっ! 》
聖王狼の幻王馬に対するやり取りに内心ビビりまくる俺。マーナの声はアイレには聞こえないので、彼女には幻王馬の声だけが聞こえている状態。その証拠に彼女は幻王馬は何言ってるの? という顔で俺を見ていた。
マーナ、それ以上は止めてくれ…幻王馬は何もしないと言ったが、機嫌を損ねたらどうなるか分からんぞ…
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