『白亜の誓いは泡沫の夢〜恋人のいる公爵様に嫁いだ令嬢の、切なくも甘い誤解の果て〜』

柴田はつみ

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第十四章:誤解の解消と、真の愛の告白

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公爵の告白は、キャロルの心に、長雨の後に差した光のように降り注いだ。彼女の孤独、嫉妬、そして絶望は、一瞬にして、深い感動と歓喜へと変わった。

「リチャード様…わたくしは…」

キャロルは、嗚咽で言葉を続けることができなかった。公爵は、もはや躊躇も壁もなく、キャロルを強く、優しく抱きしめた。彼の腕の中に包まれたキャロルは、初めて、心からの安堵を覚えた。

「すまない、キャロル。君に、私の心の闇を押し付けてしまった。君を愛していたのに、その愛を、君を失う恐れから隠していた」

公爵の声は、キャロルの耳元で、かすかに震えていた。キャロルは、彼の背中に腕を回し、そのシャツに顔を埋めた。彼女の涙が、公爵の服を濡らしていく。

「わたくしこそ、勝手な誤解で、公爵様を責めて、形見を盗むような真似をして…本当に、申し訳ございません」

公爵は、キャロルを抱きしめたまま、静かに首を振った。

「君を責める権利など、私にはない。私は君に、最も大切な秘密を打ち明ける勇気を持てなかったのだから。君が、その秘密を恋人の証拠だと誤解するのは、当然のことだ」

横で見ていた伯爵は、静かに部屋を退出した。二人の間に流れる、切実な真実の瞬間に、邪魔をするべきではないと判断したのだ。


抱擁を解いた公爵は、キャロルの涙を、親指でそっと拭った。

「夜会の時も、私は君が他の男と親しく話すのを見て、公爵としての評判ではなく、ただの男として、君を奪われるのではないかと、激しい嫉妬に駆られた。だから、あんな強い口調で君を遠ざけようとしたのだ」

公爵は、自らの不器用さと、愛を隠そうとした結果が、キャロルをどれほど傷つけたかを、痛感していた。

「新婚初夜の隔たりもそうだ。君の美しい姿を見て、どれほど触れたいと願ったか。だが、妹を失った時のように、深く愛するほど、いつか君を失うかもしれないという恐怖に苛まれた。その恐怖が、私に一線を引かせたのだ」

キャロルは、公爵の告白に、涙と笑みが混じった表情を浮かべた。彼の冷徹さは、愛する者を持つことへの恐れ、そして、過去の深い悲しみが生んだ、一種の自己防衛だったのだ。

「リチャード様…わたくしの勘違いで、あんなひどい置き手紙を…」

「君が私を愛していると知った。それが、この上ない喜びだ。私を追って君の元に来たのは、君を逃がすためではない。君を私の手で、愛で、取り戻すためだ」

公爵は、キャロルの手をそっと取り、その手の甲に、結婚式の日よりも遥かに熱い、真実のキスを落とした。

「キャロル。誤解は解けた。君の私への愛を受け取った。私はもう、逃げも隠れもしない。君を失う恐怖よりも、君を愛する喜びを選ぶ」

公爵は、キャロルの瞳を真剣に見つめ、強く、そして誓うように言った。

「君は、私の妻だ。私にとって、公爵夫人という地位を超え、人生のすべてだ。私を信じ、どうか、もう一度、私の隣に戻ってきてくれないか?」

キャロルは、公爵の、かつて憧れた冷たい美貌の中に、今はただ彼女への熱い愛と優しさが宿っているのを見た。

「はい、リチャード様。わたくしは、公爵様の妻として、愛する女性として、あなたの隣に戻ります」

二人の間にあった、切ない誤解とすれ違いの壁は、完全に崩れ去った。キャロルは、この瞬間、本当に愛する公爵の妻となったのだ。公爵の瞳には、熱い愛の炎が燃え上がっていた。
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