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第四十六章 「公爵の告白(カルロス)」
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白薔薇の間に、
しんと静けさが落ちた。
クリスが証言を終え、
シャーロットの名誉が守られた瞬間──
それまで胸につかえていた“沈黙の塊”が
カルロスの中で崩れ始めた。
(俺は、何をしていた……
ずっと隣にいたのに
彼女を守る言葉も、
想いを伝える勇気もなかった)
その後悔が、
焼けるような決意に変わっていく。
王妃レイナが静かに言った。
「さて……公爵カルロス。
あなたからも、言うべきことがあるはずです」
その言葉は、
背中を押すような、試すような響きを持っていた。
カルロスはゆっくりと前に進む。
白薔薇の陽光の中で、
シャーロットが小さな肩を震わせている。
その姿が胸に刺さる。
「……シャーロット」
呼べば、
彼女は驚いたように顔を上げた。
「は……はい……」
「すまなかった」
その一言は
彼の人生で最も重い謝罪だった。
「俺は……
貴女が苦しんでいるのに、
その理由を真正面から見ようとしなかった」
王妃も侍女長も、
しばし息をのんだように静かになる。
「噂が出たときも、
花束の話を聞いたときも、
俺は……貴女を信じる言葉すら、
うまく口にできなかった」
シャーロットの瞳が揺れる。
「カルロス様は……
私を疑っていたのですか」
「違う。
疑ったことなど一度もない」
声が少しだけ震えた。
「ただ……
“失う”のが怖かった。
それだけだ」
沈黙。
その沈黙の中で、
彼の胸の奥の気持ちが
ついに言葉になる。
「シャーロット。
俺は……
貴女のことを、
ずっと好きだった」
シャーロットが大きく息を飲んだ。
王妃レイナの目がわずかに細くなる。
侍女長は気配を殺して見守る。
クリスは静かな尊敬の眼差しで二人を見た。
「幼いころから、
傍にいるのが当たり前で……
その当たり前が壊れるのが怖くて……
だから言えなかった。
ずっと、ずっと──言えなかった」
カルロスは一歩近づく。
あと少し手を伸ばせば、彼女に触れられる距離。
「シャーロット。
貴女を守れなかった俺に……
まだ、“隣に立つ資格”があるだろうか」
その問いは、
騎士の誓いより重い。
婚約の言葉より真摯だった。
シャーロットは、
震える指先を胸に当てた。
「……あります」
小さな声。
けれど誰よりも強い答え。
「私……
カルロス様に守ってほしいなんて、
本当は思っていませんでした」
「……え?」
「ただ……
“傍にいてほしい”
それだけで、よかったのです」
シャーロットは涙をこぼした。
「カルロス様がいてくれるだけで、
私は、どんな噂も怖くありません。
だから……
これからは、言葉にしてください。
私たちは、幼い頃とは違うのですから」
カルロスの胸に熱いものが満ちる。
「……ああ。必ず」
決意が、
初めて真っ直ぐ彼の瞳に宿った。
王妃が静かに微笑む。
「では、次は“影を生んだ者”を
明らかにしなければなりませんね」
カルロスの表情が鋭く変わる。
クリスも軽く頷いた。
二人の視線が交錯した瞬間──
空気が一段と張り詰めた。
(マリナ……
必ず、止める)
二人の男の決意が、
白薔薇の間に無音の炎を灯した。
しんと静けさが落ちた。
クリスが証言を終え、
シャーロットの名誉が守られた瞬間──
それまで胸につかえていた“沈黙の塊”が
カルロスの中で崩れ始めた。
(俺は、何をしていた……
ずっと隣にいたのに
彼女を守る言葉も、
想いを伝える勇気もなかった)
その後悔が、
焼けるような決意に変わっていく。
王妃レイナが静かに言った。
「さて……公爵カルロス。
あなたからも、言うべきことがあるはずです」
その言葉は、
背中を押すような、試すような響きを持っていた。
カルロスはゆっくりと前に進む。
白薔薇の陽光の中で、
シャーロットが小さな肩を震わせている。
その姿が胸に刺さる。
「……シャーロット」
呼べば、
彼女は驚いたように顔を上げた。
「は……はい……」
「すまなかった」
その一言は
彼の人生で最も重い謝罪だった。
「俺は……
貴女が苦しんでいるのに、
その理由を真正面から見ようとしなかった」
王妃も侍女長も、
しばし息をのんだように静かになる。
「噂が出たときも、
花束の話を聞いたときも、
俺は……貴女を信じる言葉すら、
うまく口にできなかった」
シャーロットの瞳が揺れる。
「カルロス様は……
私を疑っていたのですか」
「違う。
疑ったことなど一度もない」
声が少しだけ震えた。
「ただ……
“失う”のが怖かった。
それだけだ」
沈黙。
その沈黙の中で、
彼の胸の奥の気持ちが
ついに言葉になる。
「シャーロット。
俺は……
貴女のことを、
ずっと好きだった」
シャーロットが大きく息を飲んだ。
王妃レイナの目がわずかに細くなる。
侍女長は気配を殺して見守る。
クリスは静かな尊敬の眼差しで二人を見た。
「幼いころから、
傍にいるのが当たり前で……
その当たり前が壊れるのが怖くて……
だから言えなかった。
ずっと、ずっと──言えなかった」
カルロスは一歩近づく。
あと少し手を伸ばせば、彼女に触れられる距離。
「シャーロット。
貴女を守れなかった俺に……
まだ、“隣に立つ資格”があるだろうか」
その問いは、
騎士の誓いより重い。
婚約の言葉より真摯だった。
シャーロットは、
震える指先を胸に当てた。
「……あります」
小さな声。
けれど誰よりも強い答え。
「私……
カルロス様に守ってほしいなんて、
本当は思っていませんでした」
「……え?」
「ただ……
“傍にいてほしい”
それだけで、よかったのです」
シャーロットは涙をこぼした。
「カルロス様がいてくれるだけで、
私は、どんな噂も怖くありません。
だから……
これからは、言葉にしてください。
私たちは、幼い頃とは違うのですから」
カルロスの胸に熱いものが満ちる。
「……ああ。必ず」
決意が、
初めて真っ直ぐ彼の瞳に宿った。
王妃が静かに微笑む。
「では、次は“影を生んだ者”を
明らかにしなければなりませんね」
カルロスの表情が鋭く変わる。
クリスも軽く頷いた。
二人の視線が交錯した瞬間──
空気が一段と張り詰めた。
(マリナ……
必ず、止める)
二人の男の決意が、
白薔薇の間に無音の炎を灯した。
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