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第26話「クリスの苛立ち」
クリスが口を開いた。
わたしは息を止めたまま、待った。
暖炉の炎が揺れていた。
部屋が、しんと静かだった。
「アリス」
「ええ」
「俺は……」
クリスが言葉を探すように、少し目を伏せた。
それからわたしを見た。
「お前のことを……」
そのとき。
扉が、ノックされた。
二人の間の空気が、音を立てて割れた気がした。
「……なんだ」
クリスが低い声で言った。
扉の向こうからジョエルの声がした。
「申し訳ございません、旦那様。緊急のお手紙が届いております。領地からで、今すぐご確認いただきたいとのことで」
クリスが目を閉じた。
一瞬だけ、わたしは彼の顔に隠しきれない苛立ちが浮かぶのを見た。
「……わかった、今行く」
立ち上がった。
わたしを見た。
「すまない」
「いいえ」わたしは首を振った。
「仕事が大事よ」
「続きは」
「また今度でいいわ」
そう言いながら、胸の奥で何かがすとんと落ちた気がした。
また今度。
また、先送りになった。
クリスが部屋を出て行った。
扉が閉まった。
わたしは一人、暖炉の前に残された。
炎が揺れていた。
さっきまであんなに温かかった部屋が、急に広くなった気がした。
お前のことを。
その先が、また聞けなかった。
わかっていた。
邪魔が入ったのはクリスのせいじゃない。領地からの緊急の知らせなら、仕方がない。
でも。
何度目だろう、と思った。
言いかけて、止まる。
止まって、また先送りになる。
それが何度も繰り返されている。
疲れた、と思ってしまった。
自分でも驚くくらい、率直にそう思った。
部屋に戻って、ベッドに腰を下ろした。
窓の外は暗くて、星だけが光っていた。
疲れた。
待つことに、疲れた。
期待して、また先送りになって。
信じたいのに、信じきれなくて。
そのぐるぐるに、疲れた。
ミリアの言葉を信じたい。
クリスの目を信じたい。
でも言葉にならないものを、どこまで信じればいいのかわからなかった。
目を閉じると、涙が一筋こぼれた。
拭いながら、情けないと思った。
泣くほどのことじゃない。
でも涙が、止まらなかった。
翌朝、食堂に行くとクリスがいた。
いつも通りの顔だった。
「おはよう」
「おはようございます」
席に着いた。
スープが運ばれてきた。
クリスが一口飲んでから、言った。
「昨夜はすまなかった」
「いいえ、仕方がなかったわ」
「領地の件は片付いた」
「そう」
短い会話だった。
クリスがわたしを見た。
「続きを」
「いいわ」
言葉が、先に出てしまった。
クリスが少し止まった。
「いい?」
「今は……いいわ」
自分でも、なぜそう言ったのかわからなかった。
聞きたい。でも聞きたくない。
言いかけては止まる繰り返しに、もう自分が耐えられる気がしなかった。
もし聞いて違ったら。
今の状態よりずっと、苦しくなる気がした。
クリスがわたしを見た。
いつもより、少し真剣な目だった。
「本当にいいのか」
「ええ」
「アリス」
「本当にいいの」
クリスが少し眉を寄せた。
「……そうか」
それ以上は言わなかった。
コーヒーを飲んで、新聞を手に取った。
わたしもスープを飲んだ。
いつも通りの朝食だった。
でもいつもとどこか違った。
クリスがわたしを見る回数が、少なかった。
いつもならちらちらと視線を感じるのに、今朝はほとんど感じなかった。
それがどういうわけか、余計に胸に刺さった。
その日から、クリスの様子が少し変わった。
変わった、というのは距離が戻った、という感じだった。
触れることが減った。
視線の回数が減った。
仕事には行って、食事は一緒に取って、少し話して。
でも何故か距離感を感じた。
わたしが「いいわ」と言ったから。
続きを聞かなくていいと言ったから。
わかっていた。
わたしが遠ざけたから、クリスも距離を取った。
当然のことだ。
でも胸が痛かった。
自分でそうしたのに、それが痛かった。
三日が経った。
エマが心配そうにわたしを見るようになった。
「奥様、最近お顔の色が」
「大丈夫よ」
「旦那様とも、何かございましたか」
「何もないわ」
エマが黙った。
でも目が「嘘をおっしゃっています」と言っていた。
四日目の夜、居間でクリスと二人になった。
クリスは書類を見ていた。
わたしは刺繍をしていた。
でも針が進まなかった。
部屋の中は静かで、暖炉の炎だけが揺れていた。
クリスがいる。
同じ部屋にいる。
なのにこんなに遠い気がするのは、なぜだろう。
「クリス」
気づいたら、呼んでいた。
クリスが書類から顔を上げた。
「なんだ」
わたしは刺繍を膝の上に置いた。
「最近」
「うん?」
「少し、貴方が遠い気がするわ」
言ってしまった。
クリスがわたしを見た。
少しの間があった。
「そうか」
「……そう思わない?」
「思う」
あっさりと言われて、少し驚いた。
「でも」クリスが静かに続けた。
「お前が遠ざけたんだろう」
反論できなかった。
「……そうね」
「俺は」クリスが言葉を止めた。
「お前が嫌なら、無理はしない」
「嫌なわけじゃないわ」
「じゃあなぜ」
「怖いから」
声に出してから、少し震えた。
「怖い?」
「ええ」わたしは視線を落とした。
「聞いて違ったら、どうしようと思って」
クリスが黙った。
暖炉の薪が、ぱちりと音を立てた。
やがてクリスが立ち上がった。
書類をテーブルに置いて、わたしの前に来た。
しゃがんで、わたしと目線を合わせた。
こんなに近くで目が合ったのは、いつぶりだろう。
「アリス」
「なに?」
「俺も怖い」
意外な言葉だった。
「クリスが?」
「ああ」クリスが静かに言った。
「言って、お前に笑われたら。言って、受け入れてもらえなかったらそれが怖くて、ずっと言えなかった」
わたしは息を呑んだ。
「笑わないわ」
「前にも言ってくれたな、それを」
「本当のことだもの」
クリスがわたしを見た。
まっすぐな目だった。
「アリス、俺は」
また、止まった。
でも今度は邪魔が入ったわけではなかった。
クリスが自分で、止まった。
視線を落として、一度だけ息を吐いた。
それから顔を上げた。
「もう少しだけ、待ってくれるか」
わたしは少し唇を噛んだ。
「……またなの?」
「すまない」
「いつまで?」
「近いうちに、必ず」
また同じ言葉だった。
わたしは少しの間、クリスを見た。
その目は真剣だった。
嘘をついている目ではなかった。
ただ何かと戦っている目だった。
「わかったわ」
わたしは頷いた。
「でもクリス」
「なんだ」
「次こそ、ちゃんと言って」
クリスが少しだけ目を見開いた。
それから静かに、頷いた。
「ああ。必ず」
その夜、眠れないまま天井を見つめた。
クリスも怖いと言っていた。
言って、笑われたら。受け入れてもらえなかったら。
それはわたしと、まったく同じ怖さだった。
二人で同じ場所で立ち止まって、同じ方向を怖がっていた。
どちらかが一歩踏み出せばきっと、変わる。
でも、どちらも踏み出せないでいた。
翌朝、わたしは決めた。
このままではいけない、と。
ぐるぐると同じところを回り続けて、疲れていた。
クリスのことを信じたい。
でも怖い。
その怖さを抱えたまま、少し頭を冷やしたかった。
父と母に、会いたいと思った。
実家に、帰りたいと思った。
わたしは息を止めたまま、待った。
暖炉の炎が揺れていた。
部屋が、しんと静かだった。
「アリス」
「ええ」
「俺は……」
クリスが言葉を探すように、少し目を伏せた。
それからわたしを見た。
「お前のことを……」
そのとき。
扉が、ノックされた。
二人の間の空気が、音を立てて割れた気がした。
「……なんだ」
クリスが低い声で言った。
扉の向こうからジョエルの声がした。
「申し訳ございません、旦那様。緊急のお手紙が届いております。領地からで、今すぐご確認いただきたいとのことで」
クリスが目を閉じた。
一瞬だけ、わたしは彼の顔に隠しきれない苛立ちが浮かぶのを見た。
「……わかった、今行く」
立ち上がった。
わたしを見た。
「すまない」
「いいえ」わたしは首を振った。
「仕事が大事よ」
「続きは」
「また今度でいいわ」
そう言いながら、胸の奥で何かがすとんと落ちた気がした。
また今度。
また、先送りになった。
クリスが部屋を出て行った。
扉が閉まった。
わたしは一人、暖炉の前に残された。
炎が揺れていた。
さっきまであんなに温かかった部屋が、急に広くなった気がした。
お前のことを。
その先が、また聞けなかった。
わかっていた。
邪魔が入ったのはクリスのせいじゃない。領地からの緊急の知らせなら、仕方がない。
でも。
何度目だろう、と思った。
言いかけて、止まる。
止まって、また先送りになる。
それが何度も繰り返されている。
疲れた、と思ってしまった。
自分でも驚くくらい、率直にそう思った。
部屋に戻って、ベッドに腰を下ろした。
窓の外は暗くて、星だけが光っていた。
疲れた。
待つことに、疲れた。
期待して、また先送りになって。
信じたいのに、信じきれなくて。
そのぐるぐるに、疲れた。
ミリアの言葉を信じたい。
クリスの目を信じたい。
でも言葉にならないものを、どこまで信じればいいのかわからなかった。
目を閉じると、涙が一筋こぼれた。
拭いながら、情けないと思った。
泣くほどのことじゃない。
でも涙が、止まらなかった。
翌朝、食堂に行くとクリスがいた。
いつも通りの顔だった。
「おはよう」
「おはようございます」
席に着いた。
スープが運ばれてきた。
クリスが一口飲んでから、言った。
「昨夜はすまなかった」
「いいえ、仕方がなかったわ」
「領地の件は片付いた」
「そう」
短い会話だった。
クリスがわたしを見た。
「続きを」
「いいわ」
言葉が、先に出てしまった。
クリスが少し止まった。
「いい?」
「今は……いいわ」
自分でも、なぜそう言ったのかわからなかった。
聞きたい。でも聞きたくない。
言いかけては止まる繰り返しに、もう自分が耐えられる気がしなかった。
もし聞いて違ったら。
今の状態よりずっと、苦しくなる気がした。
クリスがわたしを見た。
いつもより、少し真剣な目だった。
「本当にいいのか」
「ええ」
「アリス」
「本当にいいの」
クリスが少し眉を寄せた。
「……そうか」
それ以上は言わなかった。
コーヒーを飲んで、新聞を手に取った。
わたしもスープを飲んだ。
いつも通りの朝食だった。
でもいつもとどこか違った。
クリスがわたしを見る回数が、少なかった。
いつもならちらちらと視線を感じるのに、今朝はほとんど感じなかった。
それがどういうわけか、余計に胸に刺さった。
その日から、クリスの様子が少し変わった。
変わった、というのは距離が戻った、という感じだった。
触れることが減った。
視線の回数が減った。
仕事には行って、食事は一緒に取って、少し話して。
でも何故か距離感を感じた。
わたしが「いいわ」と言ったから。
続きを聞かなくていいと言ったから。
わかっていた。
わたしが遠ざけたから、クリスも距離を取った。
当然のことだ。
でも胸が痛かった。
自分でそうしたのに、それが痛かった。
三日が経った。
エマが心配そうにわたしを見るようになった。
「奥様、最近お顔の色が」
「大丈夫よ」
「旦那様とも、何かございましたか」
「何もないわ」
エマが黙った。
でも目が「嘘をおっしゃっています」と言っていた。
四日目の夜、居間でクリスと二人になった。
クリスは書類を見ていた。
わたしは刺繍をしていた。
でも針が進まなかった。
部屋の中は静かで、暖炉の炎だけが揺れていた。
クリスがいる。
同じ部屋にいる。
なのにこんなに遠い気がするのは、なぜだろう。
「クリス」
気づいたら、呼んでいた。
クリスが書類から顔を上げた。
「なんだ」
わたしは刺繍を膝の上に置いた。
「最近」
「うん?」
「少し、貴方が遠い気がするわ」
言ってしまった。
クリスがわたしを見た。
少しの間があった。
「そうか」
「……そう思わない?」
「思う」
あっさりと言われて、少し驚いた。
「でも」クリスが静かに続けた。
「お前が遠ざけたんだろう」
反論できなかった。
「……そうね」
「俺は」クリスが言葉を止めた。
「お前が嫌なら、無理はしない」
「嫌なわけじゃないわ」
「じゃあなぜ」
「怖いから」
声に出してから、少し震えた。
「怖い?」
「ええ」わたしは視線を落とした。
「聞いて違ったら、どうしようと思って」
クリスが黙った。
暖炉の薪が、ぱちりと音を立てた。
やがてクリスが立ち上がった。
書類をテーブルに置いて、わたしの前に来た。
しゃがんで、わたしと目線を合わせた。
こんなに近くで目が合ったのは、いつぶりだろう。
「アリス」
「なに?」
「俺も怖い」
意外な言葉だった。
「クリスが?」
「ああ」クリスが静かに言った。
「言って、お前に笑われたら。言って、受け入れてもらえなかったらそれが怖くて、ずっと言えなかった」
わたしは息を呑んだ。
「笑わないわ」
「前にも言ってくれたな、それを」
「本当のことだもの」
クリスがわたしを見た。
まっすぐな目だった。
「アリス、俺は」
また、止まった。
でも今度は邪魔が入ったわけではなかった。
クリスが自分で、止まった。
視線を落として、一度だけ息を吐いた。
それから顔を上げた。
「もう少しだけ、待ってくれるか」
わたしは少し唇を噛んだ。
「……またなの?」
「すまない」
「いつまで?」
「近いうちに、必ず」
また同じ言葉だった。
わたしは少しの間、クリスを見た。
その目は真剣だった。
嘘をついている目ではなかった。
ただ何かと戦っている目だった。
「わかったわ」
わたしは頷いた。
「でもクリス」
「なんだ」
「次こそ、ちゃんと言って」
クリスが少しだけ目を見開いた。
それから静かに、頷いた。
「ああ。必ず」
その夜、眠れないまま天井を見つめた。
クリスも怖いと言っていた。
言って、笑われたら。受け入れてもらえなかったら。
それはわたしと、まったく同じ怖さだった。
二人で同じ場所で立ち止まって、同じ方向を怖がっていた。
どちらかが一歩踏み出せばきっと、変わる。
でも、どちらも踏み出せないでいた。
翌朝、わたしは決めた。
このままではいけない、と。
ぐるぐると同じところを回り続けて、疲れていた。
クリスのことを信じたい。
でも怖い。
その怖さを抱えたまま、少し頭を冷やしたかった。
父と母に、会いたいと思った。
実家に、帰りたいと思った。
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