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番外編「不器用な旦那様」
結婚して、三ヶ月が経った。
朝の光が、寝室のカーテンを透かして差し込んでくる。
セラフィーナは目を覚まして、天蓋付きのベッドの中でぼんやりと天井を見上げた。
隣が、温かい。
ああ、そうか。
まだ慣れない。
毎朝、隣に人がいることに、まだ少し驚いてしまう。
そっと横を向くと、ルシアンが静かに眠っていた。
普段は隙のない端正な顔が、今は無防備に緩んでいる。長い睫毛が頬に影を落として、規則正しく胸が上下していた。
こんな顔もするんだ。
起こさないよう、セラはそっとベッドから出た。
「……どこへ行く」
低い声が背後からかかった。
「起きていらしたんですか」
「お前が動いたら、目が覚めた」
ルシアンが目を開けて、こちらを見た。
寝起きの金の瞳が、眠そうにセラを映している。
「庭に水やりに行こうと思って」
「今何時だ」
「六時少し前です」
「早い」
「花は朝が大事なんです」
ルシアンはしばらく天井を見上げてから、むくりと起き上がった。
「俺も行く」
「え? いいですよ、まだお休みになっていて」
「行く」
それだけ言って、ルシアンはガウンを羽織り始めた。
セラは止める言葉を失って、ただ見ていた。
……一緒に来るの?
ヴァレンクール公爵邸の庭は広大だった。
以前から手入れの行き届いた美しい庭だったが、セラが嫁いでから一角に花壇が新しく作られた。
セラが
「少し花を育てたい」と言ったその日のうちに、ルシアンが庭師に命じていた。
「早いですね、作るのが」
「好きにしろと言ったはずだ」
「でも翌日には出来上がっていました」
「……それが何か」
「嬉しかったです」
ルシアンは黙って前を向いた。
耳が少し赤い気がしたが、気のせいかもしれない。
セラは花壇にしゃがみ込んで、水やりを始めた。
スノードロップはすでに季節が過ぎて、今は白い小さな花と薄紫の花が咲いていた。
ルシアンは隣に立ったまま、腕を組んでセラを見ていた。
「……手伝えることはあるか」
「ルシアン様が土いじりを?」
「できないとは言っていない」
「でも似合いません」
「セラフィーナ」
「似合いませんが……」
セラは隣の花壇を指差した。
「あちらに水をお願いできますか? このじょうろで」
ルシアンは無言でじょうろを受け取った。
そして慎重な手つきで、花に水をかけ始めた。
……真剣な顔で水やりをしている。
セラはそれを横目に見て、こっそり口元を緩めた。
「上手ですよ」
「当然だ」
「でも少し多すぎます、そこ」
「……これくらいでいいだろう」
「根が腐ってしまいます」
「……」
ルシアンは黙って、水の量を減らした。
耳が赤かった。今度は確実に。
朝食の時間になった。
広いダイニングに、ふたりで向かい合って座る。
結婚前は想像もしなかった光景だった。
マリアが給仕をしながら、にこにこと幸せそうな顔をしている。
「今日はパンとスープと、あとオムレツを作りました」
「ありがとう、マリア」
「旦那様もどうぞ」
「ああ」
ルシアンはスープを一口飲んで、短く言った。
「うまい」
マリアが小躍りした。
セラが小さく笑うと、ルシアンがこちらを見た。
「何がおかしい」
「マリアが喜んでいるなと思って」
「褒めたら駄目なのか」
「そんなことはありません。……ルシアン様、意外とお上手ですね、そういうの」
「そういうのとは何だ」
「褒めること」
ルシアンはスープに視線を戻した。
「……クロードに言われた。毎日伝えろと」
「クロードさんが?」
「うるさい男だ」
「素敵な従者さんですね」
「余計なお世話だ」
しかし口元が、かすかに緩んでいた。
セラはオムレツを一口食べながら、窓の外を眺めた。
朝の庭に、光が降り注いでいる。
幸せだな、と思う。
こんな朝が来るとは、半年前には思っていなかった。
「セラフィーナ」
「はい」
「今日、エリーゼが来る」
「存じています。楽しみにしていました」
「……うるさくして済まない」
「エリーゼ様は可愛らしいじゃないですか」
「騒がしい」
「でもルシアン様、嫌いじゃないでしょう」
「……妹だからな」
セラは微笑んだ。
ルシアンは不器用だけれど、大切な人への気遣いが随所に滲み出る。
それに気づくたびに、胸の奥が温かくなった。
午後になると、エリーゼが嵐のように現れた。
「お義姉様!!」
「エリーゼ様、お久しぶりです」
「三週間ぶりです! 長かった! お兄様ったら私が会いに来ようとするたびに邪魔をするんですもの!」
「俺は邪魔などしていない」
ルシアンが冷静に言った。
「したじゃないですか! 先週は急に視察に連れて行くとか言って!」
「公爵家の学びは必要だ」
「お義姉様に会いたかっただけです!」
「……」
ルシアンは黙った。
セラはふたりのやり取りを見ながら、こっそり笑った。
エリーゼがセラの腕に飛びついた。
「お義姉様、お兄様、ちゃんと優しくしていますか? 意地悪していませんか?」
「とても優しくしてくださっています」
「本当に? お兄様、不器用だから心配で」
「エリーゼ」
ルシアンが低い声を出した。
「だって本当のことじゃないですか。ねえお義姉様」
「……ええ、不器用ですが」
「セラフィーナ」
「でも、それが好きです」
エリーゼが黄色い声を上げた。
ルシアンは珍しく、どこを向けばいいかわからないような顔をして、窓の外を見た。
耳が赤い。
エリーゼがセラの耳元にそっと囁いた。
「お義姉様、お兄様の耳、真っ赤ですよ」
「見えています」
「可愛いでしょう」
「……内緒にしてあげてください」
「もちろんです!」
ふたりが笑い合うのを、ルシアンは背中で聞いていた。
うるさい。
しかし、不思議と。
その声が、嫌ではなかった。
夕方、エリーゼが帰った後。
ふたりでテラスに出て、夕暮れを眺めた。
空が橙色に染まって、庭の花が夕陽を受けてきらきらと光っていた。
「今日は賑やかでしたね」
「そうだな」
「でも楽しかったです」
ルシアンは紅茶のカップを手に、静かに夕空を見上げた。
「セラフィーナ」
「はい」
「不便はないか」
「何のですか」
「ここでの生活だ。不自由なことはないか」
セラは少し考えた。
「……一つだけ」
「何だ。すぐ直す」
「直せないと思います」
「何でも直す」
「では」
セラはルシアンを見上げた。
「朝、隣が温かいと、なかなか起きられなくなってしまって」
ルシアンが、固まった。
「それが、少し困っています」
「……それは」
「ルシアン様のせいです」
「……俺のせいか」
「ええ」
ルシアンはしばらく沈黙した。
それから、珍しく声を出して言った。
「……それは、直さなくていい」
「でも朝の水やりが」
「俺がする」
「え?」
「毎朝、俺が水やりをする。だからお前は、もう少し寝ていろ」
セラは目を瞬かせた。
「……本当に?」
「今日やっただろう」
「量が多すぎていましたが」
「……加減は覚える」
「根が腐ったら大変です」
「腐らせない」
「約束ですよ」
「ああ」
ルシアンが、静かに答えた。
セラは夕陽に目を細めながら、そっとルシアンの腕に寄り添った。
ルシアンは黙って、しかし離さなかった。
夕暮れの庭に、春の終わりの風が吹いた。
その夜。
寝室に戻って、ルシアンが珍しく、先にベッドに入ったセラに声をかけた。
「セラフィーナ」
「はい」
「……今日も、一日」
セラは首を傾げた。
ルシアンが、かすかに言いにくそうにしていた。
「……隣にいてくれて、よかった」
セラは一瞬、ぽかんとした。
それから、じわじわと頬が熱くなった。
「……ルシアン様」
「何だ」
「毎日伝えろと、クロードさんに言われたんですね」
「……うるさい男だと言っただろう」
「素敵な従者さんです」
「余計なお世話だ」
「でも」
セラは微笑んだ。
「嬉しいです。ちゃんと」
ルシアンは黙って、燭台の火を消した。
寝室が暗くなった。
しばらく、静かな時間が流れた。
「……俺も」
暗闇の中で、低い声がした。
「嬉しい」
セラは目を閉じた。
隣が温かい。
毎朝、これに慣れなくていい。
毎朝、少し驚いて、少し嬉しくて。
そういう朝を、これから何度も迎えるんだ。
春の夜が、静かに更けていった。
翌朝。
セラが目を覚ますと、隣はすでに空だった。
着替えて庭に出ると、ルシアンが無言でじょうろを持って花壇の前に立っていた。
昨日より、水の量が少ない。
ちゃんと加減を覚えていた。
「ルシアン様」
「起きたか」
「水やり、上手になりましたね」
「一日でうまくなるものか」
「でも昨日より上手です」
「……そうか」
ルシアンは前を向いたまま、かすかに口元を緩めた。
セラは隣に立って、一緒に花を眺めた。
朝の庭に、光が降り注ぐ。
白い花が、風に揺れる。
「ルシアン様」
「何だ」
「今日も、一日」
ルシアンがこちらを向いた。
セラは微笑んで、続けた。
「よろしくお願いします」
ルシアンはしばらく、セラの顔を見つめた。
それから、不器用に、しかし確かに。
「ああ」
と、答えた。
春の朝が、ふたりの上に静かに降り注いでいた。
朝の光が、寝室のカーテンを透かして差し込んでくる。
セラフィーナは目を覚まして、天蓋付きのベッドの中でぼんやりと天井を見上げた。
隣が、温かい。
ああ、そうか。
まだ慣れない。
毎朝、隣に人がいることに、まだ少し驚いてしまう。
そっと横を向くと、ルシアンが静かに眠っていた。
普段は隙のない端正な顔が、今は無防備に緩んでいる。長い睫毛が頬に影を落として、規則正しく胸が上下していた。
こんな顔もするんだ。
起こさないよう、セラはそっとベッドから出た。
「……どこへ行く」
低い声が背後からかかった。
「起きていらしたんですか」
「お前が動いたら、目が覚めた」
ルシアンが目を開けて、こちらを見た。
寝起きの金の瞳が、眠そうにセラを映している。
「庭に水やりに行こうと思って」
「今何時だ」
「六時少し前です」
「早い」
「花は朝が大事なんです」
ルシアンはしばらく天井を見上げてから、むくりと起き上がった。
「俺も行く」
「え? いいですよ、まだお休みになっていて」
「行く」
それだけ言って、ルシアンはガウンを羽織り始めた。
セラは止める言葉を失って、ただ見ていた。
……一緒に来るの?
ヴァレンクール公爵邸の庭は広大だった。
以前から手入れの行き届いた美しい庭だったが、セラが嫁いでから一角に花壇が新しく作られた。
セラが
「少し花を育てたい」と言ったその日のうちに、ルシアンが庭師に命じていた。
「早いですね、作るのが」
「好きにしろと言ったはずだ」
「でも翌日には出来上がっていました」
「……それが何か」
「嬉しかったです」
ルシアンは黙って前を向いた。
耳が少し赤い気がしたが、気のせいかもしれない。
セラは花壇にしゃがみ込んで、水やりを始めた。
スノードロップはすでに季節が過ぎて、今は白い小さな花と薄紫の花が咲いていた。
ルシアンは隣に立ったまま、腕を組んでセラを見ていた。
「……手伝えることはあるか」
「ルシアン様が土いじりを?」
「できないとは言っていない」
「でも似合いません」
「セラフィーナ」
「似合いませんが……」
セラは隣の花壇を指差した。
「あちらに水をお願いできますか? このじょうろで」
ルシアンは無言でじょうろを受け取った。
そして慎重な手つきで、花に水をかけ始めた。
……真剣な顔で水やりをしている。
セラはそれを横目に見て、こっそり口元を緩めた。
「上手ですよ」
「当然だ」
「でも少し多すぎます、そこ」
「……これくらいでいいだろう」
「根が腐ってしまいます」
「……」
ルシアンは黙って、水の量を減らした。
耳が赤かった。今度は確実に。
朝食の時間になった。
広いダイニングに、ふたりで向かい合って座る。
結婚前は想像もしなかった光景だった。
マリアが給仕をしながら、にこにこと幸せそうな顔をしている。
「今日はパンとスープと、あとオムレツを作りました」
「ありがとう、マリア」
「旦那様もどうぞ」
「ああ」
ルシアンはスープを一口飲んで、短く言った。
「うまい」
マリアが小躍りした。
セラが小さく笑うと、ルシアンがこちらを見た。
「何がおかしい」
「マリアが喜んでいるなと思って」
「褒めたら駄目なのか」
「そんなことはありません。……ルシアン様、意外とお上手ですね、そういうの」
「そういうのとは何だ」
「褒めること」
ルシアンはスープに視線を戻した。
「……クロードに言われた。毎日伝えろと」
「クロードさんが?」
「うるさい男だ」
「素敵な従者さんですね」
「余計なお世話だ」
しかし口元が、かすかに緩んでいた。
セラはオムレツを一口食べながら、窓の外を眺めた。
朝の庭に、光が降り注いでいる。
幸せだな、と思う。
こんな朝が来るとは、半年前には思っていなかった。
「セラフィーナ」
「はい」
「今日、エリーゼが来る」
「存じています。楽しみにしていました」
「……うるさくして済まない」
「エリーゼ様は可愛らしいじゃないですか」
「騒がしい」
「でもルシアン様、嫌いじゃないでしょう」
「……妹だからな」
セラは微笑んだ。
ルシアンは不器用だけれど、大切な人への気遣いが随所に滲み出る。
それに気づくたびに、胸の奥が温かくなった。
午後になると、エリーゼが嵐のように現れた。
「お義姉様!!」
「エリーゼ様、お久しぶりです」
「三週間ぶりです! 長かった! お兄様ったら私が会いに来ようとするたびに邪魔をするんですもの!」
「俺は邪魔などしていない」
ルシアンが冷静に言った。
「したじゃないですか! 先週は急に視察に連れて行くとか言って!」
「公爵家の学びは必要だ」
「お義姉様に会いたかっただけです!」
「……」
ルシアンは黙った。
セラはふたりのやり取りを見ながら、こっそり笑った。
エリーゼがセラの腕に飛びついた。
「お義姉様、お兄様、ちゃんと優しくしていますか? 意地悪していませんか?」
「とても優しくしてくださっています」
「本当に? お兄様、不器用だから心配で」
「エリーゼ」
ルシアンが低い声を出した。
「だって本当のことじゃないですか。ねえお義姉様」
「……ええ、不器用ですが」
「セラフィーナ」
「でも、それが好きです」
エリーゼが黄色い声を上げた。
ルシアンは珍しく、どこを向けばいいかわからないような顔をして、窓の外を見た。
耳が赤い。
エリーゼがセラの耳元にそっと囁いた。
「お義姉様、お兄様の耳、真っ赤ですよ」
「見えています」
「可愛いでしょう」
「……内緒にしてあげてください」
「もちろんです!」
ふたりが笑い合うのを、ルシアンは背中で聞いていた。
うるさい。
しかし、不思議と。
その声が、嫌ではなかった。
夕方、エリーゼが帰った後。
ふたりでテラスに出て、夕暮れを眺めた。
空が橙色に染まって、庭の花が夕陽を受けてきらきらと光っていた。
「今日は賑やかでしたね」
「そうだな」
「でも楽しかったです」
ルシアンは紅茶のカップを手に、静かに夕空を見上げた。
「セラフィーナ」
「はい」
「不便はないか」
「何のですか」
「ここでの生活だ。不自由なことはないか」
セラは少し考えた。
「……一つだけ」
「何だ。すぐ直す」
「直せないと思います」
「何でも直す」
「では」
セラはルシアンを見上げた。
「朝、隣が温かいと、なかなか起きられなくなってしまって」
ルシアンが、固まった。
「それが、少し困っています」
「……それは」
「ルシアン様のせいです」
「……俺のせいか」
「ええ」
ルシアンはしばらく沈黙した。
それから、珍しく声を出して言った。
「……それは、直さなくていい」
「でも朝の水やりが」
「俺がする」
「え?」
「毎朝、俺が水やりをする。だからお前は、もう少し寝ていろ」
セラは目を瞬かせた。
「……本当に?」
「今日やっただろう」
「量が多すぎていましたが」
「……加減は覚える」
「根が腐ったら大変です」
「腐らせない」
「約束ですよ」
「ああ」
ルシアンが、静かに答えた。
セラは夕陽に目を細めながら、そっとルシアンの腕に寄り添った。
ルシアンは黙って、しかし離さなかった。
夕暮れの庭に、春の終わりの風が吹いた。
その夜。
寝室に戻って、ルシアンが珍しく、先にベッドに入ったセラに声をかけた。
「セラフィーナ」
「はい」
「……今日も、一日」
セラは首を傾げた。
ルシアンが、かすかに言いにくそうにしていた。
「……隣にいてくれて、よかった」
セラは一瞬、ぽかんとした。
それから、じわじわと頬が熱くなった。
「……ルシアン様」
「何だ」
「毎日伝えろと、クロードさんに言われたんですね」
「……うるさい男だと言っただろう」
「素敵な従者さんです」
「余計なお世話だ」
「でも」
セラは微笑んだ。
「嬉しいです。ちゃんと」
ルシアンは黙って、燭台の火を消した。
寝室が暗くなった。
しばらく、静かな時間が流れた。
「……俺も」
暗闇の中で、低い声がした。
「嬉しい」
セラは目を閉じた。
隣が温かい。
毎朝、これに慣れなくていい。
毎朝、少し驚いて、少し嬉しくて。
そういう朝を、これから何度も迎えるんだ。
春の夜が、静かに更けていった。
翌朝。
セラが目を覚ますと、隣はすでに空だった。
着替えて庭に出ると、ルシアンが無言でじょうろを持って花壇の前に立っていた。
昨日より、水の量が少ない。
ちゃんと加減を覚えていた。
「ルシアン様」
「起きたか」
「水やり、上手になりましたね」
「一日でうまくなるものか」
「でも昨日より上手です」
「……そうか」
ルシアンは前を向いたまま、かすかに口元を緩めた。
セラは隣に立って、一緒に花を眺めた。
朝の庭に、光が降り注ぐ。
白い花が、風に揺れる。
「ルシアン様」
「何だ」
「今日も、一日」
ルシアンがこちらを向いた。
セラは微笑んで、続けた。
「よろしくお願いします」
ルシアンはしばらく、セラの顔を見つめた。
それから、不器用に、しかし確かに。
「ああ」
と、答えた。
春の朝が、ふたりの上に静かに降り注いでいた。
この作品は感想を受け付けておりません。
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