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ミズキからの手紙
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その頃、カークは泊まっている簡易宿泊施設にいた。狭い部屋だが寝泊まりするには申し分ない。フロントの男は接客などする気もない様で愛想がなく声をかけてこない。しかし今夜は違った。フロントを通過しようとした時、中からカークを止める声がした。
「よぉ、あんたに届け物だ」
その言葉にカークは眉をひそめた。男から封筒を受け取り、自分の部屋に向かう。白い封筒は無地に見えるが四隅に小さな地紋の刻印がある。それはよく透かして見ないとわからないものだ。鷹の羽ばたく姿のそれは彼の腕にあるタトゥーと同じ。
つまり『国王の認めたモノ』。カークはため息をつき封を開けるとそこには見慣れた右上がりの文字。――ミズキからの手紙だった。
街を渡りながら宿を転々としているのに、こうしてたまにミズキから手紙が届けられる。もう何度目だろうか。当初はどうしてここが分かるのかと驚いたのだが、ある日気がついた。
研究塔の隣にある魔法塔だ。あちらには人探しなど簡単に行える魔法士のアルファがいる。おそらく彼らを使っているのだ。自分を探すなどよく魔法士たちが許したものだと思ったが手紙を読んで理由が分かった。
そこには『研究塔への復帰』について記載があったからだ。ミズキの文字で、秘密裏に戻って欲しいと書いているが彼の単独の考えであれば鷹の地紋を封筒に施すことはない。つまり『国王』が――希望している。だから魔法士を使い、カークを追っているのだ。事件を起こしたカークを呼び寄せるほどに彼の才能を欲している。いまさら、どんな顔をして復帰しろというのか。
カークは便箋を置き、窓から街を眺めた。今夜は曇っていて月が見えない。あの月光の元での出来事を思い出すと胸が熱くなる。――シチャはどう思っているのだろうか。嬉しい、と言ってくれたのを反芻し、明日は店に行こうと決めた。
だが、その日からシチャと会えなくなってしまったのである。いや、正確には会えている。彼が舞台でダンスを披露しているのは見ているのだから。ただ、給仕の回数がなくなっていた。そしてなにより、ダンスをしているときカウンター席にいるカークに目線を合わせてくれないのだ。
「よぉ、あんたに届け物だ」
その言葉にカークは眉をひそめた。男から封筒を受け取り、自分の部屋に向かう。白い封筒は無地に見えるが四隅に小さな地紋の刻印がある。それはよく透かして見ないとわからないものだ。鷹の羽ばたく姿のそれは彼の腕にあるタトゥーと同じ。
つまり『国王の認めたモノ』。カークはため息をつき封を開けるとそこには見慣れた右上がりの文字。――ミズキからの手紙だった。
街を渡りながら宿を転々としているのに、こうしてたまにミズキから手紙が届けられる。もう何度目だろうか。当初はどうしてここが分かるのかと驚いたのだが、ある日気がついた。
研究塔の隣にある魔法塔だ。あちらには人探しなど簡単に行える魔法士のアルファがいる。おそらく彼らを使っているのだ。自分を探すなどよく魔法士たちが許したものだと思ったが手紙を読んで理由が分かった。
そこには『研究塔への復帰』について記載があったからだ。ミズキの文字で、秘密裏に戻って欲しいと書いているが彼の単独の考えであれば鷹の地紋を封筒に施すことはない。つまり『国王』が――希望している。だから魔法士を使い、カークを追っているのだ。事件を起こしたカークを呼び寄せるほどに彼の才能を欲している。いまさら、どんな顔をして復帰しろというのか。
カークは便箋を置き、窓から街を眺めた。今夜は曇っていて月が見えない。あの月光の元での出来事を思い出すと胸が熱くなる。――シチャはどう思っているのだろうか。嬉しい、と言ってくれたのを反芻し、明日は店に行こうと決めた。
だが、その日からシチャと会えなくなってしまったのである。いや、正確には会えている。彼が舞台でダンスを披露しているのは見ているのだから。ただ、給仕の回数がなくなっていた。そしてなにより、ダンスをしているときカウンター席にいるカークに目線を合わせてくれないのだ。
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