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8.『この上ない幸福』と『喜び』
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ベッドの上で下着姿のまま抱き合う。するりと鳳の手が音無の下着を脱がして、中から半勃ちになったものがブルンと出てそれを愛おしそうに、両手でそっと包み込む。
「この前も、ホテルに誘うか迷ってた」
チュ、と音無のそれにキスをして、手でゆっくり扱いていく。
「…なんで誘わなかったんだよ…んっ」
「微妙な時間だったし、歯止めが効きそうになくて」
バーの帰りに時計を見て考えこんでいたのは、ひょっとしてこれだったのだろうかと音無は思い出していた。そんなこと考えていたなんて。
「今日からはもう、そんな心配いらないな」
音無はそう言って鳳を抱きしめた。
もう何度も繋がって、お互いの気持ちいいとこは知り尽くしたと思っていたのに。好きだという感情をあらわにしたセックスは、今までになく気持ちよくて甘い。
「は、あっ、んんっ!きもち、いい…ッ」
自分の感情を正直に表に出して、音無は鳳を求め、その体にしがみついて甘い声を上げていた。中を突きながら鳳もまた愛おしそうに音無の頬をさすりつつ、その体をベッドに横たえた。正面で抱き合う形よりもさらに深く繋がるために。今までにないほど奥深く腰を突き上げる。キュウと後ろが締まり、鳳は引っ張られてしまいそうになるがなんとか持ち堪えた。
「も…やば…っ、そんな強くしたらあ…!あ、あ!」
「お前はほんと…最高だよ、紘也」
突然名前を呼ばれ、音無はぞくっとした。目の前の雄はもう自分のものだと思うと、たまらなくなる。
「俺も、好きだ、優…っ」
それを聞き、鳳はもう我慢出来ず頂点に向けてさらに早く腰を突き上げる。
「あ…ああっ!も、だめぇ!イク、イク…っああああ!」
「んッ…!」
ビュルルと音無の白濁したそれがシーツに放出され、また鳳も音無の深い場所にそれを放出した。
***
「拓也あ、次のカクテル『ゴールデンキャデラック』ですってよ』
ママが少し気だるそうに鳳のオーダーを拓也に告げると、拓也はクスリと笑い、承知しましたと早速ベースの酒を集める。
ガリアーノ、カカオホワイトリキュール、生クリームをシェイカーに注ぎシェイクする。ハーブの香りがたつ、まるでデザートの様な甘いカクテルだ。
白いその液体をカクテルグラスに注ぎ鳳の前のコースターに拓也がそっと置いた。
「お待たせしました。『ゴールデンキャデラック』です。カクテル言葉は『この上ない幸福』ですね」
拓也が微笑んでそう言うと、鳳は頷き、ありがとうと礼を言う。
「あーやだやだ。これだから、インテリサラリーマン様は。そしてその隣でなに赤くなってるのかしらね、おーちゃん?」
テーブルに顔を伏せて、両手をプルプル震わせている音無に向けてママがわざとらしく声をかけた。
「…おま、そう言うのやめろよな」
隣の鳳に向けて音無は小さく呟く。ロマンチストとは言え、さすがに恥ずかしくて、耳が真っ赤になっている。
「お前だって似たようなの頼んでるだろ」
鳳は音無の頭を叩く。音無のコースターの上には同じような白いカクテルがある。こちらは『グラスホッパー』でカクテル言葉は『喜び』。
「二つともベースはほぼ一緒ですからねえ。一つしか違ってませんから」
拓也が苦笑いしながらそう言うと、煙を吐きながらママが言う。
「ほんと、この二人似たもの同士だわよねえ。初めは喧嘩してたけど、こうなると思ってたわよ」
音無はゆっくりと顔をあげて、ため息をついた。
「…でも、ママ感謝してるよ。俺らがこうなったのはこの店があったからだし」
「あら~。嬉しいこと言ってくれるじゃないの」
ふふふ、とママは優しく笑っていた。
飲み終えて、店を出た二人は一緒に駅に向かう。以前は駅で別れていたが、最近ではそのまま同じ電車に乗って鳳のマンションに向かって、週末の休日を一緒に過ごしていた。
どんなに遅くなっても、宿泊はしないと決めていた二人は、恋人になった途端に、お互いの家に泊まるようになった。
そうして甘い時間を過ごす…と言いたいところだが、まだまだプライドの高い二人。よく衝突することもある。
「寒いと思ったら明日雪予報だな」
スマホを見ながら音無が言うと、横を歩いていた鳳が肩を掴んで体を寄せてきた。突然の『恋人のような行為』に音無は驚く。あたりに人はいないものの恥ずかしくて思わず抗議する。
「なっ、なにすんだよ突然」
「なんだこうして欲しかったんじゃないのか?」
ニヤニヤと笑う鳳。ロマンチストのお前に合わせているだけだというが、音無はもしかしたらベタベタしたいのは鳳のほうではないのかと思っている。抗議しながらも、結構二人はそのまま寒空の下、駅に向かう。
「優、明日のパンまだあったっけ?」
「大丈夫、昨日買っておいた」
「さすが。じゃあ今夜はご褒美やるよ」
音無が舌をちろりと出して、あれを舐める真似をするのもだから、鳳はため息をついた。
「…そんなのは、こんなとこでやるなよ」
二人で一緒に帰路に着くという幸せを噛み締めながら、歩いていく。
【了】
→番外編鳳のひとりごとへ
「この前も、ホテルに誘うか迷ってた」
チュ、と音無のそれにキスをして、手でゆっくり扱いていく。
「…なんで誘わなかったんだよ…んっ」
「微妙な時間だったし、歯止めが効きそうになくて」
バーの帰りに時計を見て考えこんでいたのは、ひょっとしてこれだったのだろうかと音無は思い出していた。そんなこと考えていたなんて。
「今日からはもう、そんな心配いらないな」
音無はそう言って鳳を抱きしめた。
もう何度も繋がって、お互いの気持ちいいとこは知り尽くしたと思っていたのに。好きだという感情をあらわにしたセックスは、今までになく気持ちよくて甘い。
「は、あっ、んんっ!きもち、いい…ッ」
自分の感情を正直に表に出して、音無は鳳を求め、その体にしがみついて甘い声を上げていた。中を突きながら鳳もまた愛おしそうに音無の頬をさすりつつ、その体をベッドに横たえた。正面で抱き合う形よりもさらに深く繋がるために。今までにないほど奥深く腰を突き上げる。キュウと後ろが締まり、鳳は引っ張られてしまいそうになるがなんとか持ち堪えた。
「も…やば…っ、そんな強くしたらあ…!あ、あ!」
「お前はほんと…最高だよ、紘也」
突然名前を呼ばれ、音無はぞくっとした。目の前の雄はもう自分のものだと思うと、たまらなくなる。
「俺も、好きだ、優…っ」
それを聞き、鳳はもう我慢出来ず頂点に向けてさらに早く腰を突き上げる。
「あ…ああっ!も、だめぇ!イク、イク…っああああ!」
「んッ…!」
ビュルルと音無の白濁したそれがシーツに放出され、また鳳も音無の深い場所にそれを放出した。
***
「拓也あ、次のカクテル『ゴールデンキャデラック』ですってよ』
ママが少し気だるそうに鳳のオーダーを拓也に告げると、拓也はクスリと笑い、承知しましたと早速ベースの酒を集める。
ガリアーノ、カカオホワイトリキュール、生クリームをシェイカーに注ぎシェイクする。ハーブの香りがたつ、まるでデザートの様な甘いカクテルだ。
白いその液体をカクテルグラスに注ぎ鳳の前のコースターに拓也がそっと置いた。
「お待たせしました。『ゴールデンキャデラック』です。カクテル言葉は『この上ない幸福』ですね」
拓也が微笑んでそう言うと、鳳は頷き、ありがとうと礼を言う。
「あーやだやだ。これだから、インテリサラリーマン様は。そしてその隣でなに赤くなってるのかしらね、おーちゃん?」
テーブルに顔を伏せて、両手をプルプル震わせている音無に向けてママがわざとらしく声をかけた。
「…おま、そう言うのやめろよな」
隣の鳳に向けて音無は小さく呟く。ロマンチストとは言え、さすがに恥ずかしくて、耳が真っ赤になっている。
「お前だって似たようなの頼んでるだろ」
鳳は音無の頭を叩く。音無のコースターの上には同じような白いカクテルがある。こちらは『グラスホッパー』でカクテル言葉は『喜び』。
「二つともベースはほぼ一緒ですからねえ。一つしか違ってませんから」
拓也が苦笑いしながらそう言うと、煙を吐きながらママが言う。
「ほんと、この二人似たもの同士だわよねえ。初めは喧嘩してたけど、こうなると思ってたわよ」
音無はゆっくりと顔をあげて、ため息をついた。
「…でも、ママ感謝してるよ。俺らがこうなったのはこの店があったからだし」
「あら~。嬉しいこと言ってくれるじゃないの」
ふふふ、とママは優しく笑っていた。
飲み終えて、店を出た二人は一緒に駅に向かう。以前は駅で別れていたが、最近ではそのまま同じ電車に乗って鳳のマンションに向かって、週末の休日を一緒に過ごしていた。
どんなに遅くなっても、宿泊はしないと決めていた二人は、恋人になった途端に、お互いの家に泊まるようになった。
そうして甘い時間を過ごす…と言いたいところだが、まだまだプライドの高い二人。よく衝突することもある。
「寒いと思ったら明日雪予報だな」
スマホを見ながら音無が言うと、横を歩いていた鳳が肩を掴んで体を寄せてきた。突然の『恋人のような行為』に音無は驚く。あたりに人はいないものの恥ずかしくて思わず抗議する。
「なっ、なにすんだよ突然」
「なんだこうして欲しかったんじゃないのか?」
ニヤニヤと笑う鳳。ロマンチストのお前に合わせているだけだというが、音無はもしかしたらベタベタしたいのは鳳のほうではないのかと思っている。抗議しながらも、結構二人はそのまま寒空の下、駅に向かう。
「優、明日のパンまだあったっけ?」
「大丈夫、昨日買っておいた」
「さすが。じゃあ今夜はご褒美やるよ」
音無が舌をちろりと出して、あれを舐める真似をするのもだから、鳳はため息をついた。
「…そんなのは、こんなとこでやるなよ」
二人で一緒に帰路に着くという幸せを噛み締めながら、歩いていく。
【了】
→番外編鳳のひとりごとへ
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