21 / 53
神同人作家は陸くんを溺愛する
ファンタジーじゃない
しおりを挟む
数時間してようやく列が解消し、お客さんが少なくなってきた。ホッとしていると柴崎さんがそっとバームクーヘンをくれた。
「そろそろ休んでくださいね、この人数なら大丈夫ですから」
僕はその言葉に甘えて少し奥に置いてあるパイプ椅子に座る。ずっと立ちっぱなしだったから足がぱんぱん。ふくらはぎを揉みながら、バームクーヘンを食べると甘さが染みて疲れが癒される!
しばらくするとお客さんがちょうどいなくなって柴崎さんもバームクーヘンを立ち食いしている。どうやら高西先生が休むように言ってくれたみたい。
「いつも大変なんですね。僕びっくりしました」
「あはは。でも楽しいから、やめられないんですよね」
柴崎さんは売り子の裏側の話や高西先生の話を色々してくれた。どうやらかなり長い仲らしい。そして僕を見ながらこう言った。
「そう言えばそのネックレス。先生からのプレゼントですよね? よく似合ってますよ」
柴崎さんの言葉に驚きながらふと思い出した。以前、このネックレスをもらった日に先生のスペースにいた売り子さん。あの人は柴崎さんだったんだ。
「ここだけの話、先生は陸さんがスペースに来られるの毎回楽しみにしてらしたんですよ。三回目くらいの時から今日も彼、来てくれるかなあ、なんて。めちゃめちゃ可愛いですよね」
柴崎さんの話を聞いて僕は驚いて声も出なかった。僕に声をかけてくれる前から高西先生がそんなに気にしていてくれたなんて。僕は頬が赤くなっているのを感じた。
「昔はね同人誌を読みながらもどこか男同士の恋愛ってファンタジーだなって思ってたんですよね。紙の中だけの話って。だけど今はファンタジーなんかじゃない。現実にある恋愛なんだって思ってるんです」
「……えっ」
柴崎さんはまた笑顔を見せると僕の背中をバンと叩いた。
「多分、脈はあると思います! 頑張ってくださいねっ」
腐女子の勘の鋭さに僕は思わず苦笑いする。
そうだ僕は今、恋をしているんだ。男同士の恋愛の話をこんなにたくさん読んでいるのに、僕自身が否定するなんて、おかしいよね。
首まで真っ赤になっているであろう僕と、笑っている柴崎さんに高西先生が呼びかけてくる。
「楽しそうなところ、ごめん。どちらか手伝ってくれる?」
「はい」
柴崎さんを椅子に座らせて僕は高西先生の隣に向かった。
「そろそろ休んでくださいね、この人数なら大丈夫ですから」
僕はその言葉に甘えて少し奥に置いてあるパイプ椅子に座る。ずっと立ちっぱなしだったから足がぱんぱん。ふくらはぎを揉みながら、バームクーヘンを食べると甘さが染みて疲れが癒される!
しばらくするとお客さんがちょうどいなくなって柴崎さんもバームクーヘンを立ち食いしている。どうやら高西先生が休むように言ってくれたみたい。
「いつも大変なんですね。僕びっくりしました」
「あはは。でも楽しいから、やめられないんですよね」
柴崎さんは売り子の裏側の話や高西先生の話を色々してくれた。どうやらかなり長い仲らしい。そして僕を見ながらこう言った。
「そう言えばそのネックレス。先生からのプレゼントですよね? よく似合ってますよ」
柴崎さんの言葉に驚きながらふと思い出した。以前、このネックレスをもらった日に先生のスペースにいた売り子さん。あの人は柴崎さんだったんだ。
「ここだけの話、先生は陸さんがスペースに来られるの毎回楽しみにしてらしたんですよ。三回目くらいの時から今日も彼、来てくれるかなあ、なんて。めちゃめちゃ可愛いですよね」
柴崎さんの話を聞いて僕は驚いて声も出なかった。僕に声をかけてくれる前から高西先生がそんなに気にしていてくれたなんて。僕は頬が赤くなっているのを感じた。
「昔はね同人誌を読みながらもどこか男同士の恋愛ってファンタジーだなって思ってたんですよね。紙の中だけの話って。だけど今はファンタジーなんかじゃない。現実にある恋愛なんだって思ってるんです」
「……えっ」
柴崎さんはまた笑顔を見せると僕の背中をバンと叩いた。
「多分、脈はあると思います! 頑張ってくださいねっ」
腐女子の勘の鋭さに僕は思わず苦笑いする。
そうだ僕は今、恋をしているんだ。男同士の恋愛の話をこんなにたくさん読んでいるのに、僕自身が否定するなんて、おかしいよね。
首まで真っ赤になっているであろう僕と、笑っている柴崎さんに高西先生が呼びかけてくる。
「楽しそうなところ、ごめん。どちらか手伝ってくれる?」
「はい」
柴崎さんを椅子に座らせて僕は高西先生の隣に向かった。
0
あなたにおすすめの小説
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
氷の支配者と偽りのベータ。過労で倒れたら冷徹上司(銀狼)に拾われ、極上の溺愛生活が始まりました。
水凪しおん
BL
オメガであることを隠し、メガバンクで身を粉にして働く、水瀬湊。
※この作品には、性的描写の表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
過労と理不尽な扱いで、心身ともに限界を迎えた夜、彼を救ったのは、冷徹で知られる超エリートα、橘蓮だった。
「君はもう、頑張らなくていい」
――それは、運命の番との出会い。
圧倒的な庇護と、独占欲に戸惑いながらも、湊の凍てついた心は、次第に溶かされていく。
理不尽な会社への華麗なる逆転劇と、極上に甘いオメガバース・オフィスラブ!
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる