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神同人作家と陸くんは嫉妬する
待っていた言葉
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「……僕が帰ってから頑張って、ユウ先生」
全国の高西ユウ先生のファンに恨まれてもいい。僕だけの由宇さんなんだから。振り向いた由宇さんは僕の言葉に嬉しそうに微笑んでいた。
「あと少しで脱稿できるから、大丈夫だよ。安心して」
「もしかして、わざと?」
僕の言葉に返事はなかったけど、まだ笑っているところを見るとそうなんだろう。僕が不貞腐れていると、由宇さんが耳元で囁いた。
「締切前に陸が寂しい思いをしなくなる方法があるんだけど」
「え? どうやって」
「同棲したらいつだって寂しくないだろ」
僕は思わず目を見開き、由宇さんの顔を見る。こっちに引っ越ししてからずっと待っていたその言葉。
「どう? 一緒に住んでくれる?」
「当たり前じゃん!」
僕は由宇さんに思い切り抱きつき、胸に頬擦りするとくすぐったいよ、と笑う。いつから同棲のことを考えていたくれたんだろう。僕らはお互いを気遣いすぎるから、これからは思ったことをちゃんと言おう。ね、由宇さん。
***
それから数日後。勤務が終わり、僕と藤田はミーティングルームで二人きり。あの日の告白を断るため、僕が呼びつけたんだ。
夕陽が落ちて少し薄暗くなった室内。藤田はいつもより少し緊張した顔をしていた。
「藤田とは、付き合えない」
僕はそう断言した。
「いつも僕に優しくて一緒にいて安らげる存在だけど、それはあくまで同僚としてとしか思えないんだ。それに、付き合っている人がいるから」
それを伝えると藤田は少し微笑んだ。
「わかった。ごめんね、困らせて」
僕は今まで告白されたことなんてないし、振ることも初めてだから、もう居た堪れなくて仕方がない。藤田が謝ることじゃないのに……
「これからも仲良くしてもらえるかな」
「あ、当たり前じゃん! たくさん助けてもらわないといけないし……って助けてもらうのが前提なのもおかしいけど」
そう言うと、藤田が吹き出して笑顔になってくれたからちょっとホッとした。
「あれから気持ちを伝えてよかったのかなって、悩んでたんだ。同性から告白なんて驚いたよな」
「いやその……僕の相手、彼氏だから」
「……え?」
藤田はかなり驚いたようだ。そりゃそうだよな。すると何かを言おうとした藤田のポケットこら携帯の着信音が鳴り響いた。電話の相手は課長だったようで、通話を終えると戻らなきゃ、とため息をつく。そして僕に近づくと軽く眉間にデコピンをしてきた。
「イテッ」
「……今度彼氏との話、聞かせてよ」
藤田はミーティングルームのドアを開けて出て行った。後に残された僕は痛む眉間をさする。
彼氏との話をしたらきっと倒れると思うけどな。
全国の高西ユウ先生のファンに恨まれてもいい。僕だけの由宇さんなんだから。振り向いた由宇さんは僕の言葉に嬉しそうに微笑んでいた。
「あと少しで脱稿できるから、大丈夫だよ。安心して」
「もしかして、わざと?」
僕の言葉に返事はなかったけど、まだ笑っているところを見るとそうなんだろう。僕が不貞腐れていると、由宇さんが耳元で囁いた。
「締切前に陸が寂しい思いをしなくなる方法があるんだけど」
「え? どうやって」
「同棲したらいつだって寂しくないだろ」
僕は思わず目を見開き、由宇さんの顔を見る。こっちに引っ越ししてからずっと待っていたその言葉。
「どう? 一緒に住んでくれる?」
「当たり前じゃん!」
僕は由宇さんに思い切り抱きつき、胸に頬擦りするとくすぐったいよ、と笑う。いつから同棲のことを考えていたくれたんだろう。僕らはお互いを気遣いすぎるから、これからは思ったことをちゃんと言おう。ね、由宇さん。
***
それから数日後。勤務が終わり、僕と藤田はミーティングルームで二人きり。あの日の告白を断るため、僕が呼びつけたんだ。
夕陽が落ちて少し薄暗くなった室内。藤田はいつもより少し緊張した顔をしていた。
「藤田とは、付き合えない」
僕はそう断言した。
「いつも僕に優しくて一緒にいて安らげる存在だけど、それはあくまで同僚としてとしか思えないんだ。それに、付き合っている人がいるから」
それを伝えると藤田は少し微笑んだ。
「わかった。ごめんね、困らせて」
僕は今まで告白されたことなんてないし、振ることも初めてだから、もう居た堪れなくて仕方がない。藤田が謝ることじゃないのに……
「これからも仲良くしてもらえるかな」
「あ、当たり前じゃん! たくさん助けてもらわないといけないし……って助けてもらうのが前提なのもおかしいけど」
そう言うと、藤田が吹き出して笑顔になってくれたからちょっとホッとした。
「あれから気持ちを伝えてよかったのかなって、悩んでたんだ。同性から告白なんて驚いたよな」
「いやその……僕の相手、彼氏だから」
「……え?」
藤田はかなり驚いたようだ。そりゃそうだよな。すると何かを言おうとした藤田のポケットこら携帯の着信音が鳴り響いた。電話の相手は課長だったようで、通話を終えると戻らなきゃ、とため息をつく。そして僕に近づくと軽く眉間にデコピンをしてきた。
「イテッ」
「……今度彼氏との話、聞かせてよ」
藤田はミーティングルームのドアを開けて出て行った。後に残された僕は痛む眉間をさする。
彼氏との話をしたらきっと倒れると思うけどな。
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