鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

吉良龍美

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鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

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 それを隼人は愛しそうに見守っていた。隼人が誰を好きなのか、里桜は知っているみたいだけれど、鈴に教えてくれない。きっと綺麗で知的な人なんだろうなと、鈴は頭の片隅で思う。
 唇をキュッと噛み締めて、里桜は半分に調理されたロブスターをつついていた。
「兄ちゃん、ロブスターあげるね?」
 里桜が海老が好きなのを知る鈴が、へへと笑いながら、皿を寄越す。
 里桜は微笑して「サンキュー」と応えた。
「でも良かったわ。あんた達年頃だからちょっと心配してたのよね~晴臣さん?」
 薫は麦茶を一口飲むと、向かい側に座る晴臣を見る。
「そうだね。二人共ありがとう。君達には新しいお兄さんが二人出来るし、賑やかになるよ」
 里桜と鈴はハタと箸を止めて晴臣を見た。
「「二人?」」
 里桜と鈴が顔を見合わせた。
「…嫌な予感がする」
 ボソッと里桜が呟いた。刹那、聞き覚えのある声が廊下から聞こえ、近付いたと思ったら、スーッと襖が開いた。
「あ~ったく道混みやがって」
「噂をすればだ。もうひとりのお兄さんが来たよ」
 襖を開けた男が面倒臭げに入って来る。鈴は持っていた箸を落とし、里桜は真っ青になって絶句した。
「せ…せんせ?」
「遅いじゃないか兄貴」
「全くだわ疾風さん」
「………よう、双子共」
 担任教師、小早川疾風先生だった。
「母ちゃん、先生が院長先生の息子って? 隼人さんひとりっ子じゃないの?」
 鈴は里桜を通り越して薫を振り返った。
「疾風さんが息子って知ってたわよ~云いたいのを我慢したかいがあったわ。びっくりしたでしょう?」
 此処に悪魔が居ると、二人は絶句。
「頭真っ白です」
「だろう鈴? 俺様が兄貴だ喜べ。おい、里桜までなんだ黙っちまって。失礼だな。何とか云えお前ら」
 疾風先生が鈴の頭をぐしゃりと撫でて、里桜の向かい側に腰を下ろす。
「…っ、別に、話す事なんて」
 里桜はロブスターを箸でグサリと刺した。
 鈴は息を呑んで見守り、薫が一方的にしゃべり続け、里桜は無言で食べる。鈴はというと、不可思議な空気の中落ち着かずに居た。

 二時間は長かった。
 ドッと疲れた鈴に薫が、洗面所から戻って来た際耳打ちして来た。
「鈴、ママこの後パパとお泊まりして来るから、里桜と帰ってくれる?」
「…うん」
 ---もう『パパ』って呼んでるのか。
 チラッと里桜を見れば、どよんとした空間の中に居る。
「なんか機嫌悪いわよね…疾風さん来てから」
 小声で云われ、鈴は疾風を見た。隼人から日本酒をお酌され、疾風は飲みながら里桜に一瞥を食らわせている。もし里桜が猫なら、毛を逆撫でて威嚇していそうだ。
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