鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

吉良龍美

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鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

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『兄ちゃんには笑っていて欲しいんだ。父ちゃんが死んでから、家族を守らないとって、いつも頑張ってるから…』
「鈴を一生離しませんよ?」
 云いざま隼人は立ち上がって、ソファで眠る晴臣に肌掛け布団を掛けてやった。その時ふと、里桜はうっすらと眼を開けて、隼人の後ろ姿を見詰めたのには気付かなかった。鈴はすやすやと眠っている。隼人は安心していた。鈴が心休まる場所のひとつは、やはり家族なのだから。

 翌朝、引っ越し屋が来て荷物を運ぶ頃、鈴は里桜と携帯ショップへ来ていた。
「念願の携帯だ~」
 鈴は眼を輝かせながら、数ある機種を見比べる。こうして見ている、色々在って迷う。
 でもやっぱり、機械音痴な鈴としては…。
「やっぱり同じ機種が良いよね!?  判んない処兄ちゃんに訊けるし」
「そうだね」
 機種が決まれば後は何色かを決めるだけだ。
「鈴は何色にする?」
 里桜はサンプルを手に、色違いの携帯を眺めていた。
「おや? 鈴ちゃん?」
 店に入って来た男に里桜は振り返る。鈴はパッと笑顔でその人の名を呼んだ。
「春ちゃん!」
 里桜は眼を見張り、会釈をする。
「店の外から見えたからさ」
「そうなの? あ、えっと、春ちゃん此方兄ちゃん」
「初めまして里桜です」
「『はじめまして』宮根春彦です。隼人先輩の後輩で、二学期から校医になります」
「疾風先生から聞いています。生徒会長をしていますので、宜しくお願いします」
「先日職員室に居たよね?」
 以前遇った事がある二人だ。春彦の対応に随分馴れ馴れしい奴だと、里桜は頬をひきつらせる。
「すみません気付きませんで。鈴、早くしないと遅れるよ」
「あ、うん。春ちゃんまた今後ね?」
「…ああ。またね」
 春彦は手を振って店を出て行った。
「鈴…」
「なあに?」
 これにすると笑顔の鈴を前にして、里桜はなんでもないとカウンターへ行く。
「兄ちゃんは黒で、僕は青か~。でも母ちゃんよく携帯買うの許してくれたよね?」
「必要性に気付いたんだよ。方向音痴な鈴をすぐ捕まえられるようにね」
「兄ちゃん…笑顔でサラッと酷過ぎる」
 里桜は書類に必要事項をサラサラと書き、二つの携帯を入れた荷物を手に、鈴と二人小早川家へ向かった。

 荷物は既に運び込まれ、里桜は荷解きを開始する。鈴は携帯を買って直ぐに疾風が家族分の登録をしてくれた。
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