鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

吉良龍美

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鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

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「なんでこの学校の撮影?」
「学生生活の風景を撮るのに来た」
 ーーーそれだけ?
 鈴と里桜が胡乱げに見る。里桜は夢に出て来た少年を思い出していた。

 生まれつき身体の弱い少年は、幾度か里桜の夢に出て来ていた。
 金色の髪に左右違う色の瞳。生まれて直ぐに母親が死んで、不吉な赤ん坊は城から離れた場所に建てた家に、乳母と暮らしていた。里桜はその少年の見る目線や、背後から景色を見ていた。可笑しな夢だ。でも、里桜もその少年が自分と深い関わりがあると思い始めていた。夢から覚めれば、そんな馬鹿なと笑うのだが。  
 その少年はいつも鏡に向かって話しかける。乳母が少年の身の周りの世話をしていた。
「おはよう、僕の友達」
 ノックがして、部屋の外から老婆が声を掛ける・
「リオラ様、おはようございます」
「おはようばあや」
 少年、リオラは鏡から離れて、寝間着を脱ぐ。露わになった肌は白く、左の肩に羽の痣が現れた。着替えを済ませたリオラはリビングへ行くと、美味しそうな白パンに野菜のスープが用意されていた。
「リオラ様、今日は姉上様の婚約者様がおいでになられるので、城には近づくなと旦那様からのお云い付けです」
「…姉さまの? 花嫁姿、きっと見れないだろうな。きっとお綺麗だろうね」
 寂しそうに云うリオラを、乳母は辛そうに眺める。
「本当ならリオラ様が伯爵家の跡取りでしたのに」
「それは云わない約束だよ」
 リオラが苦笑する。そこへドアをガリガリと擦る音がして、乳母がドアを開けてやった。
「ジン、おはよう」
 ジンと呼ばれたオオカミは、尻尾を振ってリオラの足許に寝そべった。
「リオラ様、そのオオカミに食事を与えずにご自分でお食べ下さいね?」
 こっそりあげようとしたニンジンを、乳母に見られて肩を竦めた。
「オオカミなのに人に懐くなんて」
 乳母は呆れて洗濯物を抱えて外へ向かう。
「怒られちゃったね」
 リオラは笑ってオオカミの頭を撫でた。
「本当は凄くかっこいい男の人なのに」
 ジンが見上げる。
「大丈夫。僕達だけの秘密だからね?」

「兄ちゃん」
 里桜がハッとして、顔を上げた。もうHRは終わって、周りの生徒は授業の用意をしている。
「大丈夫?」
「あ、あぁ。あの男は?」
「ジン? 先生さんと一緒に職員室に戻ったよ」
「…そうか」
 里桜は小声で云う。そういえばあの少年の左肩に在った痣は、鈴にも同じ場所に在る。
「それより、あのジンってなんだ? いつ知り合ったんだ」
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