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第三章 将軍様はご乱心!
第25話 友達の証
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『へー、お前達の故郷って山がいっぱいなのか』
桃のようなトマトのような果物を齧りながら、俺は3匹の竜達の話に聞き入っていた。
【そう。山いっぱい。雪もいっぱい降る】
【こっちは山もあるけど、砂漠もいっぱいだな。飛竜に乗って上から見たぞ】
【俺たちが住む場所よりも暖かいな】
3匹も果物を美味そうに齧りながら、ご機嫌に話してくれる。
【あと、大陸もでかい】
【うん。それに竜と契約している人間が多いな!びっくりした】
『そうなの?お前達の所ではあんまり契約してないのか?』
【うん、竜よりも鳥に乗ってる人間のが多いぞ】
『鳥?馬竜とかじゃなくて?』
あの鳥車引いてたヤツみたいなのかな。
【うん。俺たちのとこの馬竜達は気難しくて人間が嫌いだから。人間と契約するのは少ないな】
あー、ラビク達もその感じはちょっとあるな。
でも、契約する事自体は別に嫌がって無かったよな。
『飛竜とか、浪竜は?』
【飛竜もあんまり契約しないよ。人間は魔力が少ない癖に契約すると偉そうに命令するから嫌なんだって】
【だから魔力の強い人間としか契約しないの。飛竜とか馬竜が認めるような魔力の人間は少ないからなー】
【あ、でも浪竜は結構契約してるぞ】
【でも、あいつら短気だからな。契約してても気に入らないと船ごと人間を沈めちゃうんだ】
わーお、こいつらんとこの竜達って扱いが難しそう。
『凄いな。こっちの竜とは結構違うみたいだな』
【うん。こっちの馬竜は優しいな。俺たちが話しかけても踏み潰そうとしてこないし】
『え、そっちの馬竜は踏んでくるのか?』
【うん。馬鹿は嫌いだから近寄るなって】
【俺たち、ちょっと頭悪いからなー】
【なー!】
結構酷い事言われているのに、3匹は何故か楽しそうに笑っている。
『そ、そんな事ないと思うぞ!ちゃんと大陸渡って俺のことも見つけたじゃん!馬鹿だったら出来ねぇよ、そんな事』
俺が慌ててフォローすれば3匹は驚いたようにパチクリと瞬きして、またキラキラと目を輝かせ始める。
【人間は優しいなぁ!】
【そんな事、初めて言われたぞ!】
【皆、俺たちの事を浪竜の次に頭が悪いって言うし】
あ、一番頭が悪いのは浪竜なのか・・・・。
『俺はお前達が頭悪いとは思わないぞ。こうやって普通に話せてるし』
【へへへ】
3匹が照れ隠しのように果物をバリバリと齧った。
『とりあえず、お前達のとこの馬竜が気難しいのは良く分かったわ』
【うん。ちょっと意地悪ね】
【あ、でも。あいつら島の竜相手だと大人しくなるよ】
『島?神島の事?』
【空の島】
【時々降りてくるんだ。凄く強い竜達】
【馬竜達は強い竜が好きだから、島の竜の言うことは大人しく聞くんだ】
『へぇ。島の竜って。大竜?』
【ううん。大竜様は滅多に下りてこないよぉ】
【他の竜だよ。お湯に入りに来るの】
『お湯?』
【うん。山にお湯が湧く場所があるんだ。そこに入りに来るの】
ま、まさか。
それは。
『温泉か?!』
【そうとも言う】
『えー!良いなー!温泉ー!入りたーい!!』
俺、温泉大好きー。
ちょっと熱目のお湯に浸かるのが最高なんだよな。
【人間は湯が好きなのか?】
『好きー。めっちゃ好きー。』
【じゃー、俺たちが向こうに帰る時にはお前も一緒に行こう!】
【そうだ!それが良い!】
『あはー、良いなぁ。行きたいなぁ。でも、流石に俺は大陸は渡れないからなぁ』
【そうなのか?】
【飛竜に頼めば、乗せてくれるぞ】
『いやいや、多分体力が途中で尽きて海に落ちちゃうわ』
【そっかー。残念だなぁ】
【一緒に帰りたかったなー】
言葉通り、3匹が残念そうに首を落とした。
何だかコイツら、良いヤツらだな。
『皆は、また飛竜に乗って帰るのか?俺の噂は確認できた訳だけど、もう帰っちゃうの?』
来るのはそれなりに大変なのに、俺に会えば用事は一瞬で終わっちゃう訳だけど。
この後、こいつらどうするんだろう。
せっかく知り合えたのに、直ぐにお別れはちょっと寂しい。
【帰りはね、島に乗って行くの!】
『え、神島に行くの?』
【そう、飛竜に教えてもらったの。竜だったら誰でも島に入れるって。だから島に乗って大陸移動するの待ってれば楽に帰れるぞって】
【島の竜達は優しいから、縄張りの島に入っても怒らないんだって。お願いすれば、下に降りるときに一緒に連れて行ってくれるって。】
『へぇ~、そうなんだ。いいなぁ、お前達島に行けるんだぁ』
【・・・・人間も一緒に行くか?】
【そうだ、それならきっと体力も持つから俺達の郷に一緒に行けるぞ】
【あ、そっか。帰りは別に飛竜に乗って海渡る訳じゃ無いもんな!それがいい!それがいい!一緒に湯に入りに行こう】
『あははは、凄い誘ってくれるな』
【お前、優しいから好きだ】
【果物くれたし、俺たちの事馬鹿って言わない】
【俺たちと一緒にお話してくれるし】
喜びを表すように尻尾を振る地竜達を見ていると、何だかジワジワと嬉しさが込み上げる。
こんなに懐かれたら、俺だって嬉しくなっちゃうじゃないか。
『あんがとな!俺もお前達のこと好きだよ』
【【【!!!】】】
3匹が物凄い勢いでまたグルグル回り始めた。
興奮すると回っちゃうんだ。
『でも、ごめんな。人間は神島に入れないんだ。大竜が人間用に結界を張ってるんだって』
嬉しそうに回っていた3匹が、俺の言葉を聞いた瞬間にピタリと止まってガッカリと首を落とす。
【そっか。大竜様が駄目って言うなら駄目だなー】
【残念だー】
【一緒に帰りたかった】
竜達が拗ねた子供の様に、芝生をブチブチと毟っている。
『そう言ってもらえると、俺も嬉しいよ』
感情表現が豊かで、見ていて飽きない3匹だ。
『で、神島にはいつ行くんだ?』
【島がここに来た時だよー】
【今は他の大陸に行ってるからな、ここに来るまで待ってるの】
そういえば、いつの間にか神島は空から消えてたな。
俺がこの世界に来た時は存在感バツグンに頭上に浮いていたけど、日が経つにつれて段々と遠く離れて、そのうちに姿を消してしまった。
そうか、今は他の大陸の上に浮いているのか。
確か、神島は大体1年くらいで世界を回るって聞いたから、ここに戻ってくるのはまた半年くらい後ってことかな。
【馬竜に聞いたら、島がここの上を通るのは寒い季節が終わって暖かくなってからだって】
【まだ先だ】
『じゃー、まだお前達はしばらくこっちに居るんだな』
【うん、この辺を見て回りながら島を待ってるよ】
【こっちじゃ無いと食べれない果物とかあるし】
【見た事無いものいっぱいだから、楽しいな】
なるほど、しばらくは観光して過ごすんだな。
いいなー、楽しそう。
『なら、ここにも時々遊びに来てくれよな』
【いいのか?】
【また遊び来ても良いの?】
【来る!来る!】
『来て来てー。よし、そんじゃ俺たち友達になろうぜー』
【友達っ!!】
【本当か?】
【凄い、人間と友達になったぞ。帰ったら皆に自慢できる】
『エリーとも友達になってなー』
膝の上でお行儀良く座っていたエリーを持ち上げれば、エリーがびっくりしたように体を跳ねさせる。
ずっと静かにしてたけど、エリーも3匹を興味深そうに見ている事には気が付いていたからな。
【茸も!】
【いいぞ!人間の友達なら、俺たちとも友達だ】
【友達の茸は食べない!】
・・・・おっと。
あぶね、こいつら茸食うのか。
【匂い覚える】
【ちゃんと友達覚える】
3匹がエリーに近づいて、フンスンフンスン匂いを嗅ぎ始める。
エリーはちょっと緊張した感じだけど、特に怖がってはいない。
流石だ。
うちのエリーは、賢くて可愛くて、しかも度胸まであるなんて!
【覚えた!】
【友達だ】
【茸の友達も初めてだ】
しばらくエリーの匂いを嗅ぎ続けていた3匹が納得したように頷き合う。
『エリーって言うんだ。覚えてなー。あ、今更だけど俺は敬太って言うんだ』
【エリーとケイタ!覚えたぞ】
3匹がうんうんと頷く。
『お前達の名前は?あれ?人間と契約してないと名前は無いんだっけ』
【あるよー】
【仲間達の間だけで呼ぶ簡単なやつだけど】
『お、何て言うんだ?』
【俺、大食い】
・・・・・
【俺、盗み食い】
・・・・・
【俺は、食い倒れ】
・・・・・えーっと。
『それ、名前なのか?』
【うん、そいつの事が直ぐに分かるように特徴で呼ぶ】
成る程。
ちゃんとした名前って感じじゃないな。
取り敢えず、こいつらが食い気に走っている事はよく分かった。
『なんか・・呼びにくいんだけど』
気持ち的にさ。
友達に向かって、おい大食い!とか呼べないじゃん。
【別に何でも好きに呼んでいいぞ】
【それぞれの区別がつけば良いんだ】
【そうそう】
特に気にした感じもなく、気安く竜達が言ってくる。
意外とライトな感覚だけど、竜にとってみたら呼び方ってそんなもんなんかな。
『でも、俺が呼び方勝手に決めちゃったら、それ契約になっちゃうんじゃないか?』
【・・・そうなのか?】
【分かんない】
【人間は馬竜とか飛竜とかと契約するけど、俺たち地竜とは余りしないからな。俺たちも竜と人間の契約の事はよく分かんない】
何てこった、契約に詳しいヤツが誰も居ない。
なんとなく全員で首を傾げてしまう。
『俺が聞いた話だと』
【うん】
『確か、人間が名前を決めて、竜が承諾したら契約完了なんだって』
前にラビクに教えて貰った事だ。
【それだけ?】
【契約するとどうなるんだ?】
『・・・さぁ?とりあえず対等な関係になるらしいよ?お互いが助け合う的な?』
【それ友達だ】
【友達だな】
【それは友達だと思う】
『ホントだ、友達じゃん』
エリーもコクコク頷いている。
『・・・・じゃ、いっかーっ!!』
なーんだ、別に悩む事でも無かったわ。
庭に居る全員で納得したように頷き合った。
『そんじゃ、友達の証に皆に名前をつけたいと思いまーす』
【わーい】
【名前だー】
【いいぞいいぞー】
俺の言葉に、場が一気に盛り上がる。
『えーっと、こっちから順番にな』
向かって右から順に、竜達に名前をつける事にする。
俺が指差せば、右の竜が少し緊張したような顔で居住まいを正した。
さっき大食いって名乗ったヤツだ。
3匹の中で一番大きい。
見た目はヤモリっぽいけど、硬そうな感じはワニっぽい。
サイズ的にもワニの方が印象は近いかな。
『えーっと、ワニっぽいからクロコダイル・・・は長くて言いにくいからー・・・ダイル!ダイルにしよう!』
【ダイル!何か立派!】
大食い改めダイルが喜びのグルグル回転を始める。
『よし!次!』
真ん中の盗み食いだ。
少し小柄だけど、尻尾が長い。
『やっぱりワニっぽいからー、アリゲーターから取って、アリゲー?いや語呂悪いな。ゲーター?うーん・・・アー・・アー・・アリでいっか』
【アリ!覚えやすい!】
中々ポジティブな受け取り方をしてくれた。
『じゃ、最後はお前な』
食い倒れと名乗った竜が、キラキラと期待に輝く目で見つめて来る。
他の竜よりもちょっぴり太っちょなやつだ。
やっぱりワニっぽいって印象しかないんだけど、ワニ関連の名前は早々にネタが尽きた・・・。
アリゲーターとクロコダイル以外に、ワニの名前知らないし。
でも、どうしてもワニってとこから頭が離れられなくて、腕を組んだまま悩んでしまう。
『うーん・・・んー・・ワニ・・・ワニ・・・・もうワニって名前にしちゃうか?いやー、でもなー・・・・・あっ、カイマン!カイマンがあった!』
ダイル、アリ、カイマン、良いじゃん、何だかそれっぽいじゃん。
『お前はカイマン!』
『カイマン!美味しそう!』
え、そうか?
よく分からないけど、食い倒れ改めカイマンは満足そうにカイマン、カイマンと新しい名前を繰り返した。
『それでは。おっほん。ダイル、アリ、カイマン、改めてよろしくな』
【よろしくな!ケイタ!】
【仲良くしような!】
【いっぱい遊びに来るぞ!エリーも仲良くしような!】
結局、最初の体操以外は全く運動出来なかったけど、俺に新しく愉快で賑やかな友達ができた。
竜と友達になるとか。
ここって、ほんとファンタジックな世界。
桃のようなトマトのような果物を齧りながら、俺は3匹の竜達の話に聞き入っていた。
【そう。山いっぱい。雪もいっぱい降る】
【こっちは山もあるけど、砂漠もいっぱいだな。飛竜に乗って上から見たぞ】
【俺たちが住む場所よりも暖かいな】
3匹も果物を美味そうに齧りながら、ご機嫌に話してくれる。
【あと、大陸もでかい】
【うん。それに竜と契約している人間が多いな!びっくりした】
『そうなの?お前達の所ではあんまり契約してないのか?』
【うん、竜よりも鳥に乗ってる人間のが多いぞ】
『鳥?馬竜とかじゃなくて?』
あの鳥車引いてたヤツみたいなのかな。
【うん。俺たちのとこの馬竜達は気難しくて人間が嫌いだから。人間と契約するのは少ないな】
あー、ラビク達もその感じはちょっとあるな。
でも、契約する事自体は別に嫌がって無かったよな。
『飛竜とか、浪竜は?』
【飛竜もあんまり契約しないよ。人間は魔力が少ない癖に契約すると偉そうに命令するから嫌なんだって】
【だから魔力の強い人間としか契約しないの。飛竜とか馬竜が認めるような魔力の人間は少ないからなー】
【あ、でも浪竜は結構契約してるぞ】
【でも、あいつら短気だからな。契約してても気に入らないと船ごと人間を沈めちゃうんだ】
わーお、こいつらんとこの竜達って扱いが難しそう。
『凄いな。こっちの竜とは結構違うみたいだな』
【うん。こっちの馬竜は優しいな。俺たちが話しかけても踏み潰そうとしてこないし】
『え、そっちの馬竜は踏んでくるのか?』
【うん。馬鹿は嫌いだから近寄るなって】
【俺たち、ちょっと頭悪いからなー】
【なー!】
結構酷い事言われているのに、3匹は何故か楽しそうに笑っている。
『そ、そんな事ないと思うぞ!ちゃんと大陸渡って俺のことも見つけたじゃん!馬鹿だったら出来ねぇよ、そんな事』
俺が慌ててフォローすれば3匹は驚いたようにパチクリと瞬きして、またキラキラと目を輝かせ始める。
【人間は優しいなぁ!】
【そんな事、初めて言われたぞ!】
【皆、俺たちの事を浪竜の次に頭が悪いって言うし】
あ、一番頭が悪いのは浪竜なのか・・・・。
『俺はお前達が頭悪いとは思わないぞ。こうやって普通に話せてるし』
【へへへ】
3匹が照れ隠しのように果物をバリバリと齧った。
『とりあえず、お前達のとこの馬竜が気難しいのは良く分かったわ』
【うん。ちょっと意地悪ね】
【あ、でも。あいつら島の竜相手だと大人しくなるよ】
『島?神島の事?』
【空の島】
【時々降りてくるんだ。凄く強い竜達】
【馬竜達は強い竜が好きだから、島の竜の言うことは大人しく聞くんだ】
『へぇ。島の竜って。大竜?』
【ううん。大竜様は滅多に下りてこないよぉ】
【他の竜だよ。お湯に入りに来るの】
『お湯?』
【うん。山にお湯が湧く場所があるんだ。そこに入りに来るの】
ま、まさか。
それは。
『温泉か?!』
【そうとも言う】
『えー!良いなー!温泉ー!入りたーい!!』
俺、温泉大好きー。
ちょっと熱目のお湯に浸かるのが最高なんだよな。
【人間は湯が好きなのか?】
『好きー。めっちゃ好きー。』
【じゃー、俺たちが向こうに帰る時にはお前も一緒に行こう!】
【そうだ!それが良い!】
『あはー、良いなぁ。行きたいなぁ。でも、流石に俺は大陸は渡れないからなぁ』
【そうなのか?】
【飛竜に頼めば、乗せてくれるぞ】
『いやいや、多分体力が途中で尽きて海に落ちちゃうわ』
【そっかー。残念だなぁ】
【一緒に帰りたかったなー】
言葉通り、3匹が残念そうに首を落とした。
何だかコイツら、良いヤツらだな。
『皆は、また飛竜に乗って帰るのか?俺の噂は確認できた訳だけど、もう帰っちゃうの?』
来るのはそれなりに大変なのに、俺に会えば用事は一瞬で終わっちゃう訳だけど。
この後、こいつらどうするんだろう。
せっかく知り合えたのに、直ぐにお別れはちょっと寂しい。
【帰りはね、島に乗って行くの!】
『え、神島に行くの?』
【そう、飛竜に教えてもらったの。竜だったら誰でも島に入れるって。だから島に乗って大陸移動するの待ってれば楽に帰れるぞって】
【島の竜達は優しいから、縄張りの島に入っても怒らないんだって。お願いすれば、下に降りるときに一緒に連れて行ってくれるって。】
『へぇ~、そうなんだ。いいなぁ、お前達島に行けるんだぁ』
【・・・・人間も一緒に行くか?】
【そうだ、それならきっと体力も持つから俺達の郷に一緒に行けるぞ】
【あ、そっか。帰りは別に飛竜に乗って海渡る訳じゃ無いもんな!それがいい!それがいい!一緒に湯に入りに行こう】
『あははは、凄い誘ってくれるな』
【お前、優しいから好きだ】
【果物くれたし、俺たちの事馬鹿って言わない】
【俺たちと一緒にお話してくれるし】
喜びを表すように尻尾を振る地竜達を見ていると、何だかジワジワと嬉しさが込み上げる。
こんなに懐かれたら、俺だって嬉しくなっちゃうじゃないか。
『あんがとな!俺もお前達のこと好きだよ』
【【【!!!】】】
3匹が物凄い勢いでまたグルグル回り始めた。
興奮すると回っちゃうんだ。
『でも、ごめんな。人間は神島に入れないんだ。大竜が人間用に結界を張ってるんだって』
嬉しそうに回っていた3匹が、俺の言葉を聞いた瞬間にピタリと止まってガッカリと首を落とす。
【そっか。大竜様が駄目って言うなら駄目だなー】
【残念だー】
【一緒に帰りたかった】
竜達が拗ねた子供の様に、芝生をブチブチと毟っている。
『そう言ってもらえると、俺も嬉しいよ』
感情表現が豊かで、見ていて飽きない3匹だ。
『で、神島にはいつ行くんだ?』
【島がここに来た時だよー】
【今は他の大陸に行ってるからな、ここに来るまで待ってるの】
そういえば、いつの間にか神島は空から消えてたな。
俺がこの世界に来た時は存在感バツグンに頭上に浮いていたけど、日が経つにつれて段々と遠く離れて、そのうちに姿を消してしまった。
そうか、今は他の大陸の上に浮いているのか。
確か、神島は大体1年くらいで世界を回るって聞いたから、ここに戻ってくるのはまた半年くらい後ってことかな。
【馬竜に聞いたら、島がここの上を通るのは寒い季節が終わって暖かくなってからだって】
【まだ先だ】
『じゃー、まだお前達はしばらくこっちに居るんだな』
【うん、この辺を見て回りながら島を待ってるよ】
【こっちじゃ無いと食べれない果物とかあるし】
【見た事無いものいっぱいだから、楽しいな】
なるほど、しばらくは観光して過ごすんだな。
いいなー、楽しそう。
『なら、ここにも時々遊びに来てくれよな』
【いいのか?】
【また遊び来ても良いの?】
【来る!来る!】
『来て来てー。よし、そんじゃ俺たち友達になろうぜー』
【友達っ!!】
【本当か?】
【凄い、人間と友達になったぞ。帰ったら皆に自慢できる】
『エリーとも友達になってなー』
膝の上でお行儀良く座っていたエリーを持ち上げれば、エリーがびっくりしたように体を跳ねさせる。
ずっと静かにしてたけど、エリーも3匹を興味深そうに見ている事には気が付いていたからな。
【茸も!】
【いいぞ!人間の友達なら、俺たちとも友達だ】
【友達の茸は食べない!】
・・・・おっと。
あぶね、こいつら茸食うのか。
【匂い覚える】
【ちゃんと友達覚える】
3匹がエリーに近づいて、フンスンフンスン匂いを嗅ぎ始める。
エリーはちょっと緊張した感じだけど、特に怖がってはいない。
流石だ。
うちのエリーは、賢くて可愛くて、しかも度胸まであるなんて!
【覚えた!】
【友達だ】
【茸の友達も初めてだ】
しばらくエリーの匂いを嗅ぎ続けていた3匹が納得したように頷き合う。
『エリーって言うんだ。覚えてなー。あ、今更だけど俺は敬太って言うんだ』
【エリーとケイタ!覚えたぞ】
3匹がうんうんと頷く。
『お前達の名前は?あれ?人間と契約してないと名前は無いんだっけ』
【あるよー】
【仲間達の間だけで呼ぶ簡単なやつだけど】
『お、何て言うんだ?』
【俺、大食い】
・・・・・
【俺、盗み食い】
・・・・・
【俺は、食い倒れ】
・・・・・えーっと。
『それ、名前なのか?』
【うん、そいつの事が直ぐに分かるように特徴で呼ぶ】
成る程。
ちゃんとした名前って感じじゃないな。
取り敢えず、こいつらが食い気に走っている事はよく分かった。
『なんか・・呼びにくいんだけど』
気持ち的にさ。
友達に向かって、おい大食い!とか呼べないじゃん。
【別に何でも好きに呼んでいいぞ】
【それぞれの区別がつけば良いんだ】
【そうそう】
特に気にした感じもなく、気安く竜達が言ってくる。
意外とライトな感覚だけど、竜にとってみたら呼び方ってそんなもんなんかな。
『でも、俺が呼び方勝手に決めちゃったら、それ契約になっちゃうんじゃないか?』
【・・・そうなのか?】
【分かんない】
【人間は馬竜とか飛竜とかと契約するけど、俺たち地竜とは余りしないからな。俺たちも竜と人間の契約の事はよく分かんない】
何てこった、契約に詳しいヤツが誰も居ない。
なんとなく全員で首を傾げてしまう。
『俺が聞いた話だと』
【うん】
『確か、人間が名前を決めて、竜が承諾したら契約完了なんだって』
前にラビクに教えて貰った事だ。
【それだけ?】
【契約するとどうなるんだ?】
『・・・さぁ?とりあえず対等な関係になるらしいよ?お互いが助け合う的な?』
【それ友達だ】
【友達だな】
【それは友達だと思う】
『ホントだ、友達じゃん』
エリーもコクコク頷いている。
『・・・・じゃ、いっかーっ!!』
なーんだ、別に悩む事でも無かったわ。
庭に居る全員で納得したように頷き合った。
『そんじゃ、友達の証に皆に名前をつけたいと思いまーす』
【わーい】
【名前だー】
【いいぞいいぞー】
俺の言葉に、場が一気に盛り上がる。
『えーっと、こっちから順番にな』
向かって右から順に、竜達に名前をつける事にする。
俺が指差せば、右の竜が少し緊張したような顔で居住まいを正した。
さっき大食いって名乗ったヤツだ。
3匹の中で一番大きい。
見た目はヤモリっぽいけど、硬そうな感じはワニっぽい。
サイズ的にもワニの方が印象は近いかな。
『えーっと、ワニっぽいからクロコダイル・・・は長くて言いにくいからー・・・ダイル!ダイルにしよう!』
【ダイル!何か立派!】
大食い改めダイルが喜びのグルグル回転を始める。
『よし!次!』
真ん中の盗み食いだ。
少し小柄だけど、尻尾が長い。
『やっぱりワニっぽいからー、アリゲーターから取って、アリゲー?いや語呂悪いな。ゲーター?うーん・・・アー・・アー・・アリでいっか』
【アリ!覚えやすい!】
中々ポジティブな受け取り方をしてくれた。
『じゃ、最後はお前な』
食い倒れと名乗った竜が、キラキラと期待に輝く目で見つめて来る。
他の竜よりもちょっぴり太っちょなやつだ。
やっぱりワニっぽいって印象しかないんだけど、ワニ関連の名前は早々にネタが尽きた・・・。
アリゲーターとクロコダイル以外に、ワニの名前知らないし。
でも、どうしてもワニってとこから頭が離れられなくて、腕を組んだまま悩んでしまう。
『うーん・・・んー・・ワニ・・・ワニ・・・・もうワニって名前にしちゃうか?いやー、でもなー・・・・・あっ、カイマン!カイマンがあった!』
ダイル、アリ、カイマン、良いじゃん、何だかそれっぽいじゃん。
『お前はカイマン!』
『カイマン!美味しそう!』
え、そうか?
よく分からないけど、食い倒れ改めカイマンは満足そうにカイマン、カイマンと新しい名前を繰り返した。
『それでは。おっほん。ダイル、アリ、カイマン、改めてよろしくな』
【よろしくな!ケイタ!】
【仲良くしような!】
【いっぱい遊びに来るぞ!エリーも仲良くしような!】
結局、最初の体操以外は全く運動出来なかったけど、俺に新しく愉快で賑やかな友達ができた。
竜と友達になるとか。
ここって、ほんとファンタジックな世界。
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目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
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※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
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