厄災のレジスタンス

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第四話 火の大厄災

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第四話 火の大厄災

〈レジスタンス〉結成直後に緊急出動の通達が入り、早速現場付近に設置されてある作戦本部へと繋がる転移装置を経由して、作戦本部へと到着した。

「ここは・・?」

「大厄災推定生息地域の付近の平野に設置した作戦本部だ。俺達はひとまずここで待機だ。」

作戦本部の人間が〈レジスタンス〉の存在に気づくと、緊迫した表情で近寄って来た。

「〈レジスタンス〉の方々ですね?お待ちしておりました。ひとまず、こちらへ来て下さい。」

作戦本部の人間の指示に従って、作戦本部の真ん中にある天幕へと向かった。中に入ると、そこはもうカオスそのものだった。

「おい!大厄災の移動は!?」

「変更無しです!かなりゆっくりですが、確実に火山口へと近づいています!」

「各部隊の配置は!?」

「第一~第四部隊が謎の気温上昇の影響を受けて急性熱中症患者が続出し、出動は難しい模様!他の部隊は問題ありません!」

「何なんだこの気温上昇は…もうすぐ大厄災が出てくるというのに…!」

「向こうの状況はどうなっているんだ!」

「レジスタンスはまだなのか!!」

人が入っては出たりどこかに連絡をしたりと、改めて現状が緊急事態であることを再確認した。

「皆さん!!レジスタンスの方々が到着しました!」

誘導した人間が大声でそういうと、一斉にレジスタンスの面々へと視線を向けた。そんな空気を気にせず、グランは堂々と前に出た。

「レジスタンス部隊長のグランだ!!手の空いている者は現在起きている状況を説明してくれると助かる。後の者は気にせず己の業務を遂行してくれ。」

グランの命令を受けて、この中で一番偉そうな人間が前に出てきて、その他の人間は引き続き連絡・通達など各々の業務を行った。

「本作戦の総司令を任されたディルダストだ。現在、〈火の大厄災〉の推定生息地域である〈神龍の火山〉の火山内部にて大厄災だと思わしき超高エネルギー反応の移動を確認し、各エリアに配置した部隊に準備を進めるよう指示したが…謎の気温上昇の影響を受けて、活動困難者が続出して現場が混乱している。」

どうやら大厄災の移動を確認した時に謎の気温上昇が発生し、各部隊に猛威を奮っているとの事だ。熱中症者が出た部隊は、水魔法で高温による悪影響を薄めてることで応急処置をしているが、あくまで“応急処置”長くはもたない。

「影響を受けたところの現在の気温は?」

「もう45度超えている。こちらはもうすぐ30度超えるぐらいだ。おそらく、火の大厄災が活動を始めたことによる余波と思われる。」

火山内で活動を開始しただけで、ここまでの悪影響を及ぼすのならば、このまま火山から出てきてしまったら大惨事は避けられないだろう。正に命を滅ぼす為に生まれた呪いそのものだ。

「活動が出来そうな部隊はどれくらい………そもそもいるか?」

「ああ、第五~第十部隊は比較的火山から近い所に配置した部隊だから、耐熱の設備が整っている上に水魔法を得意とする者達が比較的多かったから、何とか何とか動かせれる。他の準備も整っているから、後はそちらの準備が整っていれば支障なく作戦は遂行できる。」

どうやらまだ動けれる部隊は残っている上に、人員以外の準備には滞り無いようなので、後はレジスタンスの準備が整っていればいいらしい。

「…お前ら。」

グランはこちらへと振り向いた。

「死ぬ覚悟は、できてるな。」

グランからのシンプルな問いに、アルカディア達もまたシンプルに答えた。

コクリ………

と首を縦に振った。そして遂に戦いの火蓋が切られた。

「………よく分かった。ではこれより、〈火の大厄災〉討滅作戦を開始する!そして並びに、討滅作戦をフェーズ1へと移行する!水属性魔導士部隊に〈大儀式〉の準備を伝えろ!」

「は、はい!こちら司令部、これより〈大儀式〉を始めてください!」

司令部の人は通信魔導具を使用して、火山口にいる魔導士部隊へと連絡した。そして同時刻…


ー 〈神龍の火山〉火山口 ー


「こちら魔導士部隊、了解した。こちらも準備を進める。」

火山口にて待機していた数名の魔導士部隊も、司令部からの連絡を受け取って準備へと移った。

「よし皆んな。司令部からの許可が降りた。これより作戦フェーズ1《〈大儀式〉を用いた超大規模水魔法による冷却化》を開始する。各々、全魔力を注げ!!」

「「「「「「了解!!!」」」」」」」

魔導士達は火山口を囲うように展開して、複数人の魔導士が各々の魔力・技術を共有することで大魔法を発動させる魔術儀式〈大儀式〉を発動した。火山を覆い尽くすほど巨大な水の魔法陣が展開されていき、大魔法の内容を魔術言語として表して魔法陣に書き込んでいき、魔法を完成させた。


ー 作戦司令本部 ー

一方、火山からの様子を遠隔監視魔導具を通して見届けていた作戦司令本部も、魔導士部隊の準備が整ったことを確認した。

「総司令官!大魔法の完成を確認しました!」

「よし…こちらの準備は全て整ったな。〈火の大厄災〉の現着時間は。」

「およそ40秒ほどです!体外放出熱量、魔力共に凄まじい速さで凄まじい量増加しています!」

〈火の大厄災〉は現実世界へと近づく事と比例して、魔力量と熱量を増加させていった。

「今のところ、順調そうだな。」

「ああ、不気味なぐらいにな。」

作戦第1フェーズへの移行は、今のところ不気味なぐらい順調に進めていった。そして遂に作戦成功の最重要ポイントへと移動した。

「総司令官!〈火の大厄災〉が目標地点へと上昇しました!!」

〈火の大厄災〉が水魔法を必ず着弾する位置へと到着した。この位置にいれば水魔法を着弾させれば、マグマによる妨げも無く〈火の大厄災〉を冷却化させ、完全に滅せられる最大のチャンスなのだ。そして、そのチャンスが目の前にやってきた。

「………魔導士部隊。大魔法を、射出せよ。」


ー 〈神龍の火山〉火山口 ー

グドグドグドグド………

火山口のマグマがどんどん沸騰していき、そこに何か巨大な“ナニカ”がこちらへと来ているのは分かり切っていた。そしてマグマの水位が上がっていき火山口から溢れ出そうな時。

「全員、大魔法を射出せよ!!!!!!」

ディルダストの命令を受けた魔導士部隊は威力、範囲、効果を最大にまで溜めておいた水属性大魔法 荒れ狂う大海の禍タイタニアカタストロを〈火の大厄災〉に向けて放った。

グドドドドドドドドドドドドドォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!

海がそのまま火山に注がれているかの様な超々々々々大規模質量攻撃が、そこにいるであろう〈火の大厄災〉に向けて放たれた。

ジュドーーーーーー………………………

荒れ狂う大海の禍タイタニアカタストロを受けた事でマグマが急速に冷却化されていき、岩石へと変化していった。しかしそれすら砕くほどの威力で〈火の大厄災〉へと注がれた。そして遂に、魔法は終了した。

「さて……こちらがやれることは終わった。どうd」

そこから、火山口からの通信が途絶えた。


ー 作戦司令本部 ー

「おい!どうした!」

「分かりません!突如として通信魔導具が…。」

ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!

すると突如として火山の方から空気を破壊するかの様な轟音が聞こえました。

「くそ、次から次へと何なんだ!!」

司令本部の天幕から外の様子を確認すると、そこには“化け物”がいた。

火山の口から出ている、巨大な角、尻尾、翼、火山の肌の様な肌と、炎の様なオーラを纏った、まるで悪魔の様なの姿をした魔人。
それはまるで”怒り“という感情が形を持って生まれたかの様な、しかしそれは全生命が持つ怒りとは桁が違う。森羅万象を塵の欠片も出さずに燃やし尽くしてやるという〈原初の神〉の怒りと憎悪の化身。
その姿を見た、人類含む全ての生命達は、声も出せず、指一つすら動かせず、まるで人形の様に固まっていた。

「……何なんですか、あれ。」

「あんなのに、叶うわけが………。」

「俺たち、アレに殺されるのか…。」

意識を戻した人間達の口から出たのは、絶望だった。ただ目にしただけでも恐怖のどん底へと突き落とす恐怖の神、それこそが…

グゥゥゥゥゥァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!

「これが………火の、大厄災…………。」
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