漆黒の法皇 〜黒き聖職者は世界を救う〜

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第一章 伝説の冒険者、登場

第二話 褒美

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第一章 伝説の冒険者、登場

2 王からの褒美

「王よ、魔族軍を全滅させた冒険者をお連れしました!」

「入ってくれ。」

王からの返事を確認すると、兵士は玉座の間の門を開けると、国王や宰相など王国の重鎮達が集まっていた。

「此度は、魔族軍から我が国を守ってくれて、感謝する。」

「……………。」

「其方にはどれだけ礼を尽くしても足りぬ恩がある。何か欲しいものがあれば、王国の名にかけて集めてこよう。」

「…………。」

普通、王から『何か褒美ある』的な事を言われたらたいていの人間は金や美人などを要求するが、冒険者は一向に無口のままだった。玉座の間では、何とも言えない空気感で包まれていた。すると冒険者は何か小さく呟くと、隣に魔法陣が展開され、執事姿の初老の男が出てきた。

「申し訳ございません、御主人様は大変無口な方でして、代わりに私が御主人様の欲する物をお伝えさせていただきます。」

「………其方は、その冒険者殿の使い魔……なのか?」

「作用でございます。私はこちらにあらせられるカイン・ホープ様の眷属のセバスチャンと申します。」

玉座の間にいる人物は大変驚いていた。何せ人型の使い魔は、使い魔の中で最高位の存在なのだ。一体だけでも軍を壊滅させる実力を保有している。しかし人型の使い魔のインパクトに騙されずに、近くにいた貴族があることに感づいた。

「……“カイン・ホープ”?王よ、もしやこの者…『漆黒の法皇』なのでは?」

「漆黒の法皇というと、あの、冒険者登録してからたった1ヶ月で冒険者ランク最高位の『EXランク』へと上り詰めたという、伝説の冒険者か?」

玉座にいる人間達の視線が、カインとセバスチャンに集まった。

「………………………。」

「『伝説は言い過ぎですが、その情報であっています』」

「………………………。」

「『それと褒美の件ですが、結構です。あくまで私が勝手にやった事ですので』……との事です。」

冒険者のまさかの正体に王達は唖然していた。しかし、何とか意識を取り戻した。

「……作用か、しかし、助けて頂いたにも関わらず何のお礼も無しというわけにはいかぬ。物じゃなくてもいい。何か私たちにできる事はないか?」

「………………………………。」

「『では、魔族軍を討伐したのは其方の騎士団問いことにしてくださると助かります。騎士達は私の魔法で蘇生させたので問題ございません。』…との事です。」

セバスチャンから告げられた言葉で再度唖然しながらも、カインの提案を受け入れたのであった。
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