漆黒の法皇 〜黒き聖職者は世界を救う〜

第一章 伝説の冒険者、登場

第十二話 英雄集結

第一章　伝説の冒険者、登場

12  EXランク冒険者

ダレッドからの招集命令で、カインは大帝国を出て眷属達と一緒に招集場所へと向かっていった。

「ねぇカイン…その情報本当なの？」

「我も信じられぬが、確かな情報筋らしいぞ？」

眷属達は未だに信じきれないらしい。それもそうだ、数年に一度に起きる事が一週間後起きるのだから。

「…………。」

カインは緊張の面持ちで、眷属達と共に行った。


ー　エルフの王国　－

招集場所であるエルフの王国に到着すると、カインはガルシアの背中から降りて、王国に入るための門へと向かっていった。門番をしていたエルフは、カインの姿を見ると警戒態勢を解いた。深淵の軍勢は、世界樹を守護しているエルフの王国によく現れる。

「お待ちしておりました、カイン様。他の方々がお待ちです。」

門番は門を解いて、眷属達を城門の前に置いて会議室へと向かっていった。城の中に入ると、エルフの王国の重鎮達が待っていた。

「カイン様、大変お久しぶりでございます。会議室へとご案内いたします。」

エルフは人族に対して不信感を抱いているが、かつて最初に深淵の軍勢がこの世界に侵略してきた時、救った事でエルフ達はEXランク冒険者達を信用している。走行しているうちに、会議室に到着した。

「《漆黒の法皇》カイン様、御入室します！」

側近がドアを開けると、円卓にカインの席を除く全ての席が埋まっていた。そして着席していたEXランク冒険者達は、カインに視線が集まった。

「カイン！お久しぶりです！」

最初に声を掛けたのは、この情報を最初に入手した《天の代行者》フレイだ。カインとは真逆の真っ白な法衣を身にまとっており、聖女と呼ばれてもおかしくない。

「やぁカイン、やっぱり君は最後に来たね。」

次に声を掛けたローブを着ていた少年は《幼き大賢者》ソロモン。10歳で全ての魔術を習得した魔法の天才であり、魔法の威力ならカインと同レベルである。ちなみにカインはこういう招集にはいつも最後に到着する。理由は特にないらしい。

「………zzzzzz。」

そしてソロモンの隣に寝ているのが、《悠然の剣聖》タオレド。いつもぐっすり寝ているのが、戦闘になると誰よりも頼りになる前衛の剣士になる。その剣の腕は世界全体で見ても右に出る者はいない。

「あんらぁ～カインちゃん！またクマが増えてるじゃない！ダメよ、ちゃんと寝ないと！」

そしてカインの側までやって来たおかま口調の男は《自由なる吟遊詩人》ザルバ。皆んなの支援や敵の弱体化などを担当しており、心が誰よりも乙女である。

「よぉ～カイン！久しぶりだな！お前相変わらず寝てないのか……ザルバの言う通りちゃんと寝ろよ？」

「ちょっとバルサちゃん！アタシの事はヴァイオレットって呼んでちょうだい！」

「まぁ～まぁ～落ち着け二人とも。」

そしてザルバと言い合った筋骨隆々の男は《鋼鉄の闘鬼》バルサ、言い争いを止めた細身の男は《疾風迅雷の槍騎》ガール。この二人は大親友であり、戦闘の時でもこの二人の連携は息ピッタリだ。因みにザルバはこの名前を嫌っており、自身のことをヴァイオレットと呼んでいる。

「カイン、元気そうで何よりだ。」

「アラン、いい加減素直になったらどうだ？誰よりもカインの到着を楽しみにしていただろ？」

「な！？なっ何を言っているんだ！？カイン、誤解だからな！？全然そんな事はないからな！？」

狩人風の女性と、その女性を茶化す忍者風の男は《千里の狩人》アラン、《闇夜の忍》エンライ。アランは1000キロ先から的を真ん中に射抜くほどの射撃能力を誇り、エンライは隠密や暗殺のスペシャリストだ。因みにアランはカインに対して恋心を抱いている。

「相変わらず賑やかだなぁ…嬉しい事だが。」

「そうだねぇ～コウ。あとカイン、もうちょっと食べた方がいいよ？眷属達からもよく言われてるでしょ？」

カインの食生活を心配する純白の全身鎧を装着している男は《純白の聖騎士》アレン。メンバーから敵の攻撃を防ぐ盾役であり、その防御力は大陸随一だ。そして和やかな雰囲気でメンバー達を見ていた男は《歴戦の大軍師》コウ。パーティの指揮官であり、コウの指揮のお陰で無敗を誇っていると言っても過言ではない。

「よ、カイン。昨日ぶりだな♪」

最後にカインが声を掛けたのは、前日あったばかりの《魔竜殺しの英雄》ダレッドだ。パーティ内で最強の実力を誇り、パーティ内のリーダー。かつてある王国に百を超える魔竜が攻めて来た時、王国の被害を全てを抑えて魔竜達を倒した事がある。

「それじゃあ、全員揃ったみたいだし、会議を始めよう。」