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第一章

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 ランはあまり別の種族と親しくしないんだけど、あのナギサって言うお兄さんに対しては好意が溢れでていたね。名前が一致しているのと精霊たちに慕われていること、それからあの魔法の腕。それらから推測して彼は間違いなく精霊王だろうね。

 あたしたちを攫った奴らは信じてなかったけど、お兄さんの言う通りあそこは海の中だった。海の中にある建物なんて精霊王の宮以外ないからね。
 でも精霊王ってもっと偉そうとか、脂肪を蓄えた権力者みたいな容姿とかそんなのを予想してたが全然違ったね。

 すごいのんびりしてるし、ザ·マイペースって感じだった。それに容姿もこの世のものとは思えないくらいに整ってたしね。あと気安すぎやしないかい?王と言うにはあまりにも驕ったところがなかったんだけど…

 あぁでも、精霊は穢れを嫌うって言うけど犯罪者なだけあって穢れた雰囲気だったのか知らないが、殴りかかろうとしてお兄さんと犯罪者たちの距離が縮まった時は殺気が出てたね。一瞬だけだったけどさ。その様子はさすが精霊王。迫力あったし美形な分、怒ると怖かったね。

「クレアはナギサ様と初めて会った?」
「ん?そうだね。すごい綺麗な顔だった」
「うん。ナギサ様はカッコいいから。それに強くて優しい。ナギサ様にまた会いたい?」

 どうだろうねぇ。まあ会いたいと言えば会いたいか。

「助けてもらった礼を言いたいから会いたいねぇ。頼んでくれるかい?」
「ん。多分良いって言ってくれると思う。許可もらったら宮に招いてくれるはず。ナギサ様の宮はナギサ様が招いた人じゃないと入れないし見つけることも出来ないから一応聞いてみる」
「頼んだよ」

 精霊王はすごいんだね。招いてない人は入れないし見つけられないって言うのはきっと、招かれたことがある人も例外ではないんだろうね。それは精霊も当てはまるんだろうか?おもしろいね、精霊王って言うのはさ。

 ◇

「ナギサ様、朝ですよー!…って起きてたんですか?珍しいですね」
「おはよ、ルー。精霊に関するこの国の歴史とか調べてたんだよ。本を読むのは知らなかったことを知れるし、知っていたことでも復習できて面白いものだよー?」
「ナギサ様はそういうところ真面目ですよね」
「学ぶことが好きなだけー。でも人から聞くのは眠くなるから自分で学ぶ方が俺は好きだけどねぇ」

 前世では小·中·高、すべて授業はまともに聞いてなかったしねぇ。授業中はずーっと寝てるか読書してたから。授業は聞いてないのに成績は良かったから先生たちにも何も言われなかったんだよー。またかーみたいな感じだった。
 俺は小学校から高校まで一度もテストで百点以外を取ったことがなかったからね。小テストもだよ。だから文句のつけようがなかったんだろうねぇ。
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