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第一章 政略結婚

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「あそこにいらっしゃいますよ」

と、教えてくれたがどこだ?全く見えない。

「…どこだ?」

「あ、ごめんなさい。私視力がいいのでどこか分かりますよ。行きましょう」

そう言って、案内してくれる。そうか、マリナは視力もいいのか。特技が多いな。

「ああ。ところでマリナは視力はどれくらいなんだ?」

結構歩いているんだが、まだどこにいるか分からない。この会場は宮殿なだけあってとてつもなく広い。…俺も視力は悪くないはずなのに…

「視力ですか?学園時代は8.0でしたが、今はもっと上がっていると思います」

………は?

「8.0!?本当なのか?しかも今はもっと高い?なぜそんなに高いんだ?」

疑問だらけなんだが。


「そうですね…この話は後で休憩室でしましょう。ここでは話せませんから。ちなみに今は11.0くらいは視力があると思いますよ」

11.0!?…信じがたいがマリナがそう言うのなら本当なのだろう。

「そうか。あ、本当にいたな」

「ええ」

その後、殿下に挨拶をした後で世間話をして分かれ、他の貴族が挨拶しに来た後で休憩室に向かった。


「それで、さっきの話だがいいか?」

「ええ。どこから話ましょうか……。ベルト侯爵家は昔は皇族の影だったということは有名な話でしょう?そのころは一族全員とても視力がよかったのです。」

「視力というのは結局は注意力ですから。その注意力は影にとってとても重要なことです。…私はその先祖返りなのではないかと言われています。身体能力も実はとても高いのです。機密事項なのですが、我が家は一応、今も訓練を続けています」

「それから、今もまだ影ということになっていて、戦争が始まったら動けるようにしています。訓練を続けているとは言いましたが、今は平和ですから昔ほどは動けません。私を除いて。それでも十分過ぎる程に強いですけれど…」

「あまり言いたくはありませんが、戦争が始まったら嫁いでいようと関係なく我が家は諜報員として一番に駆り出されるでしょう。…この話をしてしまった以上私たちは絶対に離婚することはできません。勝手に巻き込んでしまって申し訳ございません」

そうだったのか…正直、驚きすぎて今も混乱しているが…

「マリナは俺と離婚したいのか?」

わざわざこんな話をした以上そうではないと思うが…

「そんなわけないです!」

「ならいいだろう。少なくとも俺は離婚をするなんてこと、考えたことがないくらいにはマリナに対して情がわいているが?」

「そうなのですか?」

「ああ。マリナは違うのか?」

「いいえ!私もですわ」

「それならこの話は終わりだ。そろそろ会場に戻ろうか?」

ダンスの時間が近づいてきている筈だ。そう声をかけるとマリナは安心したように、

「ええ、そうですね。私、ダンスには自信がありますのよ?」

と言って、立ち上がったので二人で会場へ戻った。
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