転生して使い魔から人になったはずなのですが

紫水晶猫

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転生しました

お兄さまたち

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「リチェルは、緊張しているのかな? いつもより更に口数が少なくなっているよ?」

 この状況にソワソワし始めた私の背中をルイスが気遣わしげに撫でてくれた。

「リチェルも初めましてだろう?」

 あ!

 ルイスに指摘されて漸くまだ自分が自己紹介していないことに気がついた。じっと見つめられていたのはそういうことだったのね。私の反応を待っていたんだ。

 そうと分かれば、することは一つ。

「初めまして。私の名前はリチェル・ミルフィーエです。よろしくお願いします」

 お兄さまたちに挨拶をして、ルイス直伝カーテシーを披露した。これは相当ダメ出しをくらいながら頑張ったから、かなり完成度が高いはず。

 カーテシーで伏せた目を上げると、何をそんなに驚いたのか目を大きく見開いたお兄さまたちがいた。

「私たちの妹は本当に五歳なのか?」

 呆然としながらレオンお兄様が呟いた。アンディお兄様は口を開きかけては閉じるをしている。

 お兄さまたち、どうしたのだろう?

「ルイス先生? 私、何か可笑しなことをしてしまいましたか?」

 挨拶の仕方を間違えたのではないかと心配になってきた私が困ったようにルイスを仰ぎ見ると、ルイスはニッコリ笑った。

「私のリチェルは完璧だったよ」

 …………。

 『私の』と『リチェル』の間に『生徒』が抜けていると思うのだけれど。

 ルイスが機嫌良さそうなので良しとした。

「ああ……完璧だった。私の妹は賢いのだな」

 ルイスの言葉に同意してレオンお兄様が言うと……

 ん? あれ? 

 ルイスの機嫌が急降下しているのをピリピリと感じた。

 どうしたことか、ルイスの身体から魔力が漏れてくる。

「初めて会ったばかりで私のリチェルに、私のとは些か不躾ではないですか?」

 ルイスが冷たくいい放つ。

「それは、あなた方がリチェルに会わせてくれないからではありませんか」

 レオンお兄様が眉間に皺を寄せながら異をとなえた。

 レオンお兄様の言い方だと、まるでずっと以前から私に会いたかったように聞こえる。

 腹違いの兄妹なんて視界にもいれたくないものなんじゃないの?

「あの……」

 私が恐る恐る声を出すと、食いつきぎみにお兄様たちが反応した。

「「リチェル! なに?」」

 お兄様二人とも床に膝を就いて私と目線を合わせてくる。

 私から話かけたものの、驚いて引きそうになってしまった。

「……レオンお兄さまとアンディお兄さまは、私のことを厭うていらっしゃるのではないのですか?」

 首を傾げてお兄様たちをみると、お兄様たちは胸に手を当てて俯くとプルプルと震えだした。

 あれ? どうしちゃったのかな?

 やはり、私のことを嫌って避けているのかもしれない。目を反らして俯いてしまったし。でも、それではどうして私に会いに来たの?

 すると、いち早く顔を上げたレオンお兄様から私はカバッと抱き締められた。

 んえ?

 それはもうギュウギュウと抱き締められる。

「リチェル! 絶対に厭うてなんかいない! 私もアンディもリチェルに会いたくて堪らなかったよ。亡くなった母も会いたがっていたんだ。信じて!」

 あ、え? えっと……

 キョロキョロとこの状況をどうにかしてもらいたくて周りを見た。

「リチェル! レオンお兄さまの言ったとおりだよ! 私もリチェルに会いたかった!リチェルが、さっきアンディお兄さまといってくれたときは天国に召されるんじゃないかと思うくらい嬉しかったんだ!」

 うぎゅっ!

 レオンお兄様の横からアンディお兄様まで私に抱きついてきて、どうしたら良いかわからない。

 この……お兄様たちから抱きつかれるという初めての経験に半ばパニックに陥りそうになっていると、不意に身体が軽くなった。

「やめてくれる? リチェルが困っているだろう?」

 何故か、私は、ルイスに抱っこされていた。
 どうやら、魔法で転移させられたみたいだ。


 何はともあれ、助かった。


「リチェルは可愛いから、仕方がないのかもしれないわね……」

 何かを諦めたかのように、お母さまが溜め息をついてこちらを眺めていた。

 

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