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ルイスと私とお兄さま
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……おかしいなあ。
目立たないように隅っこで稽古を始めたはずなのに、何故か周りに人集りができている。
「おい、すごいぞ!」
「ちょ、俺にも見せろよ!」
「おおお、ちっちゃいのに動きがいいな」
「待て待て、お前、不敬だぞ!」
「は? えっ? まさか、リチェルお嬢さま?」
「すぐわかれよ?」
「おい! ちょっと待て! お嬢さまの相手しているお、お方は……」
「うわ! 口にするな!」
「マジか……。なぜここに?」
「ほら! 散れ散れ! 見なかったことにするんだ!」
……そして、何故か人集りが消えた。
不思議だ。
なんだったのだろう?
稽古に集中できるから良いのだけれど。
「……チッ」
ルイスの舌打ちが聞こえた気がしたような気がしたけれど、次から次へと振り下ろされてくる剣の対応に追われてすぐに忘れてしまった。
「リチェル!」
ルイスとの稽古が終わる頃、いつの間に来たのか、レオンお兄様の声がした。
えっ? レオンお兄さま?
「リチェルは、こんな早朝から剣の稽古をしているのかい?」
レオンが驚いたような表情で聞いてきた。
「剣術を学んでいるのは知っていたけれど、本格的なんだね?」
……あ。
私の五歳の誕生日以来……お兄様たちが、私に会うためにミルフィーエ家を訪れるようになった。多分、時折、剣の稽古をしている私を目にすることはあったのだろう。でも、お兄様たちは、私が剣術を学んでいるとは思っていても、ここまで本格的にやっているとは思っていなかったのだと思う。だって、それはそうよね? 私は、女の子だし、幼いし。普通は、遊びの一環で他愛もないレベルだと思うよね? だけど違うのよ? 私はこの上もなく真剣なの。なにせ前世のルチェよりも強くなりたいのだから。もしも……もしも、ご主人さまに現世で巡り会えたら、今度こそご主人さまに仇なす者に遅れはとらない。
「私は、本気で強くなりたいのです」
だから、思わずレオンお兄様の言葉にスッと私の顔から表情が消えて幾らか真剣さを帯びた声になってしまった。
自分でも吃驚した。
ハッと気がついて、すぐに笑顔を浮かべたけれど。
……ちょっと不自然だったかもしれない。
「リチェル……」
「私の生徒は向上心が高いのですよ」
戸惑ったようにレオンお兄様が私に何か言おうとしたけれど、ルイスの言葉に遮られた。
「それより、リチェル」
ルイスが私の頭をポンポンと撫でた。
「汗をかいただろう? 今日の稽古は終いだ。風邪を引くといけないから部屋へ戻りなさい」
確かに身体が汗ばんでいる。
……入浴したい。
だけど、レオンお兄様居るし。
レオンお兄様とルイスを置いて私が行ってしまっていいの?
ちょっとどうしたら良いのか困ってしまう。
これで、お部屋に戻ったらお兄様を放置することにならない?
私が迷って、レオンお兄様とルイスの顔を交互に窺っていると、
「何を躊躇っている? リチェル、さっさと行きなさい。私は、レオンハルト・ローヴェリア殿と話がある」
ふえ?
レオンお兄様と?
ルイスが? 何のお話?
思いもよらなくて、私の頭の中が『?』で埋め尽くされたけれど……私は、ルイスから背中を押されその場から追い立てられてしまった。
レオンお兄様を窺うと、レオンお兄様は私に頷いて見せた。
これは、行きなさいということらしい。
「お嬢さま参りましょう」
エマさんが私を促してくれる。
うん、行って良いのかな?
そう結論付けて私は部屋へ戻ることにした。
……それにしても、ルイスはレオンお兄様に何の話があるというのだろう?
目立たないように隅っこで稽古を始めたはずなのに、何故か周りに人集りができている。
「おい、すごいぞ!」
「ちょ、俺にも見せろよ!」
「おおお、ちっちゃいのに動きがいいな」
「待て待て、お前、不敬だぞ!」
「は? えっ? まさか、リチェルお嬢さま?」
「すぐわかれよ?」
「おい! ちょっと待て! お嬢さまの相手しているお、お方は……」
「うわ! 口にするな!」
「マジか……。なぜここに?」
「ほら! 散れ散れ! 見なかったことにするんだ!」
……そして、何故か人集りが消えた。
不思議だ。
なんだったのだろう?
稽古に集中できるから良いのだけれど。
「……チッ」
ルイスの舌打ちが聞こえた気がしたような気がしたけれど、次から次へと振り下ろされてくる剣の対応に追われてすぐに忘れてしまった。
「リチェル!」
ルイスとの稽古が終わる頃、いつの間に来たのか、レオンお兄様の声がした。
えっ? レオンお兄さま?
「リチェルは、こんな早朝から剣の稽古をしているのかい?」
レオンが驚いたような表情で聞いてきた。
「剣術を学んでいるのは知っていたけれど、本格的なんだね?」
……あ。
私の五歳の誕生日以来……お兄様たちが、私に会うためにミルフィーエ家を訪れるようになった。多分、時折、剣の稽古をしている私を目にすることはあったのだろう。でも、お兄様たちは、私が剣術を学んでいるとは思っていても、ここまで本格的にやっているとは思っていなかったのだと思う。だって、それはそうよね? 私は、女の子だし、幼いし。普通は、遊びの一環で他愛もないレベルだと思うよね? だけど違うのよ? 私はこの上もなく真剣なの。なにせ前世のルチェよりも強くなりたいのだから。もしも……もしも、ご主人さまに現世で巡り会えたら、今度こそご主人さまに仇なす者に遅れはとらない。
「私は、本気で強くなりたいのです」
だから、思わずレオンお兄様の言葉にスッと私の顔から表情が消えて幾らか真剣さを帯びた声になってしまった。
自分でも吃驚した。
ハッと気がついて、すぐに笑顔を浮かべたけれど。
……ちょっと不自然だったかもしれない。
「リチェル……」
「私の生徒は向上心が高いのですよ」
戸惑ったようにレオンお兄様が私に何か言おうとしたけれど、ルイスの言葉に遮られた。
「それより、リチェル」
ルイスが私の頭をポンポンと撫でた。
「汗をかいただろう? 今日の稽古は終いだ。風邪を引くといけないから部屋へ戻りなさい」
確かに身体が汗ばんでいる。
……入浴したい。
だけど、レオンお兄様居るし。
レオンお兄様とルイスを置いて私が行ってしまっていいの?
ちょっとどうしたら良いのか困ってしまう。
これで、お部屋に戻ったらお兄様を放置することにならない?
私が迷って、レオンお兄様とルイスの顔を交互に窺っていると、
「何を躊躇っている? リチェル、さっさと行きなさい。私は、レオンハルト・ローヴェリア殿と話がある」
ふえ?
レオンお兄様と?
ルイスが? 何のお話?
思いもよらなくて、私の頭の中が『?』で埋め尽くされたけれど……私は、ルイスから背中を押されその場から追い立てられてしまった。
レオンお兄様を窺うと、レオンお兄様は私に頷いて見せた。
これは、行きなさいということらしい。
「お嬢さま参りましょう」
エマさんが私を促してくれる。
うん、行って良いのかな?
そう結論付けて私は部屋へ戻ることにした。
……それにしても、ルイスはレオンお兄様に何の話があるというのだろう?
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