【R18】【本編完結済】ロールキャベツ系彼女とツンデレ(後々)彼氏

米粉パン

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本編

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温泉街に再び降り立った私達は、手を繋いで今日泊まる旅館に入った。




チェックインを済ませて荷物を受け取り(全部先輩が)、階の1番奥の305号室に入った。

2人用にしては広めの和室で、部屋の奥には大きな窓と、フローリングのスペースにテーブルと椅子のセットもある。



「すみません、お手洗い行きますね」

「ん?ああ」


そそそ、と洗面所らしき襖を開けると、簡易シャワー(温泉がメインだからであろう)、洗面台、その奥にさらに扉があってトイレがあった。


ぱたん、とトイレのドアを閉めて、心を落ち着かせる。


(え、待って……?って、そういうこと!?)


先輩に海に行こうと誘われた時、私が「断られたらどうするつもりだったんですか」と聞いたら先輩は「断られても大丈夫なようにした」と言っていたはずだ。


(確かに、私が来なくても部屋は1つのままだけど……!?)


最初から、先輩は私と布団を並べて寝るつもりだったのだ……


(きゃあああああ!!)


狭いトイレの中で1人でジタバタする。


(いちおう持ってきたけど……)


ポーチから避妊具の箱を取り出した。
と思って10枚入りなのだが……


(足りるかなって何よ、足りるかなって!!私こんなにはしたない子だったのね!?)


遅すぎると先輩が不審に思うかなと思い、急いで用を足して部屋に戻った。

先輩は、ぼーっとテレビを見ていた。
まだ15時過ぎなので、面白い番組は特に無さそうだ。


「なぁ、夕食は17時からだから、その間商店街でもぶらぶらしないか?」

「ええ、もちろん!行きましょう」


よし、と先輩はテレビを消して立ち上がった。










旅館を出た私達は、温泉街からひとつ奥に入った商店街を歩き出した。

土日だからであろうか、人が多い。



書店、ゲームセンター、百貨店、カフェ、カラオケ……色々な建物がずらりと並んでいて、ヒマを潰すのにちょうど良さそうだ。



「先輩、あれって、ゲームセンターというものですか?」

「そうだけど……え、入ったことないのか?いや、なくても不思議ではないか、お嬢様だし……」

「お父様が許してくれなかったのです。入ってみたいです……!」


じっと先輩を見つめてみる。少し身長差があるので、必然的に上目遣いになってしまうのだが。

先輩は険しい顔をして、行くか……とゲームセンターに一緒に入ってくださった。



太鼓を叩いたり、金魚を掬ったり、ゾンビをぶちかましたりして満喫していると、ぱっちりした目の可愛らしい女の子が大きく写った箱を見つけた。



「先輩、あの箱は何ですか?」

「?ーーープリクラか?」

「え?フリフリの戦闘服に変身して戦うあの……!?」

「それはプリ〇ュア」


手刀で軽く頭を小突かれた。


「せっかくデートしてるし、入ってみるか」

「で、デート!?」

「…………は?デートって思ってたの俺だけだったのかよ」

「い、いえ!違います!ただ、先輩は私の引率って感じで、デートって思っているのは私だけだと……」

「ふーん……じゃあ、プリクラやめとく?」

「い、行きます!ぷりくら!!デートしましょう!」

先輩はしてやったり、と言うように笑った。

「もうしてるだろ、デート。ほら、行くぞ」







ーーーー十数分後ーーー

『プリントが終了したよ!忘れ物がないか気を付けて帰ってね!』


可愛らしい声の後、プリクラ機の横にストン、と写真が落ちてきた。


「うわあ……全然顔が違いますね!立派な詐称じゃないですか?」

「えげつない感想を嬉嬉として言うな……」


ピースサインから始まり、互いの頬をつついたり、先輩に後ろから抱きしめてもらったりした。

もちろん、プリクラ機の指示に全て従ったポージングだ。




「本当に私1円も出してないですね」

「いや、ラムネと駄菓子買ってただろ?悔しいけど出させてしまった」

「クスッ……ありがとうございます」


ゲームセンターを出ると16時半だった。

「そろそろ戻るか」

「そうですね」

冷えた風が吹いて頬を撫でたが、繋いだ手は暖かかった。
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