悪役令嬢専門お悩み相談係

米粉パン

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今世の自分

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バラ園に到着した私は、芳香に包まれて思わず頬を緩めた。


ーーーしかしまあ、“鏡の儀式”まであと2週間か……対策を練らねば。


“鏡の儀式”は、炎・水・土・木・風の5元素のうち、自分がどの属性を持っているのかを知るための儀式だ。

この属性によって、ここケオンブルク王国の国民が14歳になったら必ず通う【王立ケオンブルク学園】のクラス分けがなされる。

学園は四年制で、貴族と平民が同じ敷地内で授業を受けるのだ。




確かゲームでは、ヒロインのマリア・ケルト男爵令嬢はヒロインチートで“光魔法”という5元素に当てはまらない属性を持っていて、ALLオールーーーつまり全部の属性を持つ人達の集まるクラスに配属されるのだ。


そこで出会うのが攻略対象たち。

まず王道ルートは、この国の王太子レオン・フォン・ケオンブルク殿下(同い歳で現在13歳)で、5元素全ての属性を持つのでヒロインと同じクラスになる。

実は王太子殿下、“鏡の儀式”の後の夜会でビアンカ様と婚約を結ぶのだが、真実の愛とやら(皮肉)をヒロインと見つけ、ビアンカ様と婚約破棄をするという筋書きだ。



また王太子と関わることで王太子の幼馴染ルートも選択できて、お相手は宰相子息のヴィンセント・シュヴァルツ公爵令息(ヴが多い)、最年少騎士のセドリック・バンドン(平民出身)の2人だ。共に同い歳で現在13歳。

そして王太子との親密度を高めると、嫉妬した悪役令嬢が出てきて、それを宥める兄のヴォルフガング・シュタイン公爵令息と出会う。

そしてそして、悪役令嬢の取り巻きの1人である私と出会い、仲良くなり、専属執事のジョセフと出会うのだ。


ーーーーーなぜ悪役令嬢の取り巻きとヒロインが仲良くなるの?とお思いになるかもしれないが、ゲーム内の私……もといエリザベス・シュラット伯爵令嬢は、とてもぽやぽやした人物というか……まあ、誰とでも仲良くなれる系のおっとりした人物なのだ。

ひょんな事からお菓子を互いに作って渡し合ううちに、エリザベス嬢と友達になり、ジョセフとお近づきになる。

ちなみに、随分前に湖畔で倒れていたジョセフを私が拾ったのだが、彼は記憶を失くした状態だったので、きちんとした身分証明が出来なくて学園に通えないのだ。



ーーーーーーさて、ここで問題なのは、この世界のヒロイン、マリアが選ぶのはどのルートなのか、ということだ。

出来れば、王太子ルートはやめて欲しいなーなんて。だって、折角ビアンカ様の恋が実って婚約者になったのに、後々ぽっと出のマナーのなってない男爵令嬢に横取りされるなんて、ビアンカ様は絶対辛いに決まってる。




そこで私の作戦はこう。

1、王太子とビアンカ様の仲を取り持つ

2、ヒロインとお友達になる

3、ヒロインの推しを聞き出して(探って)攻略対象とくっつける

4、みんな幸せ大団円!


うん、上手くいけば最善の筋道じゃないかしら。…………上手くいけば。


1人でうんうん、と頷くと「お嬢様……?」と不思議そうにジョセフから声を掛けられた。いえ、こっちの話だから気にしないで。


ーーーそうだ、ヒロインがもしジョセフ推しだったら一番手っ取り早いわね。


後々後悔することになるなんて全く思わず、この時の私はジョセフに言ってしまったのだ。

「ねえジョセフ、もし今後あなたに本当に好きな人が出来たら、いつでも言ってね」

「…………それは、どういう意味でしょうか」

ジョセフは眉を寄せた。

急にこんな事言われても困るわよね。


「もし結婚したいと思う人が出来たら、私は全力で応援するわ、という意味よ。だって、恋人になるならーーー」

「ーーーお嬢様は!」


急な大声に体をビクつかせると、ジョセフに手首を掴まれた。


「お嬢様は……本気でそのような事を仰っているのですか……?」


ジョセフは、哀しみに揺れる瞳で、縋るように私を見つめた。


「ええ、本気よ?もちろん私は寂しいけれど、貴方にも幸せになる権利があるわ」


手首の締め付けが強くなった。


「ジョセフ?て、手首が痛 「 それなら 」







「私が望めば、貴方は受け入れてくださるのですか」



ぐっと手首が引かれ、顔に影が落ちた。







目の前にはジョセフの目



後頭部には大きな手の温かさ



そして、唇には柔らかい感触









キスされている、そう頭が理解した瞬間、私は彼の胸を強く押し返した。

頭が混乱した私は、走って自室に戻った。
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