悪役令嬢専門お悩み相談係

米粉パン

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今世の自分

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僕が会場入りした時、既に沢山の13歳達が集まっていて、それぞれグループを作ったりして会談していた。

今日の儀式は王太子の僕がトップバッターであることが事前に知らされていたので、より祭壇に近い前の方に足を進めた。

皆僕に気付いたのか、自然と道は開ける。何だか申し訳なく思いながらも悠然と歩いていると、自分の胸くらいの高さでピンク色の物体が人垣から飛び出てきた。

「きゃあっ!!」

咄嗟に受け止めると、ピンク色の正体は桃色の髪、黄緑の瞳の可愛らしい少女だった。

「す、すみません!」

本当に申し訳無さそうな顔で謝っているが、受け止めた僕の右腕にフニフニと胸を押し付けてくる。

「君が無事なら良かったよ、気にしないで」

一応この国の王子様という職業なので、営業スマイルを貼り付けて応答すると、ピンク頭の少女は瞳をうるうるさせながら上目遣いをしてきた。

「そんなぁ……お優しいのですね、殿下ぁ」

甘ったるく声を掛けられ、流石に鳥肌が立った。早くコイツから離れたい。

「ごめんね、連れがいるんだ。僕はもう行かなくちゃ」

えーもうちょっと話しましょー、と馴れ馴れしく立ち塞がるので、手頃な知り合いは居ないか辺りを見回すと、僕がいる場所とは反対側の前列に、幼馴染みかつ筆頭婚約者候補のビアンカの姿を認めた。

また今度、と来そうにない“今度”を約束して彼女から離れ、ビアンカの方へ避難した。





それからビアンカとお友達2人に挨拶をしたが、上手く躱したはずのピンク少女の話に戻された。

ーーービアンカは昔から、癇癪を起こすと面倒なのだ。顔は綺麗なのに、性格で減点されている感じだ。

また癇癪が始まったか、と小さくため息をつくと、ビアンカのお友達のエリザベス嬢がビアンカの手を握り、を使った。



『空を覆い尽くす闇の隙から光差すは黄金色。
それは街を照らし、国を照らし、世界を照らす。
やがて全てが光に包まれたとき、闇は光と共に生き、光と共に死す。』


ケオンブルク王家に伝わる叙事詩の一説だ。抽象的過ぎて様々な解釈がなされているのだが、その中の1つに、このような解釈があるーーーーーー





ーーーーー既に滅びたとされる古代魔法の、光魔法と闇魔法のことである、という解釈だ。

現在、ほとんど全ての人が5元素のうちのいずれかを持って生まれる。それゆえに眉唾ものの話だ、と据え置かれていた解釈だったのだが……人間を含む動物の肉体や精神に作用する魔法は、古代魔法以外に考えられない。

したがって、エリザベス嬢はきっと“光”だ。




ーーーその仮定が正しければ、

とりあえずエリザベス嬢とパイプを持っておこうと話しかけるが、胡散臭い学園長が祭壇に立ったことで遮られる。




これは、王宮に持ち帰って元老院と話し合うべきか。
ああ、その前にビアンカと仲直りだな。

父である国王の執政の手伝いをしているのだが、それに加えて大きな仕事が舞い込んできた。


再び小さくため息をつき、呼名を待った。
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