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今世の自分
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しおりを挟む「レオン・フォン・ケオンブルク!」
学園長が王太子殿下を呼名し、殿下は祭壇の前の階段を上って鏡の前に立った。
すると、鏡の真ん中辺りからグルグルと黒いモノが渦巻きはじめ、大きくなっていく。
それはだんだん形を成していき、最終的には黒い服に身を包み、同じく黒いフードで頭を覆う美しい女性になった。真っ白な肌に赤い唇。長いまつ毛に縁取られた目は、固く閉じられている。
鏡の中の女性は、少し間をあけて、口を開いた。
「全属性クラス」
その瞬間、ザワザワと会場が騒がしくなる。さすが殿下、とかすごい、とか。
鏡の女性と学園長にそれぞれ礼をして、殿下は階段を降りた。
「ビアンカ・シュタイン!」
ビアンカ様が次に呼ばれ、鏡の前に立つ。
「…………炎クラス」
鏡の女性に告げられ、少し嬉しそうな表情を浮かべた彼女は、女性と学園長に礼をして、私達の元へ戻ってきた。
「おつかれさまですわ、ビアンカ様!」
まだ儀式は続いているので、3人でヒソヒソと話す。
「ええ。やはり、うちの家系はみんな炎なのですわ……少し安心しましたわ」
十数人呼ばれたところで、アリア様も呼ばれた。(髪の色から)やはり水クラスだった。
もう数人呼ばれた後で、ヒロインの名前が呼ばれた。
「マリア・ケルト!」
ニコニコと機嫌の良さそうに階段を上り、自信ありげに鏡の前に立った。
「…………ほぅ?面白いものを持っておるな」
鏡の女性は少し口角を上げた。再び会場はざわめく。
「全属性で良かろう」
わぁっと歓声が上がったのは、きっと平民出身から全属性クラスが出たからであろう。平民はほとんどが5元素のうちの1つしか属性を持たないのだ。
鏡の女性が学園長にヒソヒソと耳打ちし、学園長が紙に何かを書いてマリアに渡した。
彼女はニヤリと笑い、階段を降りた。
この儀式では、混雑緩和のため、儀式が終わった者は制服用の採寸をして(貴族は自宅でほとんど採寸する)帰ってよいので、どんどん大聖堂の中が疎らになっていく。ちなみに、王太子殿下は何故かずっと私達3人と同じ場所に留まっている。
「エリザベスさん、呼ばれるのが遅くなくて?」
「本当ですわね……」
ビアンカ様が(多分)心配してくださった。結局、平民まで全部終わった頃にようやく呼ばれた。ずっと一緒に待ってくれていた2人(3人?)には申し訳ない。
鏡の前に立つと、女性はハッと目を開けた。
今までずっと目は閉じられていたので分からなかったが、彼女の瞳は真っ黒で、よく見るとフードの中の髪の毛も真っ黒だ。
「…………無事だったのね」
「え……」
ふわり、と優しく微笑んだ顔は、何処かで見たような気がした。
「全属性クラス」
ビアンカ様、アリア様、そして王太子殿下しか会場に残っていないので大きな歓声はないが、祝福の視線が来ているーーー気がする。
鏡の女性は学園長にヒソヒソと耳打ちし、学園長は「まさか、2人も!?」と言って驚きながらも紙に何かを書いて、私に手渡した。
ーーーーー紙には、「古代魔法である光属性あり」とある。
礼をして立ち去ろうとすると、鏡の女性が「どうかーーー頼みましたよ」と言った。
ふと顔を上げると、鏡には私が写っているだけだった。
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