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今世の自分
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「エリザベス嬢、どうやら私と同じクラスのようだな」
「本当!どの属性なのか全然分からなかったのも頷けるわ。だって全部持っているのですもんね!」
同クラで歓迎、という雰囲気の王太子殿下と、何故か得意気なビアンカ様。
「見事に3人とも別々になりましたけれど……これからも、仲良くしましょうね?」
アリア様が私とビアンカ様の手をそれぞれ取って不安げに瞳を揺らした。
「もちろんですわよ!なぁに、私が違うクラスだからってお友達を辞めるような女だと思っていらしたの、アリアさん?」
「そうですよ!お昼はぜひご一緒させてくださいな」
私とビアンカ様はアリア様に微笑みかけた。その様子を穏やかに見守る殿下。
ーーーふと視線を感じて辺りを見回すと、大窓の束ねられたカーテンの影、ちょうど日に当たらない所に、淀んだ黄緑色の石が2つあった。
ゾクッと鳥肌が立つ。
そろそろ出ましょう、と殿下を含めた3人に声をかける。会場を出る時ちらりとそちらを見ると、彼女はニヤリ、と笑っていた。
一度屋敷に戻り、日が傾いてきた頃、黄色いドレスに身を包んだ私は王宮に向かっていた。
専属メイドのマリーが「あとちょっと」「もう少し」「あと1分」を繰り返したことで出発が遅れてしまったが、何とか時間通りに目的地に到着しそうだ。
ちなみにマリーがやっと満足した後、姿見に映った私は別人のように美しかった。
堀を超える橋を渡り、門をくぐる。大きな噴水を囲むように造られたロータリーの真ん中、大階段の目の前で馬車は停まり、御者の手を借りて馬車を降りる。
王宮に来るのはとても久しぶりで、前回来たのは何時だったか思い出せないほどだ。
キョロキョロ……とはいかないが(レディなので笑)、ちらちらと周りを見ながら大階段を上っていく。最後の3段、くらいで両開きの扉の横に控えていた兵士2人がゆっくりと扉を開けてくださった。
ありがとうございます、と2人に会釈して、朧げな記憶を何とか呼び起こして会場のホールへ向かった。
ホール前の扉で再び兵士2人に扉を開けて頂き、会場に入った。ホールには既に沢山のご子息・ご令嬢の皆様が揃っておられて、賑わいを見せている。伯爵家以上の家柄の方々しか入れないので、王宮で開かれるパーティの中では小規模の部類に入るだろう。
今回の夜会は、王太子の婚約者を決めるーーーのは実は裏の目的で、表向きは入学祝いの宴だ。
何とかビアンカ様とアリア様を探し出して合流し、しばらくおしゃべりしていると、近衛騎士2人と共に、上座に両陛下並びに王太子殿下が現れた。
会場は一瞬で静かになり、全員が礼やカーテシーを取った。
「面をあげよ」
着席した国王陛下の一声で、全員の姿勢が戻る。
「ここに居る13歳の皆、少し早いが、入学おめでとう。今日の宴は残念ながら全ての13歳の者を招待することは叶わなかったが、どうかここに居る者だけでも最後まで楽しんでいってほしい。それでは、夜会を始めよう」
陛下の一言で、私が入ってきた方の扉が開き、数人の執事やメイドたちが軽食、スイーツ、飲み物を持って(ワゴンを押して)現れた。
美味しそうだわ、とスイーツに気を取られているうちに、横から声が聞こえた。
「ビアンカ・シュタイン公爵令嬢様」
見遣ると、いつの間にか殿下がビアンカ様の前に立っていた。
「最初のダンスを貴方と踊る栄誉を、どうか私にください」
右手を胸にあて、左手はビアンカ様に差し出して、微笑みかける殿下。もちろん、と頬を染めながら自身の右手を殿下の左手に重ねるビアンカ様。
自然とホールの真ん中が拓けた。
国王陛下が右手をスっと上げると、楽団の生演奏によるワルツが始まった。
ーーーーーやっぱり、このお2人はお似合いですよね……まず顔が良い。そして品格が違う。
会場の皆が2人のダンスに見入っている。
クルクルと回るビアンカ様は、とても楽しそうーーーそして、嬉しそう。
ワルツの時間はあっという間で、3分くらいで終わってしまった。
すると、殿下はビアンカ様を連れて、両陛下の斜め前に立ち、会場の皆を見た。
「皆の者。我が息子でありこの国の王太子であるレオン・フォン・ケオンブルクは、ビアンカ・シュタイン公爵令嬢と婚約を結ぶことをここに宣言する!」
威厳いっぱいな陛下の宣言に、会場はわっと沸く。
ええっ!?と言っていそうなビアンカ様の頬に軽くキスを落とす王太子殿下。それを見てキャーキャー言う令嬢達と、真っ赤になるビアンカ様。
「済まないが、余と妻は先に会場を出る。挨拶などは気にせず、最後まで楽しんでくれ。では」
そう言って両陛下は去り、再びワルツが流れ出した。今度はちらほらとカップルで踊っているようだ。アリア様は早々に誘われて、今は公爵令息様とダンスをされている。
ーーー私にはダンスのお誘いなんて来ないかな。
そう思って壁の花になろうとしていると、横から声が掛かった。
「こんばんは、美しい姫君。よろしければ、1曲ご一緒させて頂けませんか?」
ふわふわ揺れる茶色の髪と、濃い緑の瞳。
その顔立ちは、何処かで見たような気がした。
「本当!どの属性なのか全然分からなかったのも頷けるわ。だって全部持っているのですもんね!」
同クラで歓迎、という雰囲気の王太子殿下と、何故か得意気なビアンカ様。
「見事に3人とも別々になりましたけれど……これからも、仲良くしましょうね?」
アリア様が私とビアンカ様の手をそれぞれ取って不安げに瞳を揺らした。
「もちろんですわよ!なぁに、私が違うクラスだからってお友達を辞めるような女だと思っていらしたの、アリアさん?」
「そうですよ!お昼はぜひご一緒させてくださいな」
私とビアンカ様はアリア様に微笑みかけた。その様子を穏やかに見守る殿下。
ーーーふと視線を感じて辺りを見回すと、大窓の束ねられたカーテンの影、ちょうど日に当たらない所に、淀んだ黄緑色の石が2つあった。
ゾクッと鳥肌が立つ。
そろそろ出ましょう、と殿下を含めた3人に声をかける。会場を出る時ちらりとそちらを見ると、彼女はニヤリ、と笑っていた。
一度屋敷に戻り、日が傾いてきた頃、黄色いドレスに身を包んだ私は王宮に向かっていた。
専属メイドのマリーが「あとちょっと」「もう少し」「あと1分」を繰り返したことで出発が遅れてしまったが、何とか時間通りに目的地に到着しそうだ。
ちなみにマリーがやっと満足した後、姿見に映った私は別人のように美しかった。
堀を超える橋を渡り、門をくぐる。大きな噴水を囲むように造られたロータリーの真ん中、大階段の目の前で馬車は停まり、御者の手を借りて馬車を降りる。
王宮に来るのはとても久しぶりで、前回来たのは何時だったか思い出せないほどだ。
キョロキョロ……とはいかないが(レディなので笑)、ちらちらと周りを見ながら大階段を上っていく。最後の3段、くらいで両開きの扉の横に控えていた兵士2人がゆっくりと扉を開けてくださった。
ありがとうございます、と2人に会釈して、朧げな記憶を何とか呼び起こして会場のホールへ向かった。
ホール前の扉で再び兵士2人に扉を開けて頂き、会場に入った。ホールには既に沢山のご子息・ご令嬢の皆様が揃っておられて、賑わいを見せている。伯爵家以上の家柄の方々しか入れないので、王宮で開かれるパーティの中では小規模の部類に入るだろう。
今回の夜会は、王太子の婚約者を決めるーーーのは実は裏の目的で、表向きは入学祝いの宴だ。
何とかビアンカ様とアリア様を探し出して合流し、しばらくおしゃべりしていると、近衛騎士2人と共に、上座に両陛下並びに王太子殿下が現れた。
会場は一瞬で静かになり、全員が礼やカーテシーを取った。
「面をあげよ」
着席した国王陛下の一声で、全員の姿勢が戻る。
「ここに居る13歳の皆、少し早いが、入学おめでとう。今日の宴は残念ながら全ての13歳の者を招待することは叶わなかったが、どうかここに居る者だけでも最後まで楽しんでいってほしい。それでは、夜会を始めよう」
陛下の一言で、私が入ってきた方の扉が開き、数人の執事やメイドたちが軽食、スイーツ、飲み物を持って(ワゴンを押して)現れた。
美味しそうだわ、とスイーツに気を取られているうちに、横から声が聞こえた。
「ビアンカ・シュタイン公爵令嬢様」
見遣ると、いつの間にか殿下がビアンカ様の前に立っていた。
「最初のダンスを貴方と踊る栄誉を、どうか私にください」
右手を胸にあて、左手はビアンカ様に差し出して、微笑みかける殿下。もちろん、と頬を染めながら自身の右手を殿下の左手に重ねるビアンカ様。
自然とホールの真ん中が拓けた。
国王陛下が右手をスっと上げると、楽団の生演奏によるワルツが始まった。
ーーーーーやっぱり、このお2人はお似合いですよね……まず顔が良い。そして品格が違う。
会場の皆が2人のダンスに見入っている。
クルクルと回るビアンカ様は、とても楽しそうーーーそして、嬉しそう。
ワルツの時間はあっという間で、3分くらいで終わってしまった。
すると、殿下はビアンカ様を連れて、両陛下の斜め前に立ち、会場の皆を見た。
「皆の者。我が息子でありこの国の王太子であるレオン・フォン・ケオンブルクは、ビアンカ・シュタイン公爵令嬢と婚約を結ぶことをここに宣言する!」
威厳いっぱいな陛下の宣言に、会場はわっと沸く。
ええっ!?と言っていそうなビアンカ様の頬に軽くキスを落とす王太子殿下。それを見てキャーキャー言う令嬢達と、真っ赤になるビアンカ様。
「済まないが、余と妻は先に会場を出る。挨拶などは気にせず、最後まで楽しんでくれ。では」
そう言って両陛下は去り、再びワルツが流れ出した。今度はちらほらとカップルで踊っているようだ。アリア様は早々に誘われて、今は公爵令息様とダンスをされている。
ーーー私にはダンスのお誘いなんて来ないかな。
そう思って壁の花になろうとしていると、横から声が掛かった。
「こんばんは、美しい姫君。よろしければ、1曲ご一緒させて頂けませんか?」
ふわふわ揺れる茶色の髪と、濃い緑の瞳。
その顔立ちは、何処かで見たような気がした。
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