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今世の自分
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「ツンデレとは、好意を持った人に対して普段は当たりが強く接するけれど、時々甘えたりなどして可愛いことをする、という性格のことです。」
私はレオン殿下に、ツンデレがいかに可愛らしく素晴らしいのか、そしてツンデレであるビアンカ様が萌えなのかを力説した。
「ーーーーーつまりビアンカは、エリザベス嬢が言うところの“ツンデレ”とやらで、俺に好意を持っているーーー?」
「そういうことです!」
自信を持って頷いたが、殿下は「しかし……」とまだ疑っておられるご様子。
「では、私が証明してみせましょう……私の言う通りに殿下が行動して、ビアンカ様が私の予想通りに反応すれば、私の見解は正しいことが分かりますよね?」
「ああ、わかった。頭ごなしに否定するのもいけないからな。何をしたら良いのだ?」
それはですねぇ…………とニヤニヤしながら殿下に吹き込んだ。余計な事とは言わない。だって、殿下とビアンカ様の仲を取り持つ為には必要なのだもの!
「ビアンカ、良かったらもう一度一緒に踊ってくれないか?」
「で、殿下!?ーーーも、もちろんですわ」
顔もスタイルも良いビアンカ様に群がる子息達の間を割って入り、ビアンカを上手く連れ出した。
大きなステップは踏まず、2人でゆらゆらと穏やかにダンスをする。ーーーエリザベス嬢に教えられた言葉を今から言っていくのだが、怒られる自信しかない。
『いいですか?怒ってるのかな、とお思いになった時は、ビアンカ様の耳をご覧ください。真っ赤になっていたら照れ隠しです!!』
エリザベス嬢の念押しを思い出し、ビアンカに話しかけた。
「ビアンカ、今日は……いや、いつもだけれど、今日は特に、綺麗だよ」
「え……」
ぱっちりと目を見開いたビアンカ。
「そのドレスは、僕の瞳と同じ色だね。本当に嬉しいよ」
ちゅ、とわざとリップ音を立てて額にキスを落とした。ちなみにこれもエリザベス嬢仕込みだ。
「べ、別に、殿下の瞳を意識して選んだ訳ではありませんわ」
ツン、と横を向いた。耳は赤い。
(あれ……全部エリザベス嬢の言う通りに……?事前に2人で照らし合わせたとか……そんな事はないよな?)
意識して耳を赤くできる人が居るのなら凄いな。つまり、自然体だろうと判断した。
楽団の演奏が一区切りついたかな、というところで、「話したい事がある」と言ってビアンカを王宮庭園に連れ出した。
ーーーええと、ビアンカの好きな薔薇園の四阿に座らせてーーーだったか?実はこれが1番小っ恥ずかしいので、何だか緊張してきた。
「ここに座って」
四阿の中のベンチに自分のハンカチを広げて、その上に彼女を座らせた。僕は何も敷いていない彼女の横に腰掛け、彼女の手を取った。
「ビアンカ、聞いて欲しいのだけれど」
『えぇ、婚約する事はあの場で教えた…………って、ぶっつけ本番だったのですか!?』
夜会の最初に父である国王がした婚約発表は、正式な婚約者がビアンカに決まった事を伝えずに行ってしまったのだが、それを聞いたエリザベス嬢は「ありえない」という顔で僕を見た。
『ああ、ビアンカには悪いと思ってるけど……』
『じゃあ謝りましょう。で、これからどうしたいのか、殿下の素直な気持ちをお伝えください。最後に改めて婚約の申し入れをするのです。あ、ビアンカ様はバラがお好きなので、薔薇園とかどうでしょう?』
『嫌われてるのに改めて申し込むのか?断られそうな……』
『絶対ありえません。とにかく、誠心誠意向き合ってください!』
という感じのやり取りの結果、半ば強引にエリザベス嬢に背中を押されて今に至る。
「まずは、急に婚約者に決めてしまってごめんね」
「別に気にしてませんわ。どうせいずれ、どこかの貴族の元へ嫁ぐのですから、それなら殿下のところがマシですわ」
(マシって……)
相変わらずのビアンカ節に苦笑するが、耳が赤いのに気づく。
(これがデレってやつか)
「正直、夫婦としてこれからやっていくのかって、全然想像がつかないのだけれど、僕はビアンカと一緒に明るい家庭を築いて、共に人生を歩んで行きたいと思ってる。そして、この国を安定した良い国にするんだ」
ここまで言い切って、僕は手を握ったままビアンカの前に跪いた。ちなみにこれは吹き込まれたものではなく、オリジナルだ。本当の気持ちを伝えたら感情が昂って、本来の自分ならしないような事を仕出かしてしまった。ーーーしかし、後には引けない。
「ビアンカ、君が思ってるよりきっと、僕は君のことが好きだよ。初めて会った小さい時から、ずっと可愛いなって思ってた。ーーーーーー改めて、僕と婚約してくれませんか」
これが僕の誠心誠意、というやつだ。
ビアンカの瞳をずっと見つめていると、一瞬キラリと光って、彼女は微笑んだ。
「私も、貴方が好きですわ、殿下。不束者ですが、お願い致します」
「ビアンカ……っ!」
座ったままの彼女を、強く腕の中に引き寄せる。バラの香りに包まれながら、立ち上がった2人の影は1つに合わさる。
「もう、殿下……」
「レオンって呼んで、昔みたいに」
「……レオン」
どちらからともなく、唇が重なった。
ーーーーーーーーーーーー
エリザベスの心の声
『っしゃあぁぁぁぁぁあああ!!』
私はレオン殿下に、ツンデレがいかに可愛らしく素晴らしいのか、そしてツンデレであるビアンカ様が萌えなのかを力説した。
「ーーーーーつまりビアンカは、エリザベス嬢が言うところの“ツンデレ”とやらで、俺に好意を持っているーーー?」
「そういうことです!」
自信を持って頷いたが、殿下は「しかし……」とまだ疑っておられるご様子。
「では、私が証明してみせましょう……私の言う通りに殿下が行動して、ビアンカ様が私の予想通りに反応すれば、私の見解は正しいことが分かりますよね?」
「ああ、わかった。頭ごなしに否定するのもいけないからな。何をしたら良いのだ?」
それはですねぇ…………とニヤニヤしながら殿下に吹き込んだ。余計な事とは言わない。だって、殿下とビアンカ様の仲を取り持つ為には必要なのだもの!
「ビアンカ、良かったらもう一度一緒に踊ってくれないか?」
「で、殿下!?ーーーも、もちろんですわ」
顔もスタイルも良いビアンカ様に群がる子息達の間を割って入り、ビアンカを上手く連れ出した。
大きなステップは踏まず、2人でゆらゆらと穏やかにダンスをする。ーーーエリザベス嬢に教えられた言葉を今から言っていくのだが、怒られる自信しかない。
『いいですか?怒ってるのかな、とお思いになった時は、ビアンカ様の耳をご覧ください。真っ赤になっていたら照れ隠しです!!』
エリザベス嬢の念押しを思い出し、ビアンカに話しかけた。
「ビアンカ、今日は……いや、いつもだけれど、今日は特に、綺麗だよ」
「え……」
ぱっちりと目を見開いたビアンカ。
「そのドレスは、僕の瞳と同じ色だね。本当に嬉しいよ」
ちゅ、とわざとリップ音を立てて額にキスを落とした。ちなみにこれもエリザベス嬢仕込みだ。
「べ、別に、殿下の瞳を意識して選んだ訳ではありませんわ」
ツン、と横を向いた。耳は赤い。
(あれ……全部エリザベス嬢の言う通りに……?事前に2人で照らし合わせたとか……そんな事はないよな?)
意識して耳を赤くできる人が居るのなら凄いな。つまり、自然体だろうと判断した。
楽団の演奏が一区切りついたかな、というところで、「話したい事がある」と言ってビアンカを王宮庭園に連れ出した。
ーーーええと、ビアンカの好きな薔薇園の四阿に座らせてーーーだったか?実はこれが1番小っ恥ずかしいので、何だか緊張してきた。
「ここに座って」
四阿の中のベンチに自分のハンカチを広げて、その上に彼女を座らせた。僕は何も敷いていない彼女の横に腰掛け、彼女の手を取った。
「ビアンカ、聞いて欲しいのだけれど」
『えぇ、婚約する事はあの場で教えた…………って、ぶっつけ本番だったのですか!?』
夜会の最初に父である国王がした婚約発表は、正式な婚約者がビアンカに決まった事を伝えずに行ってしまったのだが、それを聞いたエリザベス嬢は「ありえない」という顔で僕を見た。
『ああ、ビアンカには悪いと思ってるけど……』
『じゃあ謝りましょう。で、これからどうしたいのか、殿下の素直な気持ちをお伝えください。最後に改めて婚約の申し入れをするのです。あ、ビアンカ様はバラがお好きなので、薔薇園とかどうでしょう?』
『嫌われてるのに改めて申し込むのか?断られそうな……』
『絶対ありえません。とにかく、誠心誠意向き合ってください!』
という感じのやり取りの結果、半ば強引にエリザベス嬢に背中を押されて今に至る。
「まずは、急に婚約者に決めてしまってごめんね」
「別に気にしてませんわ。どうせいずれ、どこかの貴族の元へ嫁ぐのですから、それなら殿下のところがマシですわ」
(マシって……)
相変わらずのビアンカ節に苦笑するが、耳が赤いのに気づく。
(これがデレってやつか)
「正直、夫婦としてこれからやっていくのかって、全然想像がつかないのだけれど、僕はビアンカと一緒に明るい家庭を築いて、共に人生を歩んで行きたいと思ってる。そして、この国を安定した良い国にするんだ」
ここまで言い切って、僕は手を握ったままビアンカの前に跪いた。ちなみにこれは吹き込まれたものではなく、オリジナルだ。本当の気持ちを伝えたら感情が昂って、本来の自分ならしないような事を仕出かしてしまった。ーーーしかし、後には引けない。
「ビアンカ、君が思ってるよりきっと、僕は君のことが好きだよ。初めて会った小さい時から、ずっと可愛いなって思ってた。ーーーーーー改めて、僕と婚約してくれませんか」
これが僕の誠心誠意、というやつだ。
ビアンカの瞳をずっと見つめていると、一瞬キラリと光って、彼女は微笑んだ。
「私も、貴方が好きですわ、殿下。不束者ですが、お願い致します」
「ビアンカ……っ!」
座ったままの彼女を、強く腕の中に引き寄せる。バラの香りに包まれながら、立ち上がった2人の影は1つに合わさる。
「もう、殿下……」
「レオンって呼んで、昔みたいに」
「……レオン」
どちらからともなく、唇が重なった。
ーーーーーーーーーーーー
エリザベスの心の声
『っしゃあぁぁぁぁぁあああ!!』
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