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怒涛の中学3年生
052
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フリーマントルを出てからは気温がどんどん下がった。
既に外は氷点下に達し防寒具無しでは居られない。
寒さに反比例して観測甲板は賑わった。
南極に近いところは観測事項も増えるとか。
船内で暖を取りたいのに通訳で駆り出されて寒い思いをした。
そうして甲板から海を見ていると徐々に流氷が目立つようになる。
船にガコンガコンとぶつかる音がしてビックリした。
さすがに砕氷船だから壊れることは無いはずだけど、やっぱり怖い。
あれだ、雷鳴が怖いのと同じで、大丈夫と理屈は分かっていても身体が拒否するやつだ。
最近は忙しいのか不規則に通訳に呼ばれるもんだから、あまり勉強もできない。
レオンとロビーで他愛の無い話をして過ごす事が多くなっていた。
彼に観測には加わらないのかと尋ねたところから話が始まった。
【俺は研究者じゃない】
彼は少し気まずそうに話し始めた。
困ったような表情も絵になりそうなのが主人公補正。
身長190を超える体は座っていても山のようだ。
でも体躯は締まっていて細く見えるのが彼の不思議でもある。
【公言はしてないが、対魔物要員として呼ばれたんだ】
【魔物要員?】
【そうだ。俺はリアライズができるからな】
うん知ってる。
でも驚いた態度は取った。
というか・・・具現化は魔力が定着するという15歳を過ぎるまで制限されていたはず。
だから中学の教育課程にない。
俺の調べた限りではそうなっていた。
【お前、もう使えるのか?】
【・・・昔、事故で目醒めてな】
少し陰のある言い方だ。
まずい、彼の情報とか攻略法の記憶が朧げだ。
攻略ノートを置いてくるんじゃなかった。
何だっけ・・・トラウマになる事があったんだよな。
【見せてやるよ。ブリーフィングに行こう】
語りたくなったのか暇なのか。
大人しく俺は彼の後をついていった。
ブリーフィングルームは空いていることが多く、今回もすぐに確保ができた。
【離れていてくれ】
がらんとした会議室で、レオンは俺と距離を取った。
彼が目を閉じて集中すると、ぼうっと彼の身体が赤く染まる。
次第に赤い粒子がその身体から舞い始めた。
まるで身体が燃えていて、火の粉が舞い上がるように。
その幻想的な光景に目が釘付けになる。
何度か具現化の動画は見たけれど、映像でこういうオーラ的なものは見なかった。
【カリバーン!】
レオンが手を前に突き出して呼ぶ。
その名は彼の具現化の象徴。
高天原の金獅子と呼ばれるようになる彼の得物。
薄赤く光る2メートル近い大剣が彼の手元に現れていた。
・・・うん。
すげえよこれ!
この世界に来て初めてファンタジー要素を目の当たりにしたんじゃねぇか?
素直に感動している俺に、レオンは刃先を向けた。
はい、ごめんなさい! 参りました!
【武、これは力無き者の刃だ】
・・・単に、見せびらかすという雰囲気では無いよね。
何を言わんとしているのか・・・。
【武、お前の立ち位置は俺の隣か、後ろか】
・・・。
ずっとギャンブルばっかりで駄目な奴認定しそうになってたけど。
そういえばこいつ、熱い奴だった。
攻略的にはそれなりに頑張らないといけなかったはず。
だけど今の俺にはその問いに答える力が無い。
少なくとも今は。
【すまん。俺にはまだ答えられねぇ】
覚醒もしてないし、何ならAR値ゼロだしな!
取り繕うと碌な事がないという経験から素直に答える。
・・・別にこれまでのことを後悔なんかしてないんだからね!
【・・・そうか】
具現化って自力で目覚めるならアリなんだっけ?
15歳以下で使うと法律違反になったような・・・。
ま、船なんて治外法権だよな。
疑問を浮かべていると残念そうに俺を一瞥したレオンはカリバーンを消した。
おお、すぅっと消えるんだね。ホログラムと区別つかねぇよ。
【安心しろ、お前は一般人なのだからな。何かあれば守ってやる】
【・・・ああ、頼りにしてるよ】
何だかなぁ。
彼のお眼に敵わなかったのは確かだろうけど、一般人認定でちょっと悔しい。
いや・・・下手に認知されると九条さんみたいに攻略されるからこれで良いのか?
とにかく今は想定外だし、また高天原で。・・・無事だったら。
【それで、魔物が南極にいるからお前がいるのか?】
【過去に発見された事例がある】
【護衛ってわけか】
【ま、老人共の雑用や荷物持ちだろうよ】
さも不本意だと言わんばかりに呆れた表情で話すレオン。
それにしても何故、彼が動員されたのか。
具現化能力で戦闘ができる人間は他にもいるだろうに。
【刺激が足りねぇならギャンブルで相手してやる】
【・・・次は後藤を入れずにやろう】
既に負け癖がついてるんかい。
将棋みたいに知らない勝負にも手を出すところは素直に感心してるんだけどな。
【武。お前はボランティアと聞いているが、何故この船に乗った】
【・・・俺は南極で探しものがあってな】
【探しもの? コウテイペンギンのコロニーでも探してるのか】
【それはそれで魅力的だ。俺の探しものは、恐らくポイントεまで行かないと見つからない】
【どうせポイントγ以降は俺も同行する。手伝える事があるなら言え】
【その時は頼む】
ぶっきらぼうな感じだけど、ちょっと真剣なレオンの言は優しい。
こいつ主人公にするとツンデレ気味だったからな。
少し経ったところでまた通訳に呼ばれ、お開きとなった。
レオンとは気安く会話出来る程度にはなったかな。
◇
もうすぐ南極に到着する。
昼間にレオンと会話したせいか、今日の夜は頭を整理しておこうと思った。
まず「1番」の件。
高橋さんと後藤さんのおかげでようやくラリクエ倫理を理解できた。
俺の旧人類的感覚でいると齟齬が発生しやすいことも理解した。
けどなぁ・・・いきなり男色を受け入れるとか無理だし。
「本能的には」って言い方をしてたから異性オンリーも認められてはいるのかもしれん。
つか、そうじゃないと人間が増えねぇ。
エクシズムのお陰で行為に積極的な人は多いんだろな。
だから多重婚を認める風潮になったんだろう。
しかし2158年から始まった話だから、今の50歳以上はその辺に理解あんのか?
価値観は簡単に変わらねぇからな・・・年配者には気を付けよう。
それよりも戻ってからの人間関係をどうする。
九条さんはマイナスリセットできただろう。
御子柴君も花栗さんも大丈夫。
だから学校ではぼっちしてればいい。
問題は香さんだ。
彼女にはしっかり返事をしたい。
仮に、俺がAR値50になれたとして。
香さんが20(仮)で、仲良くなると残り30になる。
これで良いのかどうか、だな。
・・・これ結局、俺の具現化能力が何かに依存する。
ゴミ能力だったら香さんに全振りして良いと思う。
逆に有用だったら・・・どうすんだ俺?
自分で戦うために他の主人公かサブキャラを優先して・・・香さんを1番から外す?
出来んのか? そんな決断。
・・・。
・・・。
・・・・・・。
よし、考えるのを止めよう!
とにかく高天原に入学して具現化覚醒イベントを経てからだ。
香さんにはそこまで待ってもらおう!
次だ次。
南極に魔物が居るって話。
魔力溜まりがあってそこで発生するって言ってたな。
でも他の地域の魔力溜まりは魔物を生み出さない。
魔力溜まりは魔物を引き寄せるだけだ。
南極だけ例外とは思えない。
とすると・・・南極の魔力溜まりは単なる魔力溜まりじゃない。
仮に魔王の霧が混じってると考えれば・・・。
魔王の霧に感化された生き物が魔物化したんじゃねえか?
「大惨事で魔力に影響された生き物」としてクラーケンがいた。
なら、南極の魔力溜まりに何かしらの生物が入れば、魔物っぽい生き物が出てくる。
うん、仮説としては成り立つ。
やはり調査ポイントεの魔力溜まりには行きたい。
調査チームの編成に気を付けて同行させてもらおう。
◇
しらせは順調に進み、予定通り7月30日に南極基地に到着した。
基地のある場所は接岸場所からすぐ近くで31日に上陸し荷物を下ろした。
しらせはこの後、この付近を周回して氷に阻まれないよう動きながら待機する。
研究者たちは1か月の間に必要な観測等を行い、この接岸場所に戻る。
時間は限られている。
昔は越冬隊が常駐していたそうだが温暖化で基地が流出した後は無くなったそうだ。
温暖化のため冬季に上陸しても大丈夫になったので、その慣例で真冬の今に来ているとか。
昔よりは防寒装備が整ったから真冬でも平気だということも理由に挙げられる。
もっともブリザードになると視界がホワイトアウトするので危険なのは変わりない。
で。
上陸して落ち着いたら俺はやりたい事があった。
氷点下30度近いんだぜ?
アレとかアレ、やってみたいよな?
【レオン、いくぞ!】
【よし】
【おりゃ!】
俺はばしゃりと熱湯を撒いた。
空中に飛び出した熱湯は瞬時に昇華して霧散する。
地表には何も落下しない。
【おおお、ワンダフル!】
【面白れぇな!】
手品みたいなこの現象、極地でしか出来ない遊びだ。
お次に取り出したるは濡れタオル。
【こいつを振り回して・・・10秒!】
ぐるぐる回すとすぐに剣状に固まるタオル。
レオンと一緒に作り出したそれを、互いに打ち合わせる。
ばりん、と音がして片方のタオルが砕け散った。
【うっは、おもしれぇ!】
【よく知ってるな!】
大人たちが準備している間に中学生らしい遊びをしておく。
バナナで釘を打ったりとかもしてみたいんだけどな。
さすがにバナナがない。
長年の夢を叶えて満足しているところに芳賀さんが呼びかけてきた。
「京極くん、基地の準備ができた。案内するからおいで」
「はい」
【レオン、準備できたってよ。いくぜ】
【よし】
俺達は基地内に入った。
ひとり一部屋が割り当てられていた。
これなら落ち着いて寝られる。船内より快適かもしれない。
風呂などの一部設備は無いので滞在中は我慢することになる。
初日は荷物の運び込みだけで時間が過ぎ、本格的な観測調査は2日以降だ。
俺は気を新たに明日以降の調査に望む覚悟をした。
既に外は氷点下に達し防寒具無しでは居られない。
寒さに反比例して観測甲板は賑わった。
南極に近いところは観測事項も増えるとか。
船内で暖を取りたいのに通訳で駆り出されて寒い思いをした。
そうして甲板から海を見ていると徐々に流氷が目立つようになる。
船にガコンガコンとぶつかる音がしてビックリした。
さすがに砕氷船だから壊れることは無いはずだけど、やっぱり怖い。
あれだ、雷鳴が怖いのと同じで、大丈夫と理屈は分かっていても身体が拒否するやつだ。
最近は忙しいのか不規則に通訳に呼ばれるもんだから、あまり勉強もできない。
レオンとロビーで他愛の無い話をして過ごす事が多くなっていた。
彼に観測には加わらないのかと尋ねたところから話が始まった。
【俺は研究者じゃない】
彼は少し気まずそうに話し始めた。
困ったような表情も絵になりそうなのが主人公補正。
身長190を超える体は座っていても山のようだ。
でも体躯は締まっていて細く見えるのが彼の不思議でもある。
【公言はしてないが、対魔物要員として呼ばれたんだ】
【魔物要員?】
【そうだ。俺はリアライズができるからな】
うん知ってる。
でも驚いた態度は取った。
というか・・・具現化は魔力が定着するという15歳を過ぎるまで制限されていたはず。
だから中学の教育課程にない。
俺の調べた限りではそうなっていた。
【お前、もう使えるのか?】
【・・・昔、事故で目醒めてな】
少し陰のある言い方だ。
まずい、彼の情報とか攻略法の記憶が朧げだ。
攻略ノートを置いてくるんじゃなかった。
何だっけ・・・トラウマになる事があったんだよな。
【見せてやるよ。ブリーフィングに行こう】
語りたくなったのか暇なのか。
大人しく俺は彼の後をついていった。
ブリーフィングルームは空いていることが多く、今回もすぐに確保ができた。
【離れていてくれ】
がらんとした会議室で、レオンは俺と距離を取った。
彼が目を閉じて集中すると、ぼうっと彼の身体が赤く染まる。
次第に赤い粒子がその身体から舞い始めた。
まるで身体が燃えていて、火の粉が舞い上がるように。
その幻想的な光景に目が釘付けになる。
何度か具現化の動画は見たけれど、映像でこういうオーラ的なものは見なかった。
【カリバーン!】
レオンが手を前に突き出して呼ぶ。
その名は彼の具現化の象徴。
高天原の金獅子と呼ばれるようになる彼の得物。
薄赤く光る2メートル近い大剣が彼の手元に現れていた。
・・・うん。
すげえよこれ!
この世界に来て初めてファンタジー要素を目の当たりにしたんじゃねぇか?
素直に感動している俺に、レオンは刃先を向けた。
はい、ごめんなさい! 参りました!
【武、これは力無き者の刃だ】
・・・単に、見せびらかすという雰囲気では無いよね。
何を言わんとしているのか・・・。
【武、お前の立ち位置は俺の隣か、後ろか】
・・・。
ずっとギャンブルばっかりで駄目な奴認定しそうになってたけど。
そういえばこいつ、熱い奴だった。
攻略的にはそれなりに頑張らないといけなかったはず。
だけど今の俺にはその問いに答える力が無い。
少なくとも今は。
【すまん。俺にはまだ答えられねぇ】
覚醒もしてないし、何ならAR値ゼロだしな!
取り繕うと碌な事がないという経験から素直に答える。
・・・別にこれまでのことを後悔なんかしてないんだからね!
【・・・そうか】
具現化って自力で目覚めるならアリなんだっけ?
15歳以下で使うと法律違反になったような・・・。
ま、船なんて治外法権だよな。
疑問を浮かべていると残念そうに俺を一瞥したレオンはカリバーンを消した。
おお、すぅっと消えるんだね。ホログラムと区別つかねぇよ。
【安心しろ、お前は一般人なのだからな。何かあれば守ってやる】
【・・・ああ、頼りにしてるよ】
何だかなぁ。
彼のお眼に敵わなかったのは確かだろうけど、一般人認定でちょっと悔しい。
いや・・・下手に認知されると九条さんみたいに攻略されるからこれで良いのか?
とにかく今は想定外だし、また高天原で。・・・無事だったら。
【それで、魔物が南極にいるからお前がいるのか?】
【過去に発見された事例がある】
【護衛ってわけか】
【ま、老人共の雑用や荷物持ちだろうよ】
さも不本意だと言わんばかりに呆れた表情で話すレオン。
それにしても何故、彼が動員されたのか。
具現化能力で戦闘ができる人間は他にもいるだろうに。
【刺激が足りねぇならギャンブルで相手してやる】
【・・・次は後藤を入れずにやろう】
既に負け癖がついてるんかい。
将棋みたいに知らない勝負にも手を出すところは素直に感心してるんだけどな。
【武。お前はボランティアと聞いているが、何故この船に乗った】
【・・・俺は南極で探しものがあってな】
【探しもの? コウテイペンギンのコロニーでも探してるのか】
【それはそれで魅力的だ。俺の探しものは、恐らくポイントεまで行かないと見つからない】
【どうせポイントγ以降は俺も同行する。手伝える事があるなら言え】
【その時は頼む】
ぶっきらぼうな感じだけど、ちょっと真剣なレオンの言は優しい。
こいつ主人公にするとツンデレ気味だったからな。
少し経ったところでまた通訳に呼ばれ、お開きとなった。
レオンとは気安く会話出来る程度にはなったかな。
◇
もうすぐ南極に到着する。
昼間にレオンと会話したせいか、今日の夜は頭を整理しておこうと思った。
まず「1番」の件。
高橋さんと後藤さんのおかげでようやくラリクエ倫理を理解できた。
俺の旧人類的感覚でいると齟齬が発生しやすいことも理解した。
けどなぁ・・・いきなり男色を受け入れるとか無理だし。
「本能的には」って言い方をしてたから異性オンリーも認められてはいるのかもしれん。
つか、そうじゃないと人間が増えねぇ。
エクシズムのお陰で行為に積極的な人は多いんだろな。
だから多重婚を認める風潮になったんだろう。
しかし2158年から始まった話だから、今の50歳以上はその辺に理解あんのか?
価値観は簡単に変わらねぇからな・・・年配者には気を付けよう。
それよりも戻ってからの人間関係をどうする。
九条さんはマイナスリセットできただろう。
御子柴君も花栗さんも大丈夫。
だから学校ではぼっちしてればいい。
問題は香さんだ。
彼女にはしっかり返事をしたい。
仮に、俺がAR値50になれたとして。
香さんが20(仮)で、仲良くなると残り30になる。
これで良いのかどうか、だな。
・・・これ結局、俺の具現化能力が何かに依存する。
ゴミ能力だったら香さんに全振りして良いと思う。
逆に有用だったら・・・どうすんだ俺?
自分で戦うために他の主人公かサブキャラを優先して・・・香さんを1番から外す?
出来んのか? そんな決断。
・・・。
・・・。
・・・・・・。
よし、考えるのを止めよう!
とにかく高天原に入学して具現化覚醒イベントを経てからだ。
香さんにはそこまで待ってもらおう!
次だ次。
南極に魔物が居るって話。
魔力溜まりがあってそこで発生するって言ってたな。
でも他の地域の魔力溜まりは魔物を生み出さない。
魔力溜まりは魔物を引き寄せるだけだ。
南極だけ例外とは思えない。
とすると・・・南極の魔力溜まりは単なる魔力溜まりじゃない。
仮に魔王の霧が混じってると考えれば・・・。
魔王の霧に感化された生き物が魔物化したんじゃねえか?
「大惨事で魔力に影響された生き物」としてクラーケンがいた。
なら、南極の魔力溜まりに何かしらの生物が入れば、魔物っぽい生き物が出てくる。
うん、仮説としては成り立つ。
やはり調査ポイントεの魔力溜まりには行きたい。
調査チームの編成に気を付けて同行させてもらおう。
◇
しらせは順調に進み、予定通り7月30日に南極基地に到着した。
基地のある場所は接岸場所からすぐ近くで31日に上陸し荷物を下ろした。
しらせはこの後、この付近を周回して氷に阻まれないよう動きながら待機する。
研究者たちは1か月の間に必要な観測等を行い、この接岸場所に戻る。
時間は限られている。
昔は越冬隊が常駐していたそうだが温暖化で基地が流出した後は無くなったそうだ。
温暖化のため冬季に上陸しても大丈夫になったので、その慣例で真冬の今に来ているとか。
昔よりは防寒装備が整ったから真冬でも平気だということも理由に挙げられる。
もっともブリザードになると視界がホワイトアウトするので危険なのは変わりない。
で。
上陸して落ち着いたら俺はやりたい事があった。
氷点下30度近いんだぜ?
アレとかアレ、やってみたいよな?
【レオン、いくぞ!】
【よし】
【おりゃ!】
俺はばしゃりと熱湯を撒いた。
空中に飛び出した熱湯は瞬時に昇華して霧散する。
地表には何も落下しない。
【おおお、ワンダフル!】
【面白れぇな!】
手品みたいなこの現象、極地でしか出来ない遊びだ。
お次に取り出したるは濡れタオル。
【こいつを振り回して・・・10秒!】
ぐるぐる回すとすぐに剣状に固まるタオル。
レオンと一緒に作り出したそれを、互いに打ち合わせる。
ばりん、と音がして片方のタオルが砕け散った。
【うっは、おもしれぇ!】
【よく知ってるな!】
大人たちが準備している間に中学生らしい遊びをしておく。
バナナで釘を打ったりとかもしてみたいんだけどな。
さすがにバナナがない。
長年の夢を叶えて満足しているところに芳賀さんが呼びかけてきた。
「京極くん、基地の準備ができた。案内するからおいで」
「はい」
【レオン、準備できたってよ。いくぜ】
【よし】
俺達は基地内に入った。
ひとり一部屋が割り当てられていた。
これなら落ち着いて寝られる。船内より快適かもしれない。
風呂などの一部設備は無いので滞在中は我慢することになる。
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