私は彼の恋愛対象外。

江上蒼羽

文字の大きさ
11 / 66

急展開?!side:涼亜

しおりを挟む


コンビニでバイトするようになってから、周りの人により一層明るくなったというか、賑やかになったと言われるようになった。

より一層………という事は、うるさい奴が更にうるさくなったという事。


「昨日も一昨日も、その前も王子来なかったのぉ~!!」

「まぁ、毎日は来ないよね」

「でもでも毎日あの美しいお顔を眺めたいのぉ~!!待ってるのにぃ~!」

「分かったから声抑えて。恥ずいわ」


教室中に響く大声で喚く私を奈々が呆れ顔で宥める。


「だってだってぇ~!!」

「はいはい、もうやめ。今日のLステスーパーライブにカイプリ出るんでしょ?それで我慢しときな」

「今日もバイトだもん!」


餌付けで黙らそうとしているのか、麻友里がポッキーを差し出してくる。


「んなもん、録画しときなよ」

「やだやだ!リアルタイムで観たい!ネットで実況しながら観たいの~!!」

「じゃバイトしなきゃいいじゃん」

「それもやだぁ~!王子ぃ~!!」


我ながら、ウザいしうるさい。



王子に会いたい。

あの美しい顔を眺めて拝みたい。

次に会ったら名前を聞くんだ。

そんでもって、私の名前を覚えて貰うんだ。

仲良くなったら、もっと砕けた会話して、LINEのID教えて貰って……なんて計画を練って意気込んでるのに、こんな時に限って中々現れてくれない。





「涼亜ちゃん、ドリンク詰めて来るからレジお願いね」

「は~い!」


店長が奥に引っ込むのを見送って、レジ周りの商品整理を行う。

現在夜の7時。

今頃Lステスーパーライブの生放送が始まっている筈だ。

きっと大人気……いやいや、超人気アイドルのカイプリがトップバッターを華やかに飾って視聴率に貢献しているんじゃないかと思う。

神様が生み出した最高傑作のレイくんがスウィートボイスと華麗なダンスを披露しているんだろうな。

衣装どんなだろう?今日の髪型はどんな感じだろう………あぁぁ…観たかった……


ほんのり涙目になりながら作業をしていると


「お疲れ様。今日もバイト?頑張るね」


聞き慣れた優しい声に手を止められた。


「青柳のお兄さん!お疲れ様です!」

「今日も元気だね」


最近仲良しのお兄さんの登場に少しだけ元気が出た。

お兄さんは、いつも通り柔らかく微笑みながらカゴを掲げる。


「会計、お願い出来る?」

「了解でっす!」


青柳のお兄さんは、結構なイケメンさんにも拘わらず手料理を振る舞ってくれる彼女はいないらしく、しょっちゅうお弁当を買って行く。

コンビニのお弁当は美味しいし、それなりにバランスも良かったりするけど、あんまり頻繁だと、体に良くないんじゃないかなぁ………とか、勝手に心配している。


「おっ、今日はエナジードリンクも買うんですね?体に活を入れないといけない感じですか?」

「ははっ、まぁね。ちょっと疲れが溜まりつつあるもんだから…」


いつもの調子で何気ない会話を楽しんでいると「あれぇ~」と、間延びした声が聞こえてきた。


「こんな所で青柳さんと会うの珍しい。今帰り?」

「っ?!!」


キラキラ眩しい笑顔と半端ないオーラを携えて、麗しの王子が登場。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

恋は襟を正してから-鬼上司の不器用な愛-

プリオネ
恋愛
 せっかくホワイト企業に転職したのに、配属先は「漆黒」と噂される第一営業所だった芦尾梨子。待ち受けていたのは、大勢の前で怒鳴りつけてくるような鬼上司、獄谷衿。だが梨子には、前職で培ったパワハラ耐性と、ある"処世術"があった。2つの武器を手に、梨子は彼の厳しい指導にもたくましく食らいついていった。  ある日、梨子は獄谷に叱責された直後に彼自身のミスに気付く。助け舟を出すも、まさかのダブルミスで恥の上塗りをさせてしまう。責任を感じる梨子だったが、獄谷は意外な反応を見せた。そしてそれを境に、彼の態度が柔らかくなり始める。その不器用すぎるアプローチに、梨子も次第に惹かれていくのであった──。  恋心を隠してるけど全部滲み出ちゃってる系鬼上司と、全部気付いてるけど部下として接する新入社員が織りなす、じれじれオフィスラブ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...