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急展開?!side:涼亜
しおりを挟むコンビニでバイトするようになってから、周りの人により一層明るくなったというか、賑やかになったと言われるようになった。
より一層………という事は、うるさい奴が更にうるさくなったという事。
「昨日も一昨日も、その前も王子来なかったのぉ~!!」
「まぁ、毎日は来ないよね」
「でもでも毎日あの美しいお顔を眺めたいのぉ~!!待ってるのにぃ~!」
「分かったから声抑えて。恥ずいわ」
教室中に響く大声で喚く私を奈々が呆れ顔で宥める。
「だってだってぇ~!!」
「はいはい、もうやめ。今日のLステスーパーライブにカイプリ出るんでしょ?それで我慢しときな」
「今日もバイトだもん!」
餌付けで黙らそうとしているのか、麻友里がポッキーを差し出してくる。
「んなもん、録画しときなよ」
「やだやだ!リアルタイムで観たい!ネットで実況しながら観たいの~!!」
「じゃバイトしなきゃいいじゃん」
「それもやだぁ~!王子ぃ~!!」
我ながら、ウザいしうるさい。
王子に会いたい。
あの美しい顔を眺めて拝みたい。
次に会ったら名前を聞くんだ。
そんでもって、私の名前を覚えて貰うんだ。
仲良くなったら、もっと砕けた会話して、LINEのID教えて貰って……なんて計画を練って意気込んでるのに、こんな時に限って中々現れてくれない。
「涼亜ちゃん、ドリンク詰めて来るからレジお願いね」
「は~い!」
店長が奥に引っ込むのを見送って、レジ周りの商品整理を行う。
現在夜の7時。
今頃Lステスーパーライブの生放送が始まっている筈だ。
きっと大人気……いやいや、超人気アイドルのカイプリがトップバッターを華やかに飾って視聴率に貢献しているんじゃないかと思う。
神様が生み出した最高傑作のレイくんがスウィートボイスと華麗なダンスを披露しているんだろうな。
衣装どんなだろう?今日の髪型はどんな感じだろう………あぁぁ…観たかった……
ほんのり涙目になりながら作業をしていると
「お疲れ様。今日もバイト?頑張るね」
聞き慣れた優しい声に手を止められた。
「青柳のお兄さん!お疲れ様です!」
「今日も元気だね」
最近仲良しのお兄さんの登場に少しだけ元気が出た。
お兄さんは、いつも通り柔らかく微笑みながらカゴを掲げる。
「会計、お願い出来る?」
「了解でっす!」
青柳のお兄さんは、結構なイケメンさんにも拘わらず手料理を振る舞ってくれる彼女はいないらしく、しょっちゅうお弁当を買って行く。
コンビニのお弁当は美味しいし、それなりにバランスも良かったりするけど、あんまり頻繁だと、体に良くないんじゃないかなぁ………とか、勝手に心配している。
「おっ、今日はエナジードリンクも買うんですね?体に活を入れないといけない感じですか?」
「ははっ、まぁね。ちょっと疲れが溜まりつつあるもんだから…」
いつもの調子で何気ない会話を楽しんでいると「あれぇ~」と、間延びした声が聞こえてきた。
「こんな所で青柳さんと会うの珍しい。今帰り?」
「っ?!!」
キラキラ眩しい笑顔と半端ないオーラを携えて、麗しの王子が登場。
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