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【14】
しおりを挟む彼の顔は真っ赤に染まっている。
「口止めの為に私をここに連れて来たんですよね?」
「そっ、そうじゃなくて!………いや、それもあるんですけど……」
と、ここで注文していた料理が届き、話が中断される。
私の前にはハンバーグのセット、久世さんの前にはサラダが其々置かれた。
働き盛りの男性がサラダだけで足りるのかと疑問に思ったのだけれど、久世さん曰くどうにも食欲が湧かないらしい。
それって私の所為?と仄かな罪悪感を抱きつつ、美味しそうに香り立つハンバーグを前に食欲全開の私は、早々に合掌をした。
ハンバーグとライスを交互に口に運び咀嚼する私とは反対に、サラダを前にして微動だにしない久世さん。
「………召し上がらないんですか?」
「あ………いえ……食べます………はい……」
私の呼び掛けにのろのろとフォークを手にした久世さんは、半分にカットされたプチトマトを口に入れてまたフォークを置いた。
ゆっくり咀嚼をした後、水で流し込んだ久世さんは、私の方を見ずに聞いてくる。
「……あの………どう思いました?」
私もフォークを置く。
「どうって……何がですか?」
問いの意味が分からず私が聞き返すと、久世さんが私を見た。
視線が絡んだのはほんの一瞬で、すぐまた逸らされる。
「………俺みたいなのがあんな動画を配信してる事について……です」
この発言で彼は完全に認めた。
自分が“リュークのボイスチャンネル”配信者のリューク本人である事を。
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