前向き時々後ろ向き

江上蒼羽

文字の大きさ
8 / 74

突然の入院②

しおりを挟む


旦那を病室に残し、実家まで車を走らせた。

入院書類の連帯感保証人の欄に、生計を別にする人からサインして貰わないといけない為、実父に頭を下げに出向いたのだ。

父には入院が決まった時点で電話で伝えてあり、サインの件も快く了承して貰っていた。

実家に着いて父に「どんな感じだ?」と聞かれ、普通に答えようとしたのに、勝手に涙が出てきた。


「もしかしたら助からんかもしれない…」


更に嗚咽まで邪魔をして上手く説明出来なかった。

父は私の支離滅裂な説明を黙って聞いてくれ、私が差し出した病院の書類を受け取ると、静かにページを捲った。

書類の中には医師によって走り書きされた診断書も入っていて、父はそれをじっくり眺めてた。

元々口数の多い方じゃないし、気の利いた事を言えるような器用な人でもない父は「大事にしてやれ」とだけ言って、連帯保証人の欄にサインしてくれた。

親の前で泣きたくなかったのに、みっともなく泣いてしまい、情けなかった。



父に見送られ、学童保育まで下の娘を迎えに行った。

それからすぐに家に戻り、夕飯の支度をして洗濯を取り込み畳んだ。

夕方6時頃、上の娘が部活を終えて帰宅。

子供達に次の日の準備をさせ、義父に食事を出してから娘と3人で旦那のいる病院へと向かった。 

病室で寛いでいた旦那と対面した娘達はいつも以上に旦那にベッタリ。

そんな姿を見て何とも複雑だった。

僅かな時間の面会を終えて、エレベーターまで見送ってくれた旦那に手を振り帰路についた。

帰りの車中で上の娘が旦那を恋しがって号泣。

つられて私まで泣きそうになった。

旦那の急な入院は、早い段階で治療すれば治る可能性があるからなのか、それとも、もう手遅れで少しでも長く生きられるように迅速な治療が必要だからなのかは分からない。

けど、どうか前者であって欲しい。

旦那の入院を機に、アルファポリスにて闘病記を書く事を決めた。

自分の行き場のない負の感情を吐き出したいのと、闘病記を公開して人から読んで貰う事によって、もしかしたら良い情報が入ってくるかもしれないと考えたから。

間質性肺炎を克服したよ、とか、10年以上元気に過ごしてます、みたいなコメントが届いたらいいな……というのが狙い。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

痩せたがりの姫言(ひめごと)

エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。 姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。 だから「姫言」と書いてひめごと。 別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。 語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

処理中です...