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【9】
しおりを挟む勝手に地味で陰気なオタクっぽい人物を想像していたもんだから、彼女を見て拍子抜けした。
流石に三つ編みに瓶底メガネという古臭いオタクのイメージは持ってなかったけど、それでも教室の端でオタクトークしているような三軍女子みたいな感じかな、とは思っていた。
艶のあるセミロングの黒髪は指を通したい程サラサラ。
日焼け知らずの肌は陶器のよう。
顔の作り自体はごく普通で、どこにでもいるようなタイプではあるけど、目の綺麗さが異様というか、とても印象的な人だった。
「やる気はあるんすけど、終わる自信がなくってー」
ヘラヘラ笑いながら言う俺を大きくて澄んだ目がじっと見てくる。
「………で、私は何をすればいいの?」
俺とは対照的な淡々とした口調に怯まされる。
「んーと………作文、一緒にやって貰えると嬉しいっす」
彼女は小さく「ふぅん……」と言ってからまた顔を下げた。
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