物語の始まりは…

江上蒼羽

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勝手に地味で陰気なオタクっぽい人物を想像していたもんだから、彼女を見て拍子抜けした。

流石に三つ編みに瓶底メガネという古臭いオタクのイメージは持ってなかったけど、それでも教室の端でオタクトークしているような三軍女子みたいな感じかな、とは思っていた。

艶のあるセミロングの黒髪は指を通したい程サラサラ。

日焼け知らずの肌は陶器のよう。

顔の作り自体はごく普通で、どこにでもいるようなタイプではあるけど、目の綺麗さが異様というか、とても印象的な人だった。
  

「やる気はあるんすけど、終わる自信がなくってー」


ヘラヘラ笑いながら言う俺を大きくて澄んだ目がじっと見てくる。


「………で、私は何をすればいいの?」


俺とは対照的な淡々とした口調に怯まされる。


「んーと………作文、一緒にやって貰えると嬉しいっす」


彼女は小さく「ふぅん……」と言ってからまた顔を下げた。

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