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【8】
しおりを挟むやたら俺の声だけが響いた後は、しんと静まり返る。
人の気配がないのかと思いきや、薄暗い図書室の中で一角だけ明るい箇所があった。
恐る恐る足を踏み入れる。
「………今は私しかいないからいいけど、普段は静かに入ってきてね」
図書室一番端の窓際に近いテーブルにいた人物は、俺の方を一切見ずにそう言った。
彼女の手に握られたシャーペンがノートの上を滑らかな動きで走っている。
俯いていて顔が分からないけど、この人が例の“まゆまゆ”なんだろうなと思った。
「あー……すんませーん」
おどけながら、心に欠片もない謝罪の言葉を口にする。
「黛先輩っすよね?俺、2年の清原です」
軽い自己紹介をして向かい側に座る。
と、ここで目の前の人物がゆっくりと顔を上げた。
「…………百田先生に頼ってきたら面倒見てやって欲しいとは言われたけど、まさかその日の内に来るとはね」
お、意外と可愛い……なんて感想を抱いている俺に、彼女は薄く笑みを浮かべながら言う。
「百田先生から出された課題、自分の力でやる気更々ないでしょ?」
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