物語の始まりは…

江上蒼羽

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【7】

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「じゃねー!セージ君、今度デートしよー!」

「ばいばーい!」


大きく手を振る先輩方に見送られて、3年教室を後にした。


窓から見える桜の木の葉が、夕焼けに染められている。

まるで燃えているようだ。


「めんどくせぇ……」


溜め息と共に独り言を吐き出す。

こんな事なら端から補習を受けとけば良かったなんて後悔しても後の祭り。

自業自得ってやつだ。


「お、清原!今日部活は?」


途中擦れ違ったバスケ部仲間に「今日はっつーか、暫く休むわー」と告げる。

本当は部活に行きたいけど、今は課題が優先。

ネットで答えを調べた方が早いかなぁ……なんて思いつつ、図書室が視界に入れば引き返すのも躊躇われる。

 
「失礼しまーす」


入り口ドアに貼られた【開閉は静かに】の紙をガン無視して、元気いっぱいに入室した。

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