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【29】
しおりを挟む図書室に一人残された俺は、激しく後悔した。
「何、やってんの俺………」
頭を掻き毟りながら、深く溜め息を吐く。
自分がガキみたいな嫉妬をしていたんだと、今更気付いた。
お気に入りに加えたばかりのコレクションが、大人に取り上げられたような感覚。
それをアイブロウ先輩にぶつけた所で気が晴れる訳じゃないのに。
唇に残ったキスの名残を親指の腹で拭う。
机の上には、拡げられたままの先輩のノート。
先輩はいつもの一生懸命何かを書いていた。
俺が覗こうとすると鉄壁の防御で守る程だから、決して見る事は許されない。
それは頭では分かっているけど好奇心には勝てなくて、つい手を伸ばしてしまった。
何となくパラパラと捲る。
ふと桃瀬という単語が目に入り、そのページで捲るのを止めた。
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